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「結果が欲しい!」つちやエンジニアリングの2019年を松井孝允&佐藤公哉&土屋監督に聞く

2019年02月24日 15:41  AUTOSPORT web

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2019年のGT300クラスを戦うつちやエンジニアリングの土屋武士代表、松井孝允、佐藤公哉
2月20日、スーパーGT GT300クラスに参戦するつちやエンジニアリングは、東京・六本木のライブハウスmorph Tokyoで『2019年HOPPY 86 MC KICKOFF LIVE』を開催し、詰めかけた100人近いファンを前に、2019年の体制を発表した。土屋武士監督にファンの中でも驚いた人も多いであろう佐藤公哉起用の理由、そしてドライバーふたりに2019年に向けた意気込みを聞いた。

Q:2018年を振り返りつつ、2019年はどんなシーズンにしていきたいのか教えてください。
土屋武士監督(以下武士):昨年は、結果が残らず悔しい思いが積もってきてしまったシーズンでした。これは悔しさを晴らさないといけないとダメだなと。僕たちのチームの特色のひとつとして、結果にあまりこだわりをもたないというのがありますが、人間って、やっぱりやったことに対して返ってこないと、あらためて辛いんだなと(笑)。今年はテーマは変わらず、若いドライバー、メカニックを育て、成長できる環境を作るという部分は変えずに、『結果が欲しい!』ということを声を大にして言いたいです。応援してくださる皆さんが結果を待ちわびているので、その期待に応えたいです。

Q:それを踏まえた2019年の体制ですが、佐藤公哉選手も加入しました。他には変化はありますか?
武士:今までチーフメカニックだった武藤君は、土屋春雄も認めた逸材だったのですが、今までは出向というかたちでした。それが今季から独立したので、つちやエンジニアリングの工場長になってもらうことに快諾をもらいました。それが僕にとっても精神的に大きな支えになりますね。土屋春雄が認めた人材は今まで50年くらいやっている中で、5人くらいしかいないので(笑)。

■佐藤公哉起用の理由は
Q:では、公哉選手の起用理由を教えてください。
武士:間違えちゃったかなと思ってましたけど(笑)。
佐藤公哉(以下佐藤):(笑)。
武士:昨年スーパー耐久で、僕はエンジニア兼ドライバーという立場でしたが、一緒に戦った公哉は最初はあまり速くなかった。でも遠慮していた部分もあったのか、後半はすごく伸びてきたんです。もともと持っているものを出してきたイメージですね。そういう意味では、孝允が経験がないところから一緒にやって、その成長を見てきたので、公哉も才能を“出し切っていない”と感じたんです。このカンがもし当たっていれば、孝允が覚醒したようなことが、公哉でも起こるだろうな、と思っています。あとはレースに対する情熱が、ウチのカラーにマッチしている。公哉に決めたのは自然な流れでしたね。孝允にも話しましたし。

Q:公哉選手、そんなオファーを受けたのはいつ頃で、どんな心境でしたか?
佐藤:正確には、スーパーGTの昨年の最終戦が終わって、一日経って武士さんから電話をもらい、工場にお邪魔しました。その時ですね。シンプルに嬉しかったですし、その場で決めました。スーパー耐久でお世話になっていて『ここで頑張ればGTにもチャンスがあるかも』とやってきましたから。

Q:では、つちやエンジニアリングに対する印象は?
佐藤:常に予選では前にいっていますし、僕が日本に帰ってきてスーパーGTに出るようになってから毎年チャンピオン争いに絡んでいるイメージがあります。

Q:松井孝允選手に質問です。公哉選手は以前から知っていましたか?
松井孝允(以下松井):もちろんです。2008年からですね。フォーミュラチャレンジ・ジャパンに出ていたときで、僕がランキング4位だったんですが、2位だったのが公哉選手です。
佐藤:僕がNDDPドライバーだったときです。
松井:だから速さに関してはまったく心配していません。その時点で順位がついているので(笑)。

Q:お互いのイメージはいかがですか?
佐藤:FCJのときから変わらないんですが、松井さんは速い、スピードをもっている印象です。
松井:公哉くんは常に速いイメージです。安定している。僕はムラがありました(笑)。だから全然不安はないですね。良い意味で普通のシーズンになると思います。

Q:公哉選手は初めてのGT300マザーシャシーになりますが、どんな印象をもっていますか?
佐藤:今まで僕はGT3カーで戦っていましたが、動きを見ている限りでは軽そうだな、というイメージがあります。あとは暑そうだなと。だから今、サウナに通っています(笑)。
松井:暑いよ(笑)。
佐藤:あと、僕はYoutubeを観るのが好きなんですが、SUPERGT.netの公式動画で、松井さんや昨年まで乗っていた坪井翔選手のオンボードを観て、どんな乗り方をしているのか研究しています。

■“メーカー育成枠”ではないドライバーたちの勇気に
Q:ではふたりは今シーズン、どんな一年にしたいですか?
松井:昨年はひとつ、シーズンはじめの時点でチームを引っ張る上での選択の失敗をしているんです。今年はそこを間違えないようにだけしたいです。昨年は結果的に優勝がなかったので、やはり選択が間違っていた。今年はしっかり判断していきます。
佐藤:とりあえずはじめに、僕を使っていただく上で先ほど武士さんから出たように「やっぱり公哉は間違ってた~。やってもうた!」ということがないようにしなければいけません(笑)。そこはシーズンの前半、むしろ開幕の時点で「良かった。間違っていなかった」と思ってもらえるようにパフォーマンスを発揮したいですね。それと日本に帰ってきてから、トップグループでレースをすることがシーズンを通じてなかったので、そこが楽しみな部分ではあります。もともとフォーミュラ乗りなので、しっかりとアジャストして、昨年のスーパー耐久のようではなく、最初からしっかり発揮できるようにしたいです。

Q:ふたりの意気込みを踏まえて、武士監督は今季どんなシーズンにしたいですか?
武士:実は、今回体制発表の資料を作るにあたって、プロフィールを調べていたんですが、公哉はフォーミュラですごい勝ってるんですよね。実は僕知らなくて。AUTO GPもチャンピオン獲ってるし、ザウバーF1のテストドライブもコネかなんかだろうと思ってた(笑)。そんな公哉に「練習でF3とか乗っておけよ」とか言っていた自分が恥ずかしい(笑)。孝允もこのオフ自腹でトレーニングしたりしたので、そういうことが身になるのがマザーシャシー。ドライバーの頑張りに応えてくれるクルマなんです。(山下)健太も、坪井もマザーシャシーでステップを踏んでくれましたからね。

 そしてあと一点、皆さん今年は次のTDPドライバーが乗るんだろうと考えていたと思うんです。(小高)一斗もテストしましたが、やっぱり公哉を乗せたかったし、彼自身も乗りたい気持ちを出してきた。その情熱が大きかったのが理由ですし、ふたりともメーカーの育成ドライバーから一歩外れたドライバー。そんなふたりが速くなって、いまメーカーの色がつき始めているGT300で結果を出せれば、育成枠に入れていない子たちの希望、勇気にもなると思うんです。

 皆さんに応援されるチームというのをプライベーターは目指さなければいけないので、そういう思いを背負っていきたいですね。そして、チームとしてもいつかは違うステージで戦えるように繋いでいきたいと思います。