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「正社員のように外食できない」東京メトロ売店の非正規女性が訴え 高裁は一部認容

2019年02月20日 19:41  弁護士ドットコム

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同じ仕事をしているにも関わらず、正社員と非正規で賃金格差があるのは許せないーー。


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東京メトロ(地下鉄)の売店で働く非正規社員の女性4人が、売店を運営する東京メトロの子会社「メトロコマース」を相手取り、「同一労働・同一賃金」と損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が2月20日、東京高裁(川神裕裁判長)であった。



●3人の請求は一部認容

東京高裁は、契約社員の原告3人に対して、それぞれ労働契約法20条施行後の住宅手当や勤続年数に応じた一時金(褒賞)、退職金の一部などを支払うべきだと判示。一方で、基本給や賞与などについては、正社員と同じように支払うことは認めず、請求を棄却した。



残り1人の原告については、労契法20条が施行される前に、定年によって契約社員と異なる雇用形態となったことなどを理由にすべての請求が棄却された。原告たちは「不当判決。私たちはたたかう」と上告する決意を示した。



労契法20条は、正社員など無期契約で働く人と比べ、アルバイトや契約社員など有期契約で働く人に不合理な差をつけることを禁じている。2013年4月に施行された改正労働契約法に盛り込まれた。



●「本当にすこしですが、一歩前進」

判決後、原告の女性2人(一部認容された1人と、すべて棄却された1人)は東京・霞が関の司法記者クラブで会見した。



請求が一部認められた原告の1人は「住宅手当、褒賞、退職金の一部が正社員と同じように認められたことはよかったと思います。本当にすこしですが、一歩前進したと思います」と述べた。



さらに、「私たちは低賃金のため正社員のように外にごはんを食べに行くことはできません。ホームの椅子に座っておにぎりを食べています。休憩の度に、同じ仕事をしているのになぜこうなるんだろうというストレスを抱えてきました」とつらい気持ちを語った。



一方、すべての請求が棄却された原告は「言葉を失いました。私は契約社員ではなく、登録社員として仕事をつづけてきました。登録社員といえども有期契約で同じ仕事をしているのに」と悔しさをにじませた。



●メトロコマースの対応は未定

弁護団の滝沢香弁護士によると、一審(東京地裁・吉田徹裁判長)は比較対象となる正社員が「全正社員」だったが、控訴審では「売店業務に従事している正社員」とされたという。



一審では、正社員と非正規の業務内容や業務に伴う責任の程度には大きなちがいがあるとし、原告1人の残業代など一部を除き、請求を棄却していた。



メトロコマースの担当者は2月21日、弁護士ドットコムニュースの取材に対し、「いま判決文を確認しており、対応を考えているところです。結論はまだ出ていません」とコメントした。



※2月21日、メトロコマースのコメントを追記しました。



(弁護士ドットコムニュース)