モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第1戦デイトナ
デニー・ハムリンがデイトナ500を制す!
トヨタ・カムリがワン・ツー・スリー・フィニッシュ
2019年シーズンのNASCARが聖地デイトナで開幕。カップ・シリーズのデイトナ500は終盤クラッシュが多発する大荒れのレースとなりましたが、逃げ切ったデニー・ハムリンがトヨタにデイトナ5002勝目をもたらすとともに、トヨタ・カムリがワン・ツー・スリー・フィニッシュを果たしました。
注目のトヨタ・スープラデビューとなったエクスフィニティ・シリーズではブランドン・ジョーンズが3位フィニッシュ。トラック・シリーズではやはりクラッシュ多発で完走9台というサバイバルレースとなりましたが、チャンピオンチームに今季移籍してきたオースティン・ヒルがキャリア初勝利を挙げました。
Monster Energy NASCAR CUP SERIES
第1戦 Daytona 500
開催日:2月17日
デニー・ハムリンがデイトナ500を制す!
トヨタ・カムリがワン・ツー・スリー・フィニッシュ
2月17日(日)、アメリカ南東部フロリダ州デイトナビーチのデイトナ・インターナショナル・スピードウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第1戦デイトナ500が開催されました。
短いオフシーズンを終え、年間36戦で争われるNASCARシーズンが早くも開幕。開幕戦は聖地“デイトナ”を舞台に、61回目を迎えるシリーズ最大のイベントとして行われました。
2007年よりNASCARのトップカテゴリーにトヨタ・カムリを擁して参戦しているトヨタは、これまでに2度、カップ・シリーズでドライバーズチャンピオンを獲得。昨年2018年も最終戦の4人に2015年のチャンピオン、カイル・ブッシュと2017年のチャンピオン、マーティン・トゥルーエクス・Jr.の2名が残りましたが、惜しくもタイトル獲得はならず。今年もこの2人を含む強力な布陣でチャンピオン獲得を目指します。
開幕戦にしてシリーズ最大のイベントであるデイトナ500は、通常のレースとは異なるフォーマットで前の週から“デイトナ・スピードウィークス”として始まります。10日(日)には前年のポールシッターやプレーオフ進出ドライバーによるエキジビションレース“ザ・クラッシュ”を実施。トヨタ勢は善戦しましたが、終盤多くの車両が巻き込まれた多重クラッシュ“ビッグ・ワン”に巻き込まれレースを終えました。
デイトナ500決勝レースのグリッドは、10日に行われた予選で最前列の2台を決定後、14日(金)に行われる予選レース、デュエルで決定されます。デュエルはスターティンググリッドの偶数列、奇数列で分けた2グループで戦われ、デュエル1ではマット・ディベネデットが4位、トゥルーエクス・Jr.が5位。
カイル・ブッシュは接触で後退し1周遅れの18位に終わりました。デュエル2では、2016年、トヨタにデイトナ500勝利をもたらしたデニー・ハムリンが4位。エリック・ジョーンズが14位となりました。
前週の“ザ・クラッシュ”は雨に翻弄されたレースとなりましたが、デイトナ500決勝日の17日(日)は好天に恵まれ、気温も28度と絶好のコンディション。開幕を待ちわびていたファンに埋め尽くされたグランドスタンドの前で、午後3時7分、2.5マイルオーバルを60周、60周、80周の3ステージ合計200周(500マイル:約800km)して競われる決勝レースのスタートが切られました。
序盤はトヨタ勢最上位9番手スタートのディベネデット、その後方11番手スタートのトゥルーエクス・Jr.がともに上位を争いますが、ステージ1の最後まで走れる残り周回になったあたりで上位勢はグリーンフラッグ下でピットへ。その後、コース上の異物によるイエローコーションが出されたため、ここでピットインしていなかったカイル・ブッシュらがピットへ向かいタイヤ交換。新しいタイヤの優位性を活かして上位へと浮上しました。
カイル・ブッシュとハムリンがワン・ツー体制でバトルを繰り広げましたが、ファイナルラップの混乱のなかでハムリンは行き場を失い後退。カイル・ブッシュがシーズン最初のステージ1を制し、ステージポイントと、貴重なプレーオフポイント(プレーオフにも持ち越せるポイント)を獲得しました。ハムリンが6位、エリック・ジョーンズが10位でともにポイントを獲得。
ステージ2では、ピットタイミングをずらしポジションを上げたディベネデットとカイル・ブッシュがハイペースでレースを引っ張りました。これに続くエリック・ジョーンズらを加えた6台が、他の大半の車両を周回遅れにしようかという猛烈な走りを見せましたが、ステージ残り14周で出されたイエローコーションにより、全車スローダウン。ここでレースは一旦、仕切り直しとなりました。
ふたたびピット戦略で順位が入れ替わり、ステージ2はディベネデットが6位。他のトヨタ勢はトップ10入りならず。
