2月13日から、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットでGT500クラス10台、GT300クラス3台のマシンが参加し、ミシュラン主催のスーパーGTウインターテストがスタートした。今回GT300車両は3台が参加しているが、そのうちの一台、トヨタ・プリウスPHV GRスポーツは、これがプリウスPHVのボディをまとっての“シェイクダウン”となった。
2019年から、aprはこれまで使用していたミッドシップのプリウスGTがJAF-GT300規定に適合しなくなってしまうことから、FRのニューマシンを製作。これまでaprが培った技術を活かしながら、フロントにV8エンジンを積むまったく新しいマシンが作られた。ボディはプリウスPHV GRスポーツのものが採用され、スタイリッシュなデザインとなった。
この車両は1月に行われた東京オートサロン2019でお披露目されたが、その前の12月には、旧式のボディを使って「あのときは本当にゆっくり、転がすだけだった(織戸学)」という程度ながらシェイクダウンを行っていた。
とは言え、今回のセパンテストはZVW52型のボディをまとっての初走行。2019年に向けての本格的なシェイクダウンとなる。今回はヨコハマを履く30号車の走行で、永井宏明と織戸学がステアリングを握った。
シェイクダウン時にも確認されているとおり、サウンドは昨年までのものから一変。V8らしい低く大きなサウンドで、広いセパンサーキットでも30号車が近づいてくると、かなり遠くからでも分かるほどだ。そんなサウンドを響かせながら、13日の走行初日は小さなトラブルこそあったものの、まずは無事に走行を終えることになった。
「最初は細かいトラブルもありましたけど、無事に走ることができて良かったです。基本的に危ないことはなかったですね。FRにレイアウトが変わりましたが、クルマの特性がマイルドになった印象です」というのは、昨年もセパンで走り込んだ永井。
「この一日で前に進みましたし、2日目以降に向けてもプランができてきました。最初はスコールの予報もありましたけど、ドライでずっと走れて良かったです。いい一日目でしたね」
また永井とともにステアリングを握った織戸は「順調でしたね。富士では転がすだけでしたが、その素性をもったまま、次の“表情”が見えてきた」と好感触を得た様子。
「それに、エンジンが近くにあるのに暑さが全然ない。まるでレクサスみたいな高級車に乗ってるような感覚でしたよ」
無事にシェイクダウン初日を終えた新たな“子ども”を前に、aprの金曽裕人監督は「いい流れで来ていますよ。僕たちのミスがあったけど、“クルマのミス”はなかったので良かったです」と走行初日を振り返った。
「このプリウスPHVは“IQが高い子”なので育て甲斐があるのを感じています。きっちりと育てていけば、“いい子”になるんじゃないかと思っています。前向きな気持ちになれた一日でしたね」
タイムとしてはまだ他のGT300マシンには及んでいないが、もちろんそこはまだ目指すポイントではない。31号車とともに、2台のプリウスPHV GRスポーツがどんな走りをみせるのか、今後国内でのテストも楽しみにしたいところ。ちなみに金曽監督によれば、今後施されることになるカラーリングも「楽しみにしていてほしい」とのことだった。