トップへ

津川哲夫の2019私的新車チェック:アルファロメオ】今季いちばんの感性的独創マシン。ライコネンとの個性の共鳴で台風の目となるか

2019年02月21日 19:41  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

ザウバーからアルファロメオへ。2019年のニューマシン、C38をドライブするキミ・ライコネン
今シーズン発表された新車で、もしも一番個性的なマシンを挙げるとするならこのアルファロメオC38だ。フェラーリPU/エンジンとギヤボックス、そしてリヤサスペンションを搭載と言えば、同じくフェラーリと提携しているハースや、レッドブルの実質第2チームであるトロロッソなどを思い起こすかもしれない。

 しかし、アルファロメオC38は違う。車体すべての独創性が際だっているのだ。もちろん、フェラーリの機構がベースなのは致し方ないが、それらを受け入れる車体全域でアルファロメオ(旧ザウバー)エンジニアリングのフィロソフィが輝いている。自らのコンセプトをもった独創的との言葉が、そこかしこのパーツにちりばめられているのだ。

 たとえばノーズ先端、ダースベイダー・ノーズと勝手に命名してしまった。センターバンパーに大きなダクトがあるが、それを挟んでダクトが大きく口を開いている。これを見つめると何と、スターウォーズのダースベーダそっくりではないか!(『真面目に解説しろ!』という突っ込みが聞こえそうだが)。

 さらにロールピラー(一本柱でロールフープではないのだ)を囲んだ多くのダクト、ここだけ見ていると、まさに近未来の宇宙船的スタイル。フロントウイングも独特で、新規則下でまだ方向の見えないフロントウイングへのアルファロメオ(旧ザウバー)エアロ的な提言と言える。

 C38が好ましいのは、その造形の背景には確実に彼らのロジックがあり理詰めで設計されたはずだが、本来なら理論的で硬く無機質なF1デザインになるところを、エンジニアのアイデアの具現化のような個性とデザインへの感性みたいなものが見えて嬉しくなってしまうのだ。

 これに感性で走るキミ・ライコネンが乗るのだから……F1感性に溢れるファンにはかなりの狙い目だと思うのが今年のアルファロメオ(旧ザウバー)C38、果たしてどうか。