ステージ3、前半は膠着状態でレースが進みましたが、残り45周を切るとグリーンフラッグ下でピットインする車両が出始めました。ここでピットインしようとした車両が交錯し、イエローコーション。このコーションでピットへ向かったカイル・ブッシュがトップ、タイヤ無交換作戦でジャンプアップしたハムリンが2位へ浮上。トゥルーエクス・Jr.も2本交換でポジションを上げましたが、痛恨のピットレーンスピード違反で後退。
日も大きく傾いてきた残り33周で再スタートが切られると、ハムリンが首位に浮上。これにカイル・ブッシュ、エリック・ジョーンズらが隊列を組んで首位争いを展開。
終盤に入ると、順位争いも激しくなり、接触などでクラッシュが多発。レースを引っ張るトヨタ勢はこれを避けていましたが、残り10周での再スタート時、この日好走を見せていたディベネデットが後方から押されてバランスを崩しスピン。上位車両のスピンで後続が次々に巻き込まれ、21台が巻き込まれる“ビッグ・ワン”となりました。後方から上位浮上のチャンスを伺っていたトゥルーエクス・Jr.も巻き込まれ、レースを終えることとなってしまいました。
レースは赤旗中断となり、25分ほど経て再開。残り6周で再スタートが切られ、今度はカイル・ブッシュが前に出ましたが、またも後方で多重クラッシュ。レースは延長されての最後の2周勝負“オーバータイム”で決されることに。これも1度目は9台が絡む多重クラッシュと大荒れの終盤となりましたが、再度の“オーバータイム”決戦の激しいバトルの末、最後はハムリンが逃げ切り、自身2度目のデイトナ500制覇を果たしました。
2位はカイル・ブッシュ。カイル・ブッシュはトヨタ移籍初年度の2008年夏大会(400マイル)でデイトナを制していますが、デイトナ500は未勝利。悲願の初勝利へ向け首位を争いましたが惜しくも及ばず。3位はレースを通して好走を見せ、終盤には燃圧トラブルで後退したものの見事なリカバリーを見せたエリック・ジョーンズが続き、トヨタは2019年の開幕戦をワン・ツー・スリー・フィニッシュで終えました。
トヨタによるトップ3独占は2007年の参戦開始以来4度目(2011年4月リッチモンド、2016年2月デイトナ、2018年5月シャーロット)となります。開幕戦を制したハムリンは、早くもプレーオフ進出を確実なものとしました。
次戦第2戦は2月24日(日)、アメリカ南東部ジョージア州ハンプトンのアトランタ・モーター・スピードウェイで行われます。
ドライバー デニー・ハムリン
「ここ(ビクトリーレーン)にいられて最高の気分です。我々のトヨタ・カムリは本当に快調でした。トヨタと、支えてくれたすべての人に感謝します。今年、私のチームは多くのメンバーが新しくなったこともあり、ルーキーとも言える状況でしたが、本当に最高の一日になりました」
「最後助けてくれたカイル(ブッシュ)にも感謝します。彼がデイトナ500の勝利を熱望していることは分かっていましたが、今夜はそのタイミングではなかったのかも知れません」
NASCAR XFINITY SERIES
第1戦 NASCAR Racing Experience 300
開催日:2月16日
トヨタ・スープラNASCARデビュー。
初戦デイトナは3位フィニッシュ
2月16日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第1戦NASCAR Racing Experience 300がデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催されました。
今季のエクスフィニティ・シリーズの最大の注目は、昨年までのトヨタ・カムリに代わってのトヨタ・スープラの参戦。今年2019年に市販が予定されているスープラのNASCARデビュー戦となる今大会には、10台ものトヨタ・スープラがエントリーしました。
午後2時49分、2.5マイルオーバルを30周、30周、60周の3ステージ合計120周(300マイル:約480km)して競われる決勝レースがスタート。予選2番手につけたベテラン、ジェフリー・アーンハートが序盤から首位を争い、ステージの最終ラップでかわされたものの4位。昨年同シリーズでのプレーオフに出場しタイトルを争ったブランドン・ジョーンズが5位、クリストファー・ベルが8位と着実にポイント獲得を果たしました。
ステージ2は、ステージ間のピット作業で一気にトヨタ勢がポジションを上げ首位争いを展開。ステージ1に続きステージ2もイエローコーションが出ないまま推移し、ステージ2はブランドン・ジョーンズが2位。アーンハートが5位、ベルが6位。
ステージ3は序盤に2度のコーションが発生するも、後半戦は1列での周回が重ねられることとなり、3番手での走行を続けたブランドン・ジョーンズがポジションアップを狙ったものの及ばず、3位でフィニッシュ。それでもブランドン・ジョーンズはステージ1、2の獲得ポイントによってランキングでは首位に立ちました。
