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オメでたい頭でなにより「ザ・レジスタンス」はどう生まれた? 赤飯×324×堀江晶太が語り合う

2019年02月22日 12:01  リアルサウンド

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 オメでたい頭でなによりが、今年1月にリリースした1stフルアルバム『オメでたい頭でなにより1』。オープニングを飾る「ザ・レジスタンス」は、作詞:赤飯(Vo)、作曲:324(Gt)に加え、PENGUIN RESEARCHのベーシストであり、アイドルやアニソンなど幅広いジャンルの音楽を手がける作家としても活躍中の堀江晶太が作曲に参加した共作曲だ。


 赤飯、324、堀江(ボカロP・kemu)の3人は動画投稿サイトで音楽活動を行う中で知り合い、その交流はおよそ10年にも及ぶ。様々な苦節を乗り越えながら切磋琢磨しあってきた彼らが、満を持して「ザ・レジスタンス」に込めた思いとは。音楽と真摯に向き合う3人の心の内を語ってもらった。(編集部)


(関連:オメでたい頭でなによりが語る、楽曲にこめたメッセージ「人を幸せにできる人になってもらいたい」


■バンドの立ち上げを見届けた間柄


ーー赤飯さん、324さん、堀江さんは、いつ頃出会ったんですか。


赤飯:そもそも我々は、動画サイトに動画を投稿するところからキャリアをスタートしていて、みんなそこで出会いました。10年くらい前かな。それぞれ投稿者として名を馳せていたので、お互いの存在は知ってたんです。そのあと動画サイトのイベントで顔を合わすようになって。


324:高校生のときだった。


堀江:僕もそうです。


324:その頃は、赤飯とバンドを一緒にやることになるなんて思ってもみなかったです。


ーー赤飯さんと324さんは、堀江さんのPENGUIN RESEARCHとしての活動にどのような印象を持ちましたか。


赤飯:僕は、彼がバンドを立ち上げたライブを見に行ってるんですよ。324もいたよな。逆に堀江くんもオメでたの立ち上げを見届けてくれていて。それぞれがお互いのスタートを知ってて、それぞれが急ピッチで登っていってるのを側で見てるので、すごく近い存在に感じますね。


324:個人的に、僕は昔、(堀江)晶太と別のバンドをやってた時代があるんです。その頃とペンギンは曲がガラっと違うので、当初はわりと意外な印象を受けましたね。


赤飯:そうなんや。どういうのやってたの?


堀江:前のバンドはシューゲイザーのようなエモのような……絶対売れないようなことをやってた。


324:そうそう。かっこよかったけど、周りを見て音楽をやってるって感じじゃなかったよね。今はリスナーのことを考えてやろうとしてる節があるなって。ペンギンの音楽はメロが好きですね。意外性もありつつ、なおかつ耳に残るキャッチーさもあるっていうのを両立してる。


赤飯:堀江節が炸裂してますよ。あと、決めの入るタイミングがすごく気持ちいい。人が本能的に気持ちいいと思うポイントを、彼は知ってますね。


ーーでは、堀江さんのオメでたの印象は?


堀江:オメでたは、5~6年前に赤飯さんが言ってたことを、実際にやってるバンドだなって。


赤飯:……うわ、僕5~6年前にしゃべってたこと1ミリも覚えてへん(笑)。


堀江:名古屋から東京に向かってく車の中で、ずっとベラベラしゃべってたんですよ(笑)。Slipknotかなんかを聴きながら、「オレはライブは一番エネルギーの応酬で爆発してる瞬間が好きなんや」「お客さんが笑ってて僕らも笑ってて」とかって話してたのを覚えてて。


赤飯:へー。そんなこと話してたんや(笑)。


堀江:その頃、僕の周りにいた人たちは曲や演奏を重視する傾向があって、ライブ寄りでモノを考えてる赤飯さんは珍しかったんです。だから、オメでたを見てると、ライブで人がどう反応するのか、リアクションまで含めて音楽と向き合ってきた赤飯がやってるバンドっていうのがすごく伝わってきます。それが、オメでたの一番の武器だし、やりたかったことをやれてるバンドは長く続くし、お客さんとのギャップも生まれないし、すごくいいなと思いますね。それを叶えるにふさわしいメンバーが集まってるなというのも感じます。


ーー赤飯さんは、昔からライブへのこだわりが強かったんですね。


堀江:エンタメへのプライドを持ってる人って感じがする。


赤飯:そこです。特にこのバンドを始めてから、客席でお客さんがわーっとなってるのを見て、「ライブは一人一人が参加できるエンタメなんだ」って考えるようになったんです。こんな楽しいことがあるんや、もっとみんなに知ってもらいたいっていう気持ちが強いんで。


