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F1ピレリタイヤの変更点をおさらい。オーバーヒートやささくれ磨耗の抑止策を導入、ウエットタイヤも性能向上

2019年02月21日 18:01  AUTOSPORT web

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2019年F1バルセロナテスト1回目 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRB15
すでに報じられている通り、2019年シーズンよりピレリタイヤのコンパウンド数と、カラーリングの方法が変更される。今回は改めてその変更内容をおさらいし、合わせてウォーマーの温度や内圧、トレッド、さらにはウエットタイヤなどに関する情報もお伝えする。

 2018年シーズン、ピレリは7種類のドライタイヤを供給していた。7種類の内訳とラインの配色は、スーパーハード(オレンジ)、ハード(水色)、ミディアム(白)、ソフト(黄色)、スーパーソフト(赤)、ウルトラソフト(紫)、ハイパーソフト(ピンク)となっており、この中から3種類のタイヤがグランプリに持ち込まれていた。


 しかし2019年は、全5種類のタイヤでシーズンを戦うことになり、グランプリには昨年同様にこの中から3種類のタイヤが持ち込まれる。この5種類を識別するために、最も硬いタイヤを『C1』とし、タイヤが軟らかくなるにつれて数字が大きくなり、最も軟らかいタイヤが『C5』となる。

 そしてラインの配色方法も変更になり、グランプリに持ち込まれるタイヤを硬い方から白、黄色、赤とする。なおシーズン開幕前のバルセロナテストでは全5種類を使用するため、C2に白、C3に黄色、C4に赤のラインをそれぞれ施し、C1には白字の、C5には赤字のピレリロゴのみという、特別な配色でタイヤを区別をすることになる。


 またバルセロナテストでは、2020年用のタイヤの開発テストが予定されており、マーキングの施されていないプロトタイプタイヤが使用される。


■タイヤウォーマーの温度の変更

 走行前に使用されているタイヤウォーマーの温度にも変更点がある。フロントタイヤに使用されるウォーマーの最高温度は100℃だが、リヤタイヤのウォーマーの最高温度が80℃に制限される。


 これにより、気温が低い環境におけるフロントタイヤのウォームアップがより促され、グレイニング(タイヤ表面のささくれ磨耗)のリスクが減少する。

 なおこの変更に伴い、リヤタイヤの内圧は低く設定されることになる。

■トレッドの変更、作動温度領域の拡大

 2018年は、シーズン開幕前にバルセロナ、ポール・リカール、シルバーストンの3カ所で路面の再舗装が行われた。そのため、これらのサーキットで行われたグランプリでは、タイヤのオーバーヒートを避けるために通常よりもトレッドの薄いタイヤが導入された。

 このトレッドの薄いタイヤが機能し、オーバーヒートを抑制することができたため、2019年は全てのレースでこのタイヤを使用することが決定した。またオーバーヒート抑止策として、タイヤの作動温度領域が少し高くなった。

●コンパウンド毎の作動温度領域
コンパウンド作動温度領域(℃)C1110~140C2110~135C3105~135C490~120C585~115

■ウエットタイヤの変更点

 ウエットタイヤには、フルウエットタイヤ(青)とインターミディエイトタイヤ(緑)の2つがある。2018年は、この2つのタイヤにそれぞれ高温用、低温用と2種類のタイヤが用意されていた。

 しかし2019年シーズンに投入されるインターミディエイトでは、昨年以上に幅広いコンディションで走行することができるようになり、ウエット路面での性能が向上した。またフルウエットはタイヤの形状が再設計され、耐アクアプレーニング性能が向上。両タイヤの性能が良くなったことにより、シーズンを通してどちらのタイヤも1種類のみが使用されることになった。