KEIHIN REAL RACINGのエースとしてチームを牽引する塚越広大 2019年の開幕へ向け、各メーカーから参戦体制も発表され、各地で行われるテストも本格化しているスーパーGT。今季に向けすべてのドライバーが頂点を目指していくことになるが、今季全日本スーパーフォーミュラ選手権には参戦せず、スーパーGTにすべての力を注ぐことになるKEIHIN REAL RACINGの塚越広大に、2019年に賭ける思いを聞いた。
1986年生まれの塚越は、レーシングカートで華々しい成績を挙げ、2005年にはフォーミュラ・ドリームで全戦全勝・全ポールポジションという結果を残し、全日本F3選手権にステップアップ。一年間のヨーロッパ修行を経て、2009年からスーパーGT、そしてフォーミュラ・ニッポン(現スーパーフォーミュラ)に参戦を開始した。
ホンダのエースドライバーのひとりとして、長年トップカテゴリーで戦ってきた塚越だが、迎える2019年、多くの変化が訪れた。まず、全日本スーパーフォーミュラ選手権には参戦しないことになり、一方でスーパーGTでは、チームメイトが参戦開始以来初めての外国人ドライバーとなった。小暮卓史に代わって、ベルトラン・バゲットがチームに加入したのだ。
バゲット自身はNAKAJIMA RACING在籍時から日本語を勉強しており、すでに文化にもすっかり慣れ親しんでいる。「彼は今年でスーパーGTも6年目ですし、日本のことはだいぶ知っていますからね。あまり『バゲットが来たから』と構えることもないです」と塚越。
「すんなりとチームに溶けこんでいますし、彼もすごく性格がいいですから。日本語も上達していて、『お疲れさまでした』とか普通に言ってますよ(笑)」と塚越も新たなチームメイトと打ち解けている様子だ。
■「僕たちがチャンピオンになりたかった」
2019年に向けて、すでに塚越とバゲットは昨年12月のセパンテスト、さらに岡山でのテストや2月のセパンテストを経て走り込みを続けている。
「開発車両(ホンダ開発車の99号車)のフィーリングはすごく良かったです。エアロもいろいろなテストをしていて、開幕までに決めることになりますが、いろいろなことを試して、それをどう活かすかという点では、順調にこのオフは進んでいるのではないでしょうか」と塚越はテストでも好感触を得ている様子だ。
そんな塚越にとって、2019年はどんなシーズンにしていきたいのだろうか。すると「今年は挑戦することが必要」だと返事が返ってきた。
「昨年でスーパーGTにデビューして10年が経ち、今年で11年目になります。過去を振り返ると、自分ができたこと、できなかったことがたくさんあると思います。それを踏まえて今年は、もっと挑戦することが必要だと思っています」と塚越。
「それはドライビングもそうですし、それ以外の部分でもあります。今までは行動できなかったところも行動に移したいです。チャンピオンを獲らなければいけない使命感が強いですね」
「昨年は開幕戦で勝って、いい結果を残すことはできましたが、ホンダがチャンピオンを獲ったシーズンのなかで、僕たちがチャンピオンになりたかったという思いも強いです」
■結果にこだわり、スーパーフォーミュラへの復帰も目指す
その「チャンピオンになりたかった」思いに向け、今季塚越がこだわるのは“結果”だ。「もちろん結果にはいつもこだわってはいますけど」と語りつつ、「今年はより結果を出していくべきですし、安定して結果を挙げていかなければならないと思っています」と語った。
「僕たちの昨年の戦いで言うと、やはり取りこぼしが多い。それではやはりチャンピオンにはなれないと思っています。そこはドライバーとしても、チームとしても改善しなければいけないところだと思っています」
目標に向け、バゲットがチームに加わったことにより、「日本人同士のペアよりも、仲が良い、悪いは別として、お互い意識するところも多いと思っています」と相乗効果を期待する。「“チームメイトに負けられない”ところは、過去のドライバーよりもお互い意識をもっているところだと思います。それがチームにいい影響を与えて、クルマが良くなっていく方向にもっていければ、自ずと結果は出るのではないでしょうか」と期待する。
2018年は年齢も近く、同じ栃木出身で切磋琢磨してきた山本尚貴が、スーパーGTでもスーパーフォーミュラでもチャンピオンを獲った。あえて「意識するところは」と聞くと、「もちろんありますね」と塚越からは短い返事が返ってきた。
新たなチームメイトを得たスーパーGTで、周囲が期待する“結果”を数字で残し、「よりレベルが高いクルマに乗りたいと思っているので、そこでまた挑戦できるようにしたい」というスーパーフォーミュラへの復帰も意識してのシーズンに挑む。塚越広大の2019年は、勝負の一年となりそうだ。