ベルは着実な走りで6位。序盤からレースをリードする活躍を見せたアーンハートは15位でレースを終えました。
次戦第2戦は2月23日(土)、アトランタ・モーター・スピードウェイで行われます。
ドライバー ブランドン・ジョーンズ
「トヨタ・スープラは見た目も格好良いですし、実際に運転しても最高でした。トヨタチームの一員としてトヨタ・スープラをドライブできることは本当に、本当にうれしいです」
「今季これからトヨタ・スープラとともに多くの成功を成し遂げていきたいと思っていますし、個人的には特に1.5マイルオーバルではチャンスがあると思っているので、楽しみです」
NASCAR GANDER OUTDOORS TRUCK SERIES
第1戦 NextEra Energy Resources 250
開催日:2月15日
クラッシュ多発のサバイバル戦をオースティン・ヒルが制す
NASCARガンダー・アウトドアズ・トラック・シリーズ第1戦NextEra Energy Resources 250が2月15日(金)にデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催されました。
今季よりタイトルスポンサーが変わってシリーズ名称も変更となったトラック・シリーズ。年間23戦と他カテゴリーに比べればやや少ないものの、ダートコースを含むなどバラエティに富んだコースや、ベテランと若手が毎回繰り広げるバトルで人気も高く、カップ・シリーズのエリック・ジョーンズ、エクスフィニティ・シリーズのクリストファー・ベルなど、トラック・シリーズで活躍しステップアップしたドライバーも多いカテゴリーです。
このシリーズにはカップ・シリーズのチャンピオンでもあるカイル・ブッシュが自らのチームを立ち上げて若手ドライバーを育成。今大会は、トッド・ギリランド、クリスチャン・イクス、ハリソン・バートンと18歳の若手3名を起用。同シリーズでは18歳未満は1周1.25マイル以上のレースには出場できないため、3人ともに初のデイトナレースとなりました。
予選では、シリーズ5戦目の出場となるイクスがキャリア初となるポールポジションを獲得。ベテランのデイビッド・ギリランドが2番手、息子のトッド・ギリランドが3番手、バートンが4番手とトヨタ・タンドラがスターティンググリッドの2列目までを占める好調さを見せました。
15日(金)、空は完全に闇に覆われた午後7時43分、2.5マイルオーバルを20周、20周、60周の3ステージ合計100周(250マイル:約400km)して競われる決勝レースがスタート。2周目にいきなりデイビッド・ギリランドがパンクに見舞われピットへ。ほぼ同じタイミングで、デイビッド・ギリランドのチームから今大会トラック・シリーズにデビューした21歳の女性ドライバー、ナタリー・デッカーもパンクを喫し、オイルラインを痛めたか車両から出火。レースを終えることとなってしまいました。
昨年、日本人オーナーとして初めてトラック・シリーズでチャンピオンを獲得した服部茂章のチームは、今季ドライバーをオースティン・ヒルへ変更。ヒルは10番手スタートから好走を見せ、ステージ1をトヨタ勢最上位の2位でフィニッシュ。イクスが3位。トッド・ギリランドが10位でポイント獲得を果たしました。
ステージ1、ステージ2は20周と、給油の必要ない周回のためにさまざまなピット戦略が採られ、デイビッド・ギリランドが4位。トッド・ギリランドが8位、ハリソン・バートンが9位。
ステージ3序盤はデイビッド・ギリランドとトッド・ギリランドの親子対決が上位で見られましたが、54周目に12台が絡む“ビッグ・ワン”が発生。イクスが巻き込まれ、ここでレースを終えることとなってしまいました。
一方、ピット戦略でステージ2は下位に沈んだもののステージ3を2位で再スタートしたヒルは、ステージ3で首位争いを展開。残り10周というところで、トップ5圏内につけていたバートンとトッド・ギリランドが周回遅れをかわそうとして接触、ともにバランスを崩して壁に激しくクラッシュ。こちらも上位を走りながら戦列を去ることとなってしまいました。
その後も終盤、クラッシュが多発。レースは延長されての“オーバータイム”2周決戦となりましたが、1度目は10台、2度目の3台が絡む多重クラッシュと大荒れの展開に。
最後は僅か9台しか残らないサバイバル戦となりましたが、度重なるクラッシュを間一髪でかわし、最後まで走り切ったヒルが見事にトップチェッカー。ヒル自身にとってもキャリア初の勝利を飾りました。
次戦第2戦は2月23日(土)にアトランタ・モーター・スピードウェイで開催されます。
ドライバー オースティン・ヒル
「デイトナで勝てるなんて、想像したこともありませんでした。これまでもデイトナである程度良い走りはしてきましたが、望んだ結果にはつながりませんでした」
「最後は燃料残量が心配でしたが、こうしてビクトリーレーンに立つことができて本当に最高です。ハットリ・レーシングとともにこのようなシーズンスタートを切れてうれしいですし、今季はさらに多くの好結果が狙えると思っています」