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『グッドワイフ』北村匠海の絶妙なおちゃらけ具合が愛らしい 過去に縛られずに前進する朝飛の素顔

2019年02月24日 10:11  リアルサウンド

リアルサウンド

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 日曜劇場『グッドワイフ』(TBS系)で主人公・蓮見杏子(常盤貴子)のライバル弁護士・朝飛光太郎を演じる北村匠海。昨年は映画2本が公開、JT「想うた」シリーズ、SoftBank「ギガ国物語」と話題のCMにも出演中、さらには主演映画『君は月夜に光り輝く』の公開も控えるなど勢いに乗る北村が、闇を抱える強気な若手弁護士として、新たな顔を見せている。


【写真】寝転ぶ多田と朝日


 ダンスロックバンド・DISH//のメインボーカル&ギターも務める北村。今月に入ってからも男性限定ライブ『皿野郎 激烈決起集会』を開催したりと音楽活動も精力的。ふだんは物腰柔らかな北村が、ロックサウンドを奏でるギャップも魅力で、4月に発売されるニューアルバム『Junkfood Junction』には、アイナ・ジ・エンド(BiSH)、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)、あいみょんが参加するなど、バンド活動でも注目を集めている。


 役者としては、子役時代からその道をスタートさせ、浜辺美波とのダブル主演『君の膵臓をたべたい』(2017年)で次ステージに突入。同作で北村は、病を患う掴みどころのない同級生・桜良(浜辺)に寄り添う“僕”を瑞々しく演じ、「第41回 日本アカデミー賞」新人俳優賞を受賞した。また昨年には『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)で、眞島秀和と同性カップルを演じて話題に。人懐っこい“朔ちゃん”は子猫のように愛らしく、一方でキスシーンなど踏み込んだ場面も、さらりと演じきった。


 ヒューマンドラマであれ、青春モノであれ、ミステリーであれ、どんな役柄にも即する北村の力みのないナチュラルな演技は、同世代役者の中でも随一。そんな北村が『グッドワイフ』で扮しているのは、「神山多田法律事務所」に仮雇用されている若手弁護士・朝飛光太郎。ともに仮採用中の蓮見とは、正採用の座を争うライバル同士だ。


 朝飛は、蓮見が採用争いで優位に立たないようにと、事務所のトップ・神山佳恵(賀来千香子)へのフォローは抜かりなく、神山の父でベテラン弁護士の大輔(橋爪功)が登場した際には「ベストオブ弁護士です。日本代表!」と拍手で持ち上げるなど、あざとさMAX。だが、このとき同僚が陰で「かわいいから許す」と漏らしており、その一言が “朝飛”のすべて。朝飛はイケメンかつ自分の意見を押し通すという嫌われがちな要素を持ちつつ、それでいて愛されるという驚異のコミュニケーション能力を誇るのである。


 しかし、その話術が身についた理由は、決して明るいものではなかった。第4話で朝飛は「親に放置されて育った」といい、「父や兄弟は天才だったけど、僕はそうじゃなかった。父は未だに僕のこと、認めてないですけどね」と複雑な家庭環境について告白。さらに三兄弟の真ん中だが、仲の悪い兄と弟の間に挟まれていたことで、交渉上手になったというから闇が深い。


 また、同話で描かれた法廷シーンで、朝飛はこれまでとは違う顔を見せる。初めての法廷に目は泳ぎ、声のトーンからも自信のなさがひしひしと伝わり、最終的には蓮見に交代を頼むほど。一方で、これまでのイケイケ姿とはまるで異なる朝飛を体現した北村に、驚きと称賛の声があがった。


 ちなみに、この一件により意気消沈の朝飛だったが、好意を抱く円香(水原希子)に「少しだけ見直しました。弁護を蓮見先生に任せたのは、依頼人のためですよね」と褒められれば、すぐさまニンマリ。多田(小泉孝太郎)からの「親父さんに認められるように生きるより、お前の人生だからな」という励ましには「おつかれーっす」とおちゃらけて敬礼するなど、ふだんの軽さが復活しており、その姿にホッとするとともに心が跳ねるのだった。


 最後に。元欅坂46・今泉佑唯演じる秘書を色気たっぷりに誘惑する姿にも惹きつけられたが、やはり言及せずにいられないのが朝飛と多田とのわちゃわちゃシーン。多田に対して朝飛が、ガッツリ寄りかかってみたり、指でツンツンつついてみたり、蓮見が好きなことをからかってみたり……ちょこちょこと登場する、この良き先輩後輩の空気感がたまらなく良い。すべては北村、そして小泉の表現力によるところで、癒し効果抜群のわちゃわちゃシーンは、今後もどんどん挟み込んでほしいものだ。


 蓮見と朝飛の採用争いはどうなるのか、そして朝飛が円香に振り向いてもらえる時は来るのか。過去に縛られずに前進する朝飛と、セリフを通して伝わる北村の美声にときめきながら、これからの動向に注目したい。


(nakamura omame)