2019年02月18日 19:11 リアルサウンド
株式会社ヴァリューズがマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用して、スマートフォン決済アプリ、PayPayの利用動向を調査発表した。
(参考:PayPayが新「100億円キャンペーン」発表 付与額上限1回1000円など条件は大幅変更に)
2018年12月に実施された「100億円あげちゃうキャンペーン」は、利用金額の20%(月上限25万円のうち最大5万円)が全員に、当選すればさらに全額キャッシュバックするという内容で、当初4カ月間の予定が12月4日~13日の10日間で終了するほど反響があった。
■調査・分析概要
株式会社ヴァリューズは、ヴァリューズ保有モニターパネル(20代以上)のスマホ行動ログデータを用いて、「PayPay」アプリ及び主要決済アプリのユーザーの行動ログを分析。
※行動ログは、ネット行動ログとユーザー属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用。
※アプリユーザー数は、Androidスマートフォンでのインストールおよび起動を集計し、ヴァリューズ保有モニター(20代以上)での出現率を基に、国内ネット人口に則して推測。
※「LINE Pay」は決済機能単独でのログが取得できないため、主要アプリの対象外としている。
■100億円上限額到達の12月13日、約471万人がPayPayアプリを起動
主要決済アプリ(PayPay、Origami、楽天ペイ、PayPal、PayB、QUICPay)の日次起動ユーザー数を2018年12月で見てみたところ、PayPayはキャンペーン開始からの急増が顕著。12月2日にはOrigami、3日には楽天ペイの起動ユーザー数を抜いたそうだ。
12月3日に104万人程度だった起動ユーザーはキャンペーン開始の4日には約203万人と倍増し、さらに12月7日~8日の週末は約366万人に到達。11日にはいったん約350万人を割るものの、12日には約400万人を超え、キャンペーン予算上限額に達した13日は、駆け込み需要と見られ約471万人がアプリを起動したという。
キャッシュバックやポイント還元の効果はわかりやすいのか、12月21日~25日限定で50%ポイントバックキャンペーンを実施した楽天ペイも12月20日にはPayPayから首位を奪取し、キャンペーン期間中の22日には約187万人が利用している。
■12月のPayPay新規インストールユーザーのうち9割がキャンペーン期間に集中
PayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」は、新規ユーザー獲得にも貢献。12月1日には約10万人に満たなかった日次インストールユーザーが、キャンペーン開始前日の3日には約20万人、開始当日4日には一挙に約50万人に到達。週末8日のピークには約60.4万人がPayPayをインストールしました。12月1ヶ月間で約541万人の新規ユーザーのうち、489万人がキャンペーン期間中に集中している。
楽天ペイもキャンペーン開始前日の12月20日に普段よりは多い約6.7万人が新規インストールしたが、PayPayほどの勢いは見られなかった。12月14日の新規インストール増加は、突然のPayPayキャンペーン終了に間に合わなかったユーザーの、次なるお得探しが含まれているのかもしれない。
月次のユーザー数推移からは、10月のサービス開始当初に16.1万人とQUICpayを下回っていたPayPayが、12月に約36倍の581万人に急増し、楽天ペイやOrigami決済アプリを一挙に抜き去ったことがわかる。
■キャンペーンで50代以上のミドル・シニア層を獲得
年代別では、40代がおおむね3割程度で推移しており、利用の中心と見られる。他方50代以上のユーザーもキャンペーン期間前後で2割を超え、終了後は3割以上に達した。決済アプリに親和性の高そうな20代は2割弱で推移している。
■女性とシニアがユーザー増を牽引
PayPayの戦略にキャンペーンはどう奏功したのか推移を見てみると、10月当初10%にも満たなかった女性ユーザーが、キャンペーンの12月には4倍弱の36.0%に急増。お得に敏感な女性の心を掴んだことがわかる。
年代別では、当初14.5%だった50代以上のユーザーが、12月には27.9%増え、全体に高齢化したことがわかる。特に60歳以上の増加が顕著で、10月の4.4%から12月の12.5%へ8ポイントシェアが増加した。相対的に、当初37.7%を占めていた20代が23.6%へと、14ポイント減少している。
■増加する富裕層ユーザー
3カ月間の推移からは、富裕ユーザー比率の増加傾向も確認できる。世帯年収1000万円以上ユーザーは10月の11.2%から12月14.0%へ3ポイント、800万~1000万円未満ユーザーは10月の11.0%から12.5%へ2ポイント増加し、12月時点で合計26.5%に到達している。最も増加が顕著だったのは世帯年収400万~600万円未満と600万~800万円未満の平均的なユーザーで、それぞれ7ポイント、8ポイントシェアを拡大。反対に10月当初48.3%と半数近かった400万円未満のユーザーは、12月時点で28.2%に減少している。
2月12日からは「第2弾100億円キャンペーン」を展開するPayPay。第2弾では支払い手段によって還元率に差が設定され、PayPayボーナスの付与上限が1回あたり1000円、キャンペーン期間中5万円に変更となった。日常の決済利用促進が狙いのようだが、今後、利用者数やユーザー層はどのように変化するのか、他社決済アプリへの影響など、引き続き動向に要注目したい。
(編集部)