ブラック企業では、長時間の残業が常態化している。月に80時間の残業は「過労死ライン」と呼ばれ、健康を大きく損ねるリスクがある。キャリコネニュース読者から寄せられた長時間労働にまつわるエピソードを紹介する。
販売・サービス業で働く50代男性は、月間の残業時間が140時間に上る。その理由は、上司が現場のキャパを考えずに受注するためだ。その影響で男性は4か月間、日付が変わるころに帰宅する日々を送っていた。
「仕事終わりの挨拶は『おつかれさん』ではなく『また数時間後に』がお決まりでした」
睡眠時間は4時間程度、プライベートの時間は一切なしという中で、男性はやがて「倒れたら休める」と考えるようになる。この状況を友人に話したところ、
「友達からは、『痩せたな』『そこスーパーブラックやん!』『早く労基に走れ!』『殺されるぞー!』とか言われてました」
と振り返る。
うつと診断され休職 今は「寝たら目覚めなければいいのに」と思う日々
社会福祉士をしていた20代女性は「月100時間残業を3か月連続でしてました」と語る。朝も昼も食事をとる時間もなく仕事に追われ、8時から21時まで働きづめだったこともある。
「11時間休憩なしで働き、帰宅しても疲れているので、風呂に入って寝るだけ。人間らしさなんてまったくありません。口にするのは飲み物だけという日も数日続きました」
女性は心身ともに限界に達し、出勤できなくなり退職。「もう社会福祉士として働きたくないです」と心境を吐露した。
中小企業で営業職として働いていた20代女性は、6時から19時までの勤務を週6日繰り返した。その結果、「2月初旬にうつ病と診断されました」という。3月末までは休職しているが、その後のことを考えると気が滅入り、「寝たら目覚めなければ良いのに」とこぼす。
「11時以降に全員下ネタしか言わなくなる」「自分が何を考えているのか分からない」
役所の保安部員として働いていた30代男性は、残業時間が月間400時間という常軌を逸した生活を1年間続けた。無事でいられるはずはなく、立っているだけで意識を失ったり、幻聴や幻覚を感じたりするようになる。男性は当時のことを次のよう綴った。
「物を記憶できない、15分の休憩でパンを1個食べて10分仮眠。 全ての景色がグレーに見えて何も感じなくなり、自殺をイメージしても怖くなくなりました。仕事と死ぬことしか考えなくなりました」
ほかにも長時間残業により、
「テンションが異常に高くなった」(40代、男性、技術職)
「11時以降に全員下ネタしか言わなくなった」(30代、女性、販売・サービス業)
「自分が何を考えているのか分からなくなった」(10代、男性、販売・サービス業)
など、普段とは違う行動・言動をしてしまうという人もいた。長時間労働を強いるブラック企業は百害あって一利なしの代表格ではないだろうか。