■“オメでたの国歌”イメージした「ザ・レジスタンス」秘話


ーー1stフルアルバム『オメでたい頭でなにより1』のオープニングを飾る「ザ・レジスタンス」の話題に移りましょう。この曲は、作詞を赤飯さん、作曲を堀江さんと324さんが手がけていますが、共作のきっかけから聞かせてください。


赤飯:まず、今のオメでたのメンバーが集まって音を出し始めたのが2015年の夏~秋頃だったんです。そこから、バンド名をつけてちゃんとバンドとしてやっていくのか、あくまで僕のソロプロジェクトとしてやっていくのかってときに堀江くんに相談したんです。だから、堀江くんは本当の意味でオメでたの立ち上げから見てくれてる人なんですよ。


324:その頃から、ゆくゆくは(堀江)晶太と一緒に曲を作ろうって話をしてたよね。


赤飯:うん。で、メジャーデビューが決まったあたりに飲みにいかなかった?


324:2017年の後半くらいに、(堀江)晶太とご飯を食べに行って曲の話をしたんです。そこが、この曲に関しての最初のスタートだったんですよ。まだ日程は決まってないけど、メジャーで1stアルバムを出すときのリードトラックを一緒に作ってもらおう、まずは(堀江)晶太にデモを作ってもらおうって話になったんです。


ーーどんなイメージがあったんですか。


赤飯:最初は、堀江くんがオメでたに抱くイメージをそのまま形にしてくださいって言ったはず。


324:結構ラフな感じで頼んだよね。


堀江:細かい発注はなくて、アルバムの曲、新しい節目にふさわしい曲が欲しい、好きに考えてと言われたんですよ。で、改めてオメでたの曲を聴いたり映像を見たりして考えていったんです。その頃、オメでたが始まって1~2年くらい経ってて、着実に全国を回ってライブのたびに仲間が増えていってる感じがしたんです。まだまだマックスじゃないけど、仲間を集めて軍団を旗揚げしたリーダーシップ像が見えるようなイメージがあったんですよね。ひとりじゃない、大勢の仲間がいる光景がなんとなく見える曲にしようと思って、そのようなデモを作りました。


赤飯:そのデモが上がってきたのが、2018年の頭ぐらいだったんです。早速歌詞つけていじり始めたんですけど、まあ自分がゴミみたいな歌詞しかできなくて(笑)。


324:いやー、ほんとにヒドかった(笑)。


赤飯:メンバーに歌詞への意見を聞いて書き直しても、全然納得できるものができなくて一回寝かしたんですよ。で、今回アルバムに入れることが決まって、これはもう作ってくれた本人と話してもう一回見つめ直そうってことになったんです。


堀江:それで、新宿の喫茶店に夜呼ばれて(笑)。


ーーそれがいつですか。


324:去年の10月ですね。そのタイミングで3人とディレクターで話したんです。


堀江:打ち合わせに行ったら、歌詞がまだ終わってないって言われて、「え?」ってなりましたけど(笑)。そこで、楽曲のイメージを改めて相談したんです。


赤飯:そのあと3週間くらい揉んだんですよ。


324:最終的に完成したのが、歌録りの前日の夜(笑)。ようやく納得いく歌詞が赤飯から上がってきて、それがよかった。


赤飯:僕が追い詰められて覚醒した瞬間ですね。サイヤ人のように(笑)。


ーー覚醒した歌詞が書けたと。歌詞は、昨日の敵は今日の友的な連帯感もあって、自分の意識を変えてさらにここから行こうという曲でもありますね。


赤飯:はい、まさにその通りです。


324:その打ち合わせで話したのは、もっとうちらのライブに寄せて、ライブハウスにフォーカスしようってことでした。


堀江:やっぱり、ライブハウスの秘密基地感ってあるじゃないですか。地下だし真っ暗だし、普通の人だとわけわからない中でみんな熱狂してる。そこにリーダーがいて、一緒についてくチームがあって……。歌詞も楽曲もアレンジの方向性も、オメでたの国歌みたいなイメージって言ってたよね。


赤飯:それで、最終的にタイトルも「ザ・レジスタンス」に落ち着いたんですよ。それまでメロディに引っ張られて、「校歌」とか「学校」とかにとらわれてる時間がめちゃ長くて。学校を舞台にするとどうも言いたいことの軸が定まらなすぎて、全然いいのができなかったんです。


