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『アクアマン』4DXが全世界で200万人動員突破目前! ド派手ながらも絶妙な“水と揺れ”の演出

2019年02月20日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 突然だが、私は「4DX大好き芸人」と言っていいほど、大作映画が公開されるたびに4DXで観る選択をしてしまう。だって、席が動いて面白いんだもん!


参考:世界席巻中の『アクアマン』、興収1位スタート ヒットの秘訣は「作品の独立性」にあり!?


 特に水系映画を4DXで観るのが好きだ。昨年秋に公開されたサメパニックムービー『MEG ザ・モンスター』もすごかった。しかし、2月に公開された『アクアマン』の4DXはそれを上回る完成度だった。実は、『アクアマン』は2018年度の4DX全世界興行成績TOP3にランクインしている(※日本未公開時点)。1位『ジュラシック・ワールド/炎の王国』、2位『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に続き、『アクアマン』は3位と、大作シリーズものと並んで、好成績を残している。4DX版を最後に上映するのが日本であり、すでにヒット中であることから、4DXグローバル動員は200万人を突破する見込みで動いているのだ。


 ただ派手なだけじゃない、映画の世界に入ることを実感させてくれた本作について、通常2D版も鑑賞した私が実体験に基づいて紹介する。


■4DXが培ってきた水の演出の機微に注目!


 本作は全体としては派手な映画だが、細部の演出こそ丁寧で感動してしまうレベルだ。特に水の演出に関しては、場面ごとにあらゆるエフェクトが用意されている。例えば、冒頭のアクアマン/アーサー(ジェイソン・モモア)の両親であるトム(テムエラ・モリソン)とアトランナ(ニコール・キッドマン)が出会うシーンと、クライマックスでアクアマンとオーム(パトリック・ウィルソン)が対決するシーン。この二つのシーンでは、嵐が起きている。基本的に水のエフェクトは前の座席から吹きかけられるのだが、ここでは頭上から霧雨のような水が降りかかってくる演出になっている。キャラクターが雨で濡れているのと同様の状態になり、まるで自分も彼らと同じ場所に立っている感覚になるのだ。


 そして個人的にかなり感動したのが、アーサーを産んで地上で暮らしていたアトランナを連れ戻しにアトランティスの兵士がやってきたシーン。バトルの際に、兵士たちの武器と連動した演出がある。その武器とは水をエネルギーにして撃つもので(かなり強めな水鉄砲と考えてほしい)、彼らのシューティングとともに水が我々にかかってくる。そう、4DXの演出は「水があるところでは、とりあえず水かけとけ!」的なものではなく、物語や設定に沿った“意味のある演出”なのだ。細かい部分ではあるが、そのようなディテールに凝った演出に、ファンとして感動すら覚えた。


 また、実は水中の場面では水の演出がそこまでなく、むしろ陸にいるときに水がかかったり、水に潜ったり、もしくは水飛沫が立つシーンに重点的に施されている点が、よりリアルに感じられた。さらに、メラ(アンバー・ハード)とトムが灯台の上で降り注ぐ雪を手に取るシーンがある。このとき劇場の左上から雪が降る(!)ので、まるでメラがその雪をとったかのように、画面の中と外が見事にリンクし、思わず驚いてしまった。4DXは、本当にスクリーンの中に入り映画の世界観に没入することができると実感した瞬間だった。


 こういった絶妙な演出は、これまで『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』や『MEG ザ・モンスター』など海を舞台とする作品で培ってきた技術の集大成なのだ。だからこそ、本作の目玉でもある水中戦闘アクションは、『アクアマン』4DXで楽しむべき!


■143分、あらゆる演出でエンターテインメントを提供


 そして、本作は水ももちろんだがそれ以上に「揺れ」の演出が凄まじい。中途半端な椅子の座り方だと、リアルに吹っ飛ばされるから覚悟するべし。主にアクションや戦闘シーンでシート自体が揺れ、座席下や背中部分が激しく振動する。アクションシーンにおいて、視界的な激しさだけではなく、そこに本物の衝撃が加わることで、より現実味が帯びその世界に没入することができるのだ。


 その中でも印象的だったのが、アクアマンとメラがトライデントを探しにトレンチが支配する海溝王国に潜入するシーン。ここではジェームズ・ワン監督らしい恐怖演出が施されていて、ホラー映画的な怖さが感じられる。そこに振動が加わることで、より緊迫感が引き立てられるのだ。トレンチの群れから逃れながら、一気に海溝を降りていくシーンは自分も落ちていっているような感覚だった。


 そして、クライマックスのアトランティスと甲殻王国の戦争シーンだ。そこに地響きを起こしながら突如トライデントを持ったアクアマンが、怪物カラゼンと共に登場するわけだが、ここの衝撃具合が半端ない。カラゼンが敵をなぎ倒すときの激しい揺れに、席にしがみつつも、もはや爽快ささえ感じる。


 本作は海中戦闘アクションムービーの側面が強いため、基本的にアクアマンは常に誰かと戦っている。つまり、どこかのテーマパークのアトラクションに乗っているかのような感覚が、143分ぶっ通しであるのだ。しかし、水の演出と一緒で揺れにも機微があるため、決して飽きることはない。


■リピート必須? 吹き替えのクオリティにも大満足


 『アクアマン』はストーリーはシンプルで、アクションが重点的に楽しめる映画。だからこそ、総合エンターテインメントアトラクションとして、何度も観ても楽しめるのがポイントだろう。私のように一度目は2Dで観た人も、またあのエキサイティングな世界を訪れたくて4DX上映に足を運ぶ人は少なくないはず。


 現在都内の4DXシアターでは吹き替えのみの上映だが、字幕版と比較しても、吹き替えのクオリティは想像を超える良さなので、激推ししたい。アクアマンを演じる安元洋貴はじめ、田中理恵、中村悠一、沢城みゆきなどのベテラン声優が参加しているため、“声だけ浮く”ことが全くない。むしろ、激しい揺れで読めない字幕を目で必死に追うより、よっぽどノーストレスで作品を楽しめると思える。


 4DXでの上映は期間限定となっている。ぜひ今すぐ映画館に駆け込んで『アクアマン』4DXで、その迫力を体感してほしい。(文=アナイス)