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『Apex Legends』好調のEA、新感覚空中バトルゲーム『ANTHEM』発売 課題はゲームバランスか?

2019年02月23日 11:31  リアルサウンド

リアルサウンド

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 チームプレイ・バトロワ『Apex Legends』をリリースして好調な大手海外ゲームパブリッシャーのEAが、今度は注目のアクションRPG『ANTHEM』をリリースした。新感覚のバトル体験を最大の魅力とする同ゲームに対して、国内外のゲームメディアはバトル以外のところが気になるようだ。


(参考:EA発のバトルロイヤルゲーム『Apex Legends』好調にスタート フォートナイトの覇権を脅かせるか?


アイアンマンになったかのようなバトル
 22日に正式リリースされた『ANTHEM』はアクションRPGと銘打たれている。しかし、実際には「ルートシューター(loot shooter:「loot」は「戦利品」という意味)」と呼ばれるものに近い。つまり、プレイヤーはミッションクリアのためにゲームエリアに出撃して、敵を倒す等の目的を遂行すると報酬が得られ、こうした出撃と報酬のサイクルを繰り返す、というのが基本的なゲームプレイの流れとなる。ちなみに、プレイヤーが出撃するエリアは敵対する勢力が跋扈(ばっこ)する架空の惑星である。


 同ゲームの大きな特徴は、プレイヤーは「ジャベリン」と呼ばれるパワードスーツを装着して出撃することだ。このパワードスーツには飛行能力が実装されていて、ゲームエリアの探索やバトルシーンにおいて空中から地上を見下ろす俯瞰ショットが印象的に多用されている。ジャベリンによるバトルは、まるで映画『アイアンマン』のワンシーンのようだ。


 また、ジャベリンには汎用的な性能の「レンジャー」、重装甲で火力の大きい「コロッサス」、俊敏な動きが可能な「インターセプタ―」、そして空中から範囲攻撃を放つ「ストーム」といった4つのタイプが用意されている。さらに、ジャベリンの強化には性能の異なるギアと呼ばれるパーツを実装する必要がある。こうしたシステムにより、プレイヤーごとにジャベリンをカスタマイズしてプレイできるのも同ゲームの魅力だ。


『第9区』『チャッピー』の監督が動画を制作
 ANTHEMの正式リリースに先立つ14日、同ゲームの舞台の歴史を伝える動画が公開された。この動画は実写で制作されているのだが、監督は映画『第9区』『チャッピー』を作ったニール・ブロムカンプだ。


 同動画を報じたテック系メディア『The Verge』によると、2017年度の世界最大のゲーム見本市E3において同ゲームの概要が発表されると、同監督はすぐに「クール」とツイートした。このツイートが今回発表された動画を制作するきっかけになった、とのこと。


 以上の動画について、The Vergeはパワードスーツやロボットを登場させてきた同監督の映画キャリアのことを考えれば、ANTHEMとのコラボは理想的である、と評価している。また、ゲームメディア『Game Spot』も同監督がANTHEMの世界観を十分に伝えている、とコメントした。


NPCとの会話はいらない?
 有名監督とコラボしたことからも分かるようにANTHEMはEA肝煎りのタイトルなのだが、ゲームメディアの反応はやや微妙なようである。


 ゲームメディア『Game Spot』は、4タイプのジャベリンすべてをプレイして、「バトルこそがANTHEMのプレイを高揚させ続けるもの」と称賛している。その一方で、ミッションからプレイヤーが拠点となる要塞都市「フォートタルシス」に戻った時に交わされるNPCとの会話が、ゲームプレイを中断するもののように思われる、と苦言を呈している。


 テック系メディア『Ars Technica』は、同ゲームのグラフィックとアイアンマンになったかのようなバトルシーンを絶賛している。しかし、NPCとの会話を含めた同ゲームのストーリーテリングと同ゲームのバトルシーンがうまくかみ合っていない、と評している。


 国内ゲームメディア『Game Watch』も、同ゲームの肝とも言えるジャベリンについて熱く語っている。ジャベリンを強化するためにはストーリーに沿ってミッションをクリアすることで強化アイテムを獲得する方法のほかに、オープンワールドを自由に探索してアイテムを収集する「フリープレイ」が用意されている。同メディアは、このフリープレイが「トレジャーハンティング(宝探し)」のようで興奮する、と述べている。だがやはり、NPCとの会話パートが「まどろっこしい」と感じた、とコメントしている。


 以上のようにANTHEMは新感覚のバトル体験は非常に好評ながら、RPG的な要素については疑問視されている。今後はDLCもリリースされるだろうが、もしかしたらバトルに特化したものが人気コンテンツになるかも知れない。


(吉本幸記)