ーー歌詞のキーワードになる言葉はありましたか。


赤飯:この歌詞のヒントになったのは、我々の曲の中に「オメでたい頭でなにより」って曲があって、ライブで曲の最後にダブルピースして終わるんです。そのピースサインがバンドのひとつのテーマになってるところもあって、この曲の中でも象徴的に使いたかったんです。人差し指と中指が組み合わさるエピソードはどうやったら作れるかってところから、〈夢見るあいつに指を差して〉〈夢がないあいつに中指を立て〉のフレーズができた。でも本当に戦うべきなのは自分自身、〈本当の敵は お前の中だ! 2つの指 組み合わせて(※ピースサイン) トモに生きる 武器に変えろ〉、というふうに物語ができていきました。あと、324が作ってくれた2サビ前のアレンジが、ステージでバーンと開く舞台装置が想像できて、そこにふさわしいスクリプトは何かって考え方をしていったんです。で、ボロボロにやられてる画が浮かんできたので、それに沿った歌詞にしたり、結果いろんなメッセージがこもった曲になりました。


■「動画サイト出身ってだけで色眼鏡で見られることが多い」


ーーあとは、どんなメッセージが入ってるんですか。


赤飯:僕ら、動画サイト出身ってだけで色眼鏡で見られることがすごく多いんです。〈肌の色や言語 生まれた場所 あげつらい自分の建前を守る〉のところで「ウィー・アー・ザ・ワールド」的なデカい風呂敷の広げ方をしてるんですけど、でも実はそれは〈生まれた場所〉の本当の意味を隠すためでもあって。逆に〈生まれた場所〉が一番言いたかったことでもあるんですよ。だからそこだけ、メンバー全員でコーラスしてます。


324:「そこのコーラス、赤飯だけでよくない?」って言ったら、「いや、みんなも録って」って言われて。あとから聞いたら、そういう理由があるんだって聞きました。


赤飯:どう? 僕からの質問なんだけど、やっぱ色眼鏡的な部分って感じたりする?


堀江:あるある。色眼鏡っていうか、イロモノとは思われることあるよ。


赤飯:実際、動画サイト出身ってだけで曲を聴いてもらえないとか、下に見ていいヤツらだってイメージを持つ人がいるんです。もちろん、フラットにひとつの音楽として聴いてくれる人もいるけど、中にはそういう人がいる。それが心の底から悔しいんですよね。


324:リスナーの人は、最近はネットから生まれた音楽を聴いて育ってる人も多くなってきてるからあまり気にしてないけど、僕たちが邦ロックシーンでやっていく中ではそういう目線が多いかなって、僕はそう感じてる。


堀江:でも僕は、動画サイト出身だからどうこうと言われることに悪い気はしないんですよ。そこの人なんだって舐めてくる人もいるけど、話が弾む人もいるし。


赤飯:なるほどね。僕はわりとそこのネガティブな側面をモロに食らってた人なので。


ーーどんなことがあったんですか。


赤飯:どんだけ熱い気持ちを持ってライブをしていようが何をしようが、「どうせしょうもない素人に毛の生えたようなヤツらでしょ? 聞く気しねぇ(笑)」とかボロクソ言われて下に見られるんです。人生かけてやってる心構えなだけに、さすがに悔しかった……。まぁ直接言い返したりとかはせずに、あくまで表現で昇華するためのガソリンにしてるんで結果オーライなんですけどね。ごちそうさまです。


324:やっぱり、赤飯はメインで自分が矢面に立たなきゃいけない立場だから、それを一番感じるんだよね。


ーー動画サイト出身って部分では、米津玄師さんの活躍もあったり状況はちょっとずつ変わってきてますよね。


赤飯:もちろんもちろん。でもまだゼロじゃないですね。以前、米津さんも色眼鏡で見られることがあるって発言されてたので、やっぱそうなんだなって。ぶっちゃけ僕らの話で言えば、前はインタビューでそこをフィーチャーされると、赤飯がやってるバンドってだけで記事を読んでもらえなくなるので、あえて出自にふれないようにしてもらう時期もありました。あくまでバンド最優先でお願いしますって。でも、最近になって、オメでたの知名度が上がってきて、「これ赤飯がやってたの?」って逆転現象がやっと起きてきてほくそ笑んでます(笑)。


ーーバンドの力で、状況を逆転できたっていうのはいい話ですね。


赤飯:しめしめ……って思ってます!


堀江:PENGUIN RESEARCHはイロモノ上等ってところがあるんだよね。ボーカルは声優をやってるし、僕もボカロPだし、バンドよりも作曲家の経歴の方が長いし。でも、実力で上がればいいんでしょって感覚でずっとやってきたので。オメでたも、思ってることは一緒だよね。


324:そうそう。うちらは、自分が世に求められる天才じゃないのはわかってたから、メインストリームとの真っ向勝負は避けて、自分なりのレールを敷いていかないといけないと思ったんだよね。


堀江:そこそこ。オメでたと僕らと、いいなって勝手に思ってる共通点があるんですよ。今一番盛り上がってるおしゃれな世界観というか、心情世界を投影した水彩画みたいな音楽感を真っ向から捨てに行ったバンドじゃん。そっち側に行かなかった、行けなかった側の人たちなんですよ。そういう人間が吹っ切れて、これがかっこいいでしょってやってるとこが好きなんだよね。


赤飯:それは確かにあるね。


堀江:うちもそうなんです。うちのボーカルも今はそういうの似合わないんで。淡い感じじゃなく、もっとわかりやすい生身の泥くさい方が似合うし、言ってしまうとダサい方が似合う。うちのバンドは、ボーカルに一番ふさわしい音楽をやろうってバンドなので、ダサかっこいいのは何かを追求してて。意外とそういうバンドって、僕らの周りにはいなくて。


324:わかる。(ペンギンのボーカルの生田)鷹司くんも赤飯もそうだけど、等身大が一番かっこいい。伝えたいメッセージが100%本人の言葉で、それをそのまま言ってるからこそのかっこよさがあるから。アウトプットしたものがダサかったり、流行ってるものとずれてても、やっぱり信じてるものは結局そこだからウソはつきたくないし。


赤飯:そうそう。ウソはつきたくない、それに尽きる。


堀江:それをしっかりやってるから、オメでたは貴重な仲間だなと思いますね。


ーーあと、これも根本的な話ですが、インターネット上で個人で音楽活動を始めて、のちにバンドを組んで人前で演奏する方向性を選んだ理由についてもお聞きしたいんですが。


赤飯:そもそも僕は、高校のときからずっとバンドをやりたかった人間なんです。ただ、バンドという活動にうまく自分を結び付けられずに、たまたま花開いたフィールドがそこだったということなんです。


ーーインターネットの世界はひとりで作ったものをアウトプットするには、すごく有効な場所ですよね。


324:そうです。最初、面白そうだからやってみようからスタートしたものが、あれよあれよと大きな流れができて、それに巻き込まれたっていうのはあるよね。


赤飯:そうそう。だから、やりたいことと求められるもの、そこで巻き起こってることの理想と現実のギャップみたいなものも途中からはありましたし、そこからだんだんモチベーションが下がっていったし(笑)。そのタイミングで、メンバーと出会って今のバンド活動の流れができたって感じですね。


ーーやっぱりバンドをやりたかったと。


赤飯:はい、バンドがやりたかったんです。僕の立場から言うと、動画で活動してたときは、与えられたものに自分のアイデアを加えて形にするものなので、自分の言葉で歌うこと、自分が本当に表現したいものをアウトプットすることができなかったんです。もちろん相性のいいものもたくさんありましたが、あくまで受け身じゃなくて、能動的に自分で何かを生み出したかった。そういうところにやりたいこととのギャップを感じてたんですよ。僕は、自分が人前で動いてなんぼってところに喜びを感じちゃうので、昔からそういう場所を好んで求めに行ってました。当時からイベントで生バンドでやれるのが一番楽しいと思いながら活動してましたし、そこは変わらないですね。僕は、一生ステージに立ち続けたいって気持ちが強いです。


324:あと、赤飯のことで言うと、昔から音楽へのこだわりが強かった。今でも覚えてるけど、昔、赤飯と名古屋であったイベントで、初めて僕がギターを弾くことになったんです。そのときに赤飯から、ここのセクションの音をもうちょっとこうしてほしいって注文を受けたんです。当時、まだ僕は実力も足りてなくてテンパって(笑)。「できる?」「そんな難しいこと言ってるつもりはないんだけどね」って言われて、すごい怖い人ってイメージだったんですよ(笑)。


赤飯:ウソや、煽ってるつもりないで(笑)。


324:っていうのも、他の人のバックで弾くときって普通に生の演奏があればいいって感じだったんです。でも赤飯は違って、真摯に音楽に向き合ってるんだなって。この人は求める水準が高いんだなって思ってました。


赤飯:そんな印象だったんや(笑)。そうやって指示してた人間がね、今はメンバーに指示出される側ですわ(笑)。


■いつかは2組で“オメでたいペンギンでリサーチ”を結成?


ーーでは、アルバム『オメでたい頭でなにより1』の全体でこだわった部分について聞かせてください。


赤飯:今回、「ザ・レジスタンス」で、僕の作詞が一つ成長できたなと思ったんですけど、それまでにも「ピ」「HELL“O”」って曲で、作詞への向き合い方が徐々に組み上げられていった感覚が強いです。なので、今回のアルバムで僕が一番取り組んでたのって作詞なんですよ。このアルバムに至るまでの僕の作詞の仕方って、言葉遊びやオマージュが中心だったんです。理論的に物語がどうとか考えたことがなかったんですけど、今回はそれをやらないともうダメだ、理想に追いつかないと思って、1から本を読んで基礎的なところを自分なりに体系化したり、いろんなアーティストさんの歌詞の考察サイトをみて、自分の琴線に触れたものをメモしてまとめたり、文字どおりちゃんと勉強しました。324とディレクターにアルバムとは一切関係ない歌詞を送ってフィードバックをもらったりもしてましたね。


ーー歌詞の強化をしないとダメだと思ったのはなぜですか。


赤飯:ここで自分が成長しないと、先がないと思ったからです。求められてる水準が上がってきてるし、バンドをさらに前に進めるためにも自分がここでなんとかせなあかんなって。今までは、メンバーに赤ペンもらって直してもらって形になればってくらいの感覚でいたのが、まずメンバーを黙らせる歌詞を書かないとヤバいと思って。お前らこれにケチつけてみろ!って(笑)、それぐらいの水準に持っていかないとダメだなって。


324:ほんとにそうなったよね。「ザ・レジスタンス」の歌詞が来たときはハハーってなりましたね。


赤飯:2人からのフィードバックと自分で勉強したものを今回はぎゅっと形にできたな。


324:(堀江)晶太、アルバムは聴いてくれた?


堀江:聴いた。「HELL“O”」とか好き。324も「言葉のあやや」で歌詞書いてるよね。なんか324っぽいなって思った。すごくよかった。


324:昔、(堀江)晶太とやってたバンドで1曲だけ歌詞書いたことがあって、そのときから僕の歌詞をやたらと評価してくれて(笑)。


堀江:324の歌詞、好きなんだよね、意味はわからないけど(笑)、ワードとしての耳あたりがいい。


赤飯:あ、言葉の耳あたりのことは、324から言われた。


324:そこを特に気にしちゃうんですよ。日本語のイントネーションとメロディの山をしっかり合わせないと、耳に入ってこないから。


赤飯:なので、耳あたりは意識するようになりましたね。そしたら、言葉を選ぶときに迷わなくなってきました。


ーーあと曲調の面でも、曲ごとの違いがすごいですよね。


赤飯:曲ごとに全然違うバンドですからね(笑)。


324:オムニバスアルバムみたいだし(笑)。


ーーどヘヴィな曲から爽快なポップスに行くとか、曲の並びだけで笑わせられるって最高だなって思いました。


赤飯:ありがとうございます。


324:一応ロックバンドです、ラウドをやってますって言っておきながら、こんなにいろんな曲調を入れて怒られないバンドはいないよね(笑)。


赤飯:うちらぐらいしかいないですね。ようやく独自の路線を確立できてきたのかもしれません(笑)。


ーーアルバム自体は、納得するものができましたか。


赤飯:はい、大納得、大満足です。


324:ほんとに渾身作になったなって。ただ、納期ギリギリになってしまったのがね(笑)。


赤飯:ギリギリの制作で地獄を見たので、そこだけが心残りです(笑)。


ーーこの先、オメでたい頭でなによりとPENGUIN RESEARCHでやってみたいことはありますか。


324:やっぱりバンドなので、一緒にライブができたらいいなとは思ってますね。


堀江:それは常々話してますね。曲も今回やって面白かったから、次の機会があるならじっくり詰めて話し合いながら作りたいなと。


赤飯:これを最後と言わずに、またどこかのタイミングで面白いことを仕掛けたいです。


324:今回は(堀江)晶太ひとりをフィーチャーしたけど、ペンギン自体とコラボっていうのも面白いかなって。お互い、もっと面白い要素があるから。


堀江:そうだね。バンド丸ごとフィーチャリングとか面白いよね。


赤飯:そのときは僕がボーカルやるから。オメでたいペンギンでリサーチってどう?


全員:(笑)。


(土屋恵介)