2月14~17日に行われたWRC世界ラリー選手権第2戦スウェーデンに、若手ラリードライバーを育成するTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムに参加している勝田貴元が参戦。一時はクラス6番手につけたものの、最終日の最終SSでアクシデントがあり完走はならず、リタイアとなった。
WRC唯一のフルスノーイベントであるラリー・スウェーデンは、雪道を長く走っている北欧出身のドライバーが強いイベント。しかし、勝田は2018年大会で下位クラスのWRC2を制する活躍をみせた。
連覇も睨んで迎えた2019年、勝田は昨年同様にトミ・マキネン・レーシングのフォード・フィエスタR5で臨んだが、今年のラリー・スウェーデンは気温が高く、地面を覆う雪や氷が解けて難しいコンディションとなる。
勝田は競技2日目の15日は一時クラス6番手につける活躍をみせたが、コース脇にある雪壁に接触して20秒をロス。翌16日の競技3日目はスピンした際にラジエーターに雪が詰まってしまい、その除去作業に2分近くタイムを失ってしまう。
迎えた最終日の午前は気温が下がったこともあり、ラリー・スウェーデンらしいコンディションに。勝田はオープニングのSS17でクラス2位タイムを記録して速さをみせた。
勝田はクラス8番手で最終SSに臨んだが、ステージ走行中、コーナーイン側の雪に隠れていた石にぶつかりホイールにダメージを受けてスタック。コースへの復帰を試みたが、それも叶わずリタイアとなってしまった。
「とても難しい週末でした。雪、解けた雪、グラベル、泥などさまざまな路面が混ざる複雑なステージが多く、自分がこれまでに経験したことがないようなコンディションで、自信を持って走ることができませんでした」と勝田。
「本当に運転が難しく、危ないシーンも何度かありました。それでも攻め続けようと努力したのですが、土曜日に雪壁に当たった際ラジエーターに詰まった雪を取り除くため、タイムをかなり失ってしまいました」
「そこでアプローチを変え、自分の順位を受け入れ、少し慎重に良いリズムで走るように切り替えました。日曜日の朝は理想的なウインターコンディションとなったので、とても楽しくドライブできましたし、良いタイムも出ました」
「最終ステージでは慎重に走ったのですが、自分のペースノートに記されていない大きな石がコーナーのイン側にあり、それに当たってしまいました」
「本当に残念ですが、それでも大部分のステージを走りましたし、凍った路面では速さがあったと思います。複雑な路面コンディションでは改善の必要性を感じましたが、今週末は多くを学んだので、今回の経験が将来必ず活きるはずです」
プログラムのインストラクターを務めるヤルッコ・ミエッティネンは「我々が設定した目標を貴元は忠実に守り、大部分のステージで安定した走りを実践した」とコメントしている。
「今年のステージは、経験豊かなドライバーにとっても非常にトリッキーで難しいコンディションだったが、貴元は巧みなドライブを続け、少しでも順位を上げようと頑張った」
「彼はメンタル面に関してもうまく自分をコントロールし、土曜日に置かれた状況が変わってもうまく対応できていたと思う。今回の経験は、きっとこれからのシーズンの助けになるだろう」
勝田が挑む次戦は3月2日に行われるフィンランド・ラリー選手権第3戦イタラリー。フィンランド東部を舞台に争われるスノーイベントで、勝田は初めてトヨタ・ヤリスWRCで実戦を戦うことになる。
WRC2については、3月28~31日にフランス・コルシカ島を舞台に行われる第4戦ツール・ド・コルスにフィエスタR5で出場する予定だ。