フェラーリF1の新車『SF90』には、小さいが重要な要素が隠されている。しかしこれは、肉眼で見てすぐに分かるものではないかもしれない。
これまでと同様に深い赤に彩られてはいるものの、新車のカラーリングは以前のような艶のあるものではなく、マットな仕上げとなっている。つまり2019年のマシンは、伝統的な色合いよりは少し暗めだ。
フェラーリの新代表であるマッティア・ビノットは、マラネロでの新車発表の場でマシンについて以下のように述べている。
「理由は美的なものではなく、技術的なものだ」
「艶を取り除くことで数百グラム減量できている。それほど大きな差には聞こえないかもしれないが、限界まで攻めている場合には、これだけでも効果がある」
100分の数秒を削るために、マシンにこうした変更を施したチームはフェラーリだけではない。2016年にはレッドブルがカラーリングをマットなタイプに変更している。
オフシーズン中に施行された空力レギュレーションの変更は比較的小さなものであったが、新ルールはチームの準備段階に大きな影響を与えたとビノットは話す。
カラーリングは、チームが新シーズンに向けていかに微調整と強化を進めてきたかという一例だとビノットは語った。
「新しい空力レギュレーションは、新シーズンの形勢を一変させる要素となっている。我々は進化を遂げるために、どんな細部でも限界に挑戦してきた」
「2018年と同じものはただのひとつもないと思う。しかしこれは変革ではなく、段階を踏んできたものだ」とビノット。
「攻めるということは、これまでの限界や、達成してきたことを越えようとすることを意味している。新しいマシンは、クルマというものが本来持っている限界値にかなり近いと考えている」
2018年シーズンのSF71Hは、最終的にはメルセデスのマシンに次ぐ出来であったことをビノットは認めた。しかし彼は、冬の間にチームが遂げた進化によって、フェラーリはライバルと同レベルにまで復活すると考えている。
「(昨シーズンのマシンは)最終的に勝てるだけの強さがなかった。けれども基本的なところは良かった」
「我々は過去から学び、問題のすべてを解決し、新シーズンでは確実に準備ができているようにする」