F1王者ルイス・ハミルトンの弟、ニコラス・ハミルトンがBTCCイギリス・ツーリングカー選手権のグリッドに復帰することが決定した。2019年シーズンはモーターベース・パフォーマンスと契約を結び、新たにフォード・フォーカスRSをドライブする。
2015年シーズンにAmD Tuning.comチームのアウディS3セダンBTCCで4ラウンドにスポット参戦した経験を持つニコラスは、元WTCC世界ツーリングカー選手権ドライバーのトム・チルトンと、同じくAmDから移籍のオリー・ジャクソンとともにフォーカスRSのステアリングを握り、自身初のフルシーズンエントリーを果たすことになる。
2月中旬に予定されるスペインでのオフシーズンテストを前に、チームはブランズハッチでシェイクダウンを敢行。脳性麻痺を持つニコラスに対応すべくマシンのコクピットには特別なモディファイが加えられ、その作動確認を行った。
「今年からBTCCグリッドにカムバックして、フル参戦まで実現するなんていまだに信じられない気分だ」と、ルノー・クリオカップUK以来の本格的レース活動に挑むニコラス。
「僕はレーシングキャリアを始めて以降、資金不足や一般的なサポートの欠如などで数多くのカテゴリーに出たり入ったりを繰り返してきた。多くの人は僕の名前が資金集めに有利だと予想するけど、真実はそれと程遠い」
「過去6年間、僕は僕自身の責任のもとにシリーズフル参戦に向け必要なサポートを得るべく奔走してきた。さらに自分の財団運営のために継続的なモータースポーツキャリアを築くことが難しかった面もある」
「これまでは散発的にしかレースやテストをしてこなかったが、それは資金も含め自分自身の責任で可能なレベルで、ちゃんとした経験を積みたいと思っていたからだ。でも、僕が誰と関係があるかで人は判断しがちなものだ」と、F1王者を兄に持つ26歳のニコラス。
それだけに、苦労を乗り越えてイギリス最高峰のツーリングカーシリーズでフル参戦の機会を得たことは「格別の思いがある」と語る。
「BTCCでついにこの機会を得たことを誇りに思う。モーターベース・パフォーマンスのような一線級の競争力を持つチームと契約できたことも信じられないことだ」
「ここまでの道のりはすべて自分の努力で勝ち得たものだという自負があるし、それだけにマシンのシートに座り、ステアリングを握る日が待ち遠しくて仕方ない。そのことを誇りに思うと同時に、僕はまだ経験の浅いドライバーだ。可能な限り全力を尽くし、ドライビングを突き詰め、技術を高め、どこまでいけるかを試してみたいと思う」
ニコラスのマシンはすでに確定済みのレギュラー2台とは異なり、世界的食品企業ネスレが展開する“シュレッデド・ウィート”のバナーではなく、今季からウイリアムズF1のパートナーにもなったIT系企業ROKiTのサポートを得て、3台目のフォーカスRSを走らせる。
「ニック(ニコラスの愛称)を迎えてBTCCに参戦できることを楽しみにしている」と語るのは、モーターベース・パフォーマンス代表のデビッド・バートラム。
「彼は私たちにこれまでと異なるタイプの旅をもたらしてくれるはずだ。彼はまた堅実な決意や学ぶ意欲、そして成功への強い渇望を持っている」と評したバートラム。
「これまでのニックのキャリアや発言、態度を見てきたが、彼のアプローチは非常にプロフェッショナルであり、彼の周囲にいる仲間はものの5分もすれば感化されてしまう」
「我々には彼に可能な限り最高のチャンスを与えるため、充実したプレシーズンテストのスケジュールを用意している。彼自身が新たなマシンとチームを深く理解する時間になるはずだ」