バルセロナ合同テスト3日目はマックス・フェルスタッペンが再びRB15のステアリングを握り、テストプログラムを基本的なチェックから次のステップへと進めた。RB15の速さをさらに引き出すためのセットアップ作業だ。
気温・路面温度が上がる前の朝の時間帯は左右フロントタイヤの後方にかなり巨大なレーキ(気流センサー)を装着して走行しデータ収集。コントロールラインは通過せず、ピットアウトとピットインを繰り返して様々なセッティング状態でのフロント周辺の気流確認を行った。
なお、ホンダはこの4日間のテストを1基のパワーユニットで走り続けて耐久性確認をするつもりだったが、前日のクラッシュで僅かながらダメージを負ったためそのままでは正確な耐久性データ収集にならないと判断し、3日目に向けてRB15のパワーユニットは新品に換装されている。
10時を過ぎたあたりから本格的な走行を開始し、リアウイングにフロービズを塗布したりといった空力テストを行っていった。最初の2日間で使用したのとは異なる、バルセロナに合った仕様の新型ウイングだ。
午前中はパワーユニット側にマイナートラブルが出て33周しか走ることができなかったが、午後にはセットアップをいろんな方向に振って変更しながら、ロングランでそれぞれの感触を確かめつつデータを収集していった。
そのためラップタイムは全く意識せず、タイヤ状況の変化が少なく空力データ収集に向いているC3タイヤを中心に履いての走行だった。タイムペースは1分22秒~23秒台。
姉妹チームのトロロッソがセッション終了直前にトップタイムを叩き出して沸く中、レッドブルはとにかく淡々とテストを進めてきた。フェルスタッペンも相変わらず多くを語らず、冷静で穏やかな表情を見せている。
「テストでのラップタイムをどうこう語るのはいつだって難しいよ。でも僕らにとって重要なのはできるだけ多くの周回をこなし、どの方向性に進むべきなのかを見出すためにできるだけ多くのセットアップを試すことだ」
「新レギュレーションはフロントウイングなど様々な要素があるから正しく理解するのは容易なことではないし、今日もたくさんのことを学ぶことができたという意味ではとても良いポジティブな1日だったよ」
■レッドブル&トロロッソに漂う明るい雰囲気がホンダF1の励みに
この日バルセロナ入りしたホンダの山本雅史モータースポーツ部長は、想像以上にレッドブルとトロロッソの雰囲気が明るいのに驚き、同時に勇気づけられたと語った。それはずっと共同作業を進めてきた田辺豊治テクニカルディレクターにとっても同じだという。
その事実が証明するように、ラップタイムには表われずとも、レッドブルとトロロッソのテストは極めて順調に進んでいる。クラッシュによるパワーユニット換装は予定外だったが、レッドブルとしてもホンダとしても、マイナートラブルへの対応で信頼性向上を進めながらも、予定していたプログラムはほぼ100%こなせているという。だからこそチーム内には落ち着いた雰囲気が漂い、プッシュすればタイムは簡単に上げられることも分かっているからこそ明るい。
問題はフルプッシュしたときに自分たちのパフォーマンスがどのレベルにあるのかということだが、フェルスタッペンはこの手の質問には全て同じように答える。
「メルボルンに行けば分かるよ! 今のところは? GOODだよ!」
茶目っ気たっぷりにそう答える表情を見る限り、彼らのテストは順調だ。