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「残高が永遠に増え続けていく地獄」 "リボ払い沼"に陥らないために知っておきたいこと

2019年02月21日 07:10  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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クレジットカード会社からのメールやダイレクトメールで、「リボ払いにすると○○ポイントプレゼント!」、または、「自分のペースでお支払い」といった、聞こえの良い文言を目にしたことはありませんか。

ほかにも、「ポイントが貯まりやすいカード」といったようなフレーズにも注意が必要です。なぜなら、これらは全て皆さんを一度ハマったら抜け出せない「リボ払い沼」に陥れるカラクリだからです。(文:楽天証券経済研究所・ファンドアナリスト 篠田尚子)

実質的に消費者金融から借りるのと一緒! 「借金を抱えた状態」が長く続くことに


リボ払いとは、カードの支払い方法の1つで、利用金額や件数に関わらず、毎月の支払いを一定額に抑えるというもの。毎月の支払額が平準化されるというメリットは確かにありますが、高額の手数料負担を伴うため、支払残高がなかなか減らず、全て払い終わるまでに長い年月がかかる恐れもあります。

実は、クレジットカードで買い物をしてリボ払いを選ぶのと、消費者金融で借り入れを行うのは、実質的に変わりません。というのも、リボ払いの金利手数料は実質年率15~18%と、消費者金融並みの高さなのです。多くのカード会社が、ポイントプレゼントを行ったり、豪華な特典を付けたりしているのは、それだけカード会社の儲けが大きいということに他なりません。

具体的な数字でご説明します。12万円の商品を購入し、年15%・毎月の返済額1万円のリボ払いを利用した場合、返済回数は14回、総支払額は13万824 円になります。「翌月1回払い」なら無料の手数料が、リボだと1万824円かかり、さらに、全ての返済を終えるまでに1年2か月の年月を要します。

また、新たな利用が発生するたび支払残高は積み上がっていき、完済までの年月が長期化します。リボ払いの恐ろしさは、表面の金利手数料だけでなく、こうした度重なる利用によって、「借金を抱えた状態」が長く続くことにあります。毎月の返済額を低く抑えているがゆえ、借入の総額が把握しづらくなるのです。

実際に、私が講師として登壇したセミナーでも、「残高が減らないどころか永遠に増え続けていく地獄」、「返済を続けているけど、なかなか減らない…」といった、生々しいリボ払いの体験談が聞かれました。

まずは支払い方法を確認! 「自動リボ設定」には要注意!

リボ払いの設定には、以下の4つの方法があります。中でも、「リボ専用カード」と「自動リボ設定」は特に注意が必要です。この2つは、店舗で「一括払い」を指定しても、初期設定がリボ払いになっているため、リボ以外の方法で払うことができません。気付かないうちに金利手数料を支払っている……ということもあり得るので、十分に注意してください。

(1)リボ専用カード(要注意!)
あらかじめ支払い方法がリボ払いに限定されているカード。このカードを利用すると支払いは全てリボ払いとなり、他の支払い方法は選択できない。

(2)自動リボ設定(要注意!)
カードの支払い方法自体が自動的にリボ払いに設定されているというもの。設定を解除しない限り、支払いは全てリボ払いのまま。

(3)店頭選択型リボ
カードを店舗で利用する際、支払いをリボ払いに指定する方法。指定した時だけリボ払いになる。

(4)あとからリボ変更
カードの利用後に申し出ることで、支払いをリボ払いに変更する方法。リボ払いに変更した分だけ、支払残高に上乗せされる。

クレジットカードを申し込む際は、ポイント還元などの特典にばかり目を奪われず、カードの基本情報や申込み書類に記載されている、「支払い方法」の項目を必ず確認しましょう。特に、グッズプレゼントなどの特典が付いた各種コラボカードは、リボ専用カードだったり、自動リボ払いになっていたりすることが多いので要注意! また、「支払い方法」の項目に明確に「リボ払い」と記載がなくても、カード会社によっては、「リボ払い」という支払方法そのものに独自の愛称を設けていることもあります。

保有するクレジットカードに少しでも不安がある場合は、カード会社に問い合せるか、独立行政法人国民生活センターの消費者ホットライン、188(局番なし)に相談を!

【筆者プロフィール】
篠田 尚子(しのだ しょうこ)
楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト
AFP(日本FP協会認定)

国内の銀行において個人向け資産運用のアドバイス業務に携わった後、2006年ロイター・ジャパン入社。傘下の投信評価機関リッパーにて、世界中の機関投資家へ向けて日本の投資信託市場調査および評価分析レポートの配信業務に従事。同時に、世界各国で開催される資産運用業界の国際カンファレンスで日本の投資信託市場にまつわる講演も数多く行う。2013年にロイターを退職し、楽天証券経済研究所に入所。各種メディアで投資信託についての多くのコメントを手掛けるほか、銘柄選びに役立つ各種コンテンツの企画や、高校生から年金受給層まで、幅広い年齢層を対象とした資産形成セミナーの講師も務めるなど、投資教育にも積極的に取り組んでいる。著書に「本当にお金が増える投資信託は、この10本です。」、「新しい!お金の増やし方の教科書」(ともにSBクリエイティブ)などがある。