ルノーF1チームの目標は、過去3シーズンで積み重ねてきた強力な勢いを2019年も持続させることにある。
「2016年にF1に復帰して以降、ルノーは現在までにチームとして十分な成熟を遂げてきた」とマネージングディレクターのシリル・アビテブールは語る。
「3年間にわたる改革と再建の時期を経て、我々は今やトップチームに挑めるだけの準備が整っている。実際そうなるまでに若干の時間はかかるだろうが、それでも射程圏内にはもうすぐ入ると考えている」
2016年にロータスを買収して再度フルワークスチームとなったルノーF1には、復活に向けて膨大な量の作業が待ち受けていた。以前F1に参戦していたときと同様、チームのシャシー部門がイギリスのエンストンにファクトリーを構える一方で、パワートレインの開発と製造はフランスのビリーにあるルノーの施設で行なわれている。
「会社のさまざまな要素を、もう一度立て直さなくてはいけないということは分かっていた。各種設備、人材、それにチームとしての自信もだ。エンストンに関しては、包括的な再建プログラムを導入した。新しいビルを建てたほか、風洞設備のアップグレード、超近代的なオペレーションルームの新設や新たなシャシー工作機械の導入など、生産設備をリニューアルしたのだ」
「さらに大規模な人材リクルートを行なったことで、スタッフの総数は50%増えた。そしてビリーでも同じような再建作業が続けられている。エンジンダイナモに新たな投資を行なったほか、現在建築中の新しい施設が2020年に竣工したら、エンジン組み立ての機能をすべて移すつもりだ」
レッドブルF1のドライバーを務めていたダニエル・リカルドは、2年契約で2019年からルノーに移籍する。またニコ・ヒュルケンベルグは、ルノーでの3シーズン目を迎えることになる。
「我々のドライバーラインアップは現在のグリッド上で最強、少なくとも最強のひとつと言えるだろう」とアビテブールは語る。
「ダニエルが優勝経験という実績やトップチームで戦うことの知見をもたらしてくれる一方、ニコはハングリー精