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『まんぷく』安藤サクラがいよいよ“主役”へ 福子たちの前に新たな問題が立ちはだかる

2019年02月24日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

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 即席ラーメンの開発が終わったとはいえ、福子(安藤サクラ)たちの戦いはまだまだこれから。「まんぷくラーメン」をいかにして世に広めるかという課題が残っているのだ。ラーメンの開発自体は萬平(長谷川博己)が中心になり、福子は助言を施したり、作業を手伝ったりという役回りが多かったが、今週の『まんぷく』(NHK総合)では今まで以上に福子のパワフルな活躍ぶりが際立った。


 大急百貨店でのこと。試食を提供し始めたところ、1人、また1人と「まんぷくラーメン」の売り場に人々が駆けつけてきた。お湯をかけて、出来上がるまでの流れを実演してみせたわけだが、ここから福子の怒涛の3分間トークが始まる。闇市でのエピソード、食べることの重要性を実感したこと、献立を毎日考えるのは大変だということ、そこからさらに開発の苦労を話し、グルテンのアルファ化やら多孔質化に触れつつ、最後に価格の妥当性を強調して、なんとかその場を繋いだのだ。


 トークの途中で、鈴(松坂慶子)も何か言ってくれることはあったとはいえ、3分もの間客を売り場に繋ぎとめておくというのは至難の業である(萬平はその間、もっぱらタイマーを見つめ続けているためほとんど喋らない)。もともとはホテルの電話交換手や受付で働いていただけに、人とコミュニケーションを取るのは福子の得意分野なのだろうが、それでも大変そうである。


 そこで、さらなる売り上げ向上を目的に考えられたのがCM製作である。石鹸のCMを観ていた福子が突如閃いた。「ダネイホン」のときは萬平が看板のモデルになったものの、「まんぷくラーメン」の宣伝に担ぎ出されたのは福子本人。「ダネイホン」の宣伝用テープの録音には携わった福子であるが、今回のようにテレビに映るとなるとさすがの福子も緊張している様子だった。初めての撮影の際にはガクガク手元を震わせてしまい、世良(桐谷健太)から「あかんやろ、あんなもん!」「見ている人が不安になるわ」とツッコミが入る。それでもどうにか少しずつ撮影に慣れていき、源(二宮輝生)と幸(三宅希空)と一緒のシーンではいかにもCMらしく仕上がっていた。


 それからというものの、CM効果もあって「まんぷくラーメン」の売り上げは急増。ダネイホンのときに萬平の顔が全国で有名になったように、今回は福子の顔がすっかり知れ渡る。百貨店の売り場では黒縁メガネで変装までしはじめる福子であった。


 萬平と福子が結婚してからの物語は、基本的には萬平が主人公と言っても過言ではなかった。しかし、ようやく福子が“主役”として前に出つつある。おどけた表情からシリアスな表情まで、安藤サクラは福子としてさまざまな姿を見せてきてくれたが、最終幕に向けて本領発揮となりそうだ。


 すっかり軌道に乗り始めたように見えた「まんぷくラーメン」。家族も社員も含めたみんなの顔に笑顔が零れるシーンは、かつての「ダネイホン」の成功を彷彿とさせたものだ。ところが、厄介な問題が福子たちの前に立ちはだかる。「本家 まんぷくラーメン」をはじめとする模倣品が次から次へと出回り始めたのだ。忠彦(要潤)は製品の袋に、福子たちが遭遇してきた困難の象徴として色鮮やかな荒波を描いたが、どうやら福子たちの前にはまた一つ大きな波が押し寄せている。(國重駿平)