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インディ合同テストに挑んだ琢磨。苦戦の2日間も最後はベテランの意地「セッティングの方向性が行ったり来たり」

2019年02月14日 22:31  AUTOSPORT web

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厳しい表情を浮かべる佐藤琢磨
2月12~13日にテキサスのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)でインディカー・シリーズのスプリングトレーニングが行われ、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨も参加した。

 琢磨は先週のラグナセカのテストからそのままオースティン入り。初めての訪問となるCOTAにやってきた。10~11日にはチームの撮影やメディアデーの対応に追われ、悪天候だったオースティンで忙しい日々を送っていた。

 ようやく時間の取れた11日の夕方にトラックウォークでコースに出た琢磨は、小雨の中をチームのエンジニアやチームメイトのグラハム・レイホールらとコースを1周する。

「すごい登ってるね~」と1コーナーからメインストレートを見下ろしてみる。アップダウンも激しく、低速から高速までバリエーションの豊富なコーナーを持つCOTA。

 F1やWEC、Moto GPは開催されているが、インディカーの開催は今年初めてとなる。インディカーのカレンダーでは今年3月の第2戦として組み込まれており、ここでの二日間のテストは重要になろう。

 琢磨にとっては2019年3度目のテスト。1月にセブリング、先週にラグナセカのテストを消化している。

 だがこのCOTAでは初日から苦戦してタイムが縮まらなかった。マシンを降りてエンジニアのエディ・ジョーンズとの会話中も厳しい表情が見える。

「テストのプログラムはグラハム(レイホール)とわけて進めてますが、グリップ不足とマシンのバランスが問題。高速コーナーに合わせようとすると低速コーナーが遅くなるし、そこのバランスを取るのが難しいですね」


 初日最初のセッションは、1分51秒4207でトップから2.6秒遅れの22番手と大きく出遅れてしまった。チームメイトのグラハムは1分50秒9911で19番手。チームが厳しい状況下にあった。

 午後のセッション2もコースイン&アウトを頻繁に繰り返し、マシンのセッティングの変更を試みながらの走行が続く。3時間のセッションで19周しかしておらず、どれほどピットでの作業が多かったかわかるだろう。セッション2は1分49秒台に入ったが、トップとは2秒以上の差がついたまま。

 初日のトップはルーキーのコルトン・ハータ。初めてのコースでトップタイムをマークして周囲を驚かせた。


 2日目もやや気温が低い中でテスト開始。琢磨は初日のテストを踏まえてのぞんだもののタイムが一向に縮まらず、午前のセッション3はなんと最後尾の25番手。さすがに表情も険しい。

「厳しいですね。セッティングの方向性を探って行ったり来たりしていますが、全体のスピードも足りない。チームメイトのグラハムはタイムも出て来たので、それが明るい兆しではありますが……」という琢磨。

 驚速のルーキー、ハータが2日目午前もトップで、その後にアレクサンダー・ロッシ、シモン・パジェノーと続く。

 2日目最後のセッションは4時間たっぷり設けられていたが、マシンを変更して来た琢磨は最初の1時間は準備に充てた。

 コースインすると、その成果があったのか1分49秒から48秒台に突入。ライブタイミングでも中盤に位置するようになった。

 そしてセッションの終盤に7セット中最後のニュータイヤを投入し、1分47秒7183までタイムを縮め12番手まで浮上した。最後に見せたベテランの意地だった。

 そのままチェッカーを受けてテストは終了。琢磨はマシンを降りた。


「最後になんとかタイムが出ましたけど、完全に良くなったわけではなくて、グラハムが見つけた方向性に少しずつ合わせていきました。トップから2.5秒差も開いていたのが0.9秒差まで来たのでホッとしてますが(苦笑)」

「最初にひどかったバランスがようやく改善されたという感じです。やはりアンドレッティ・オートスポート、ガナッシ、ペンスキーは速いですね。開幕までにあと1回セブリングでテストがある予定ですが、今日のテストの結果を見直して開幕にのぞみたいです」

 開幕のセント・ピータースバーグまで1カ月を切った。琢磨は開幕1週間前の3月2日、3日に鈴鹿に行き、モースポフェスでインディ500優勝マシンのデモランを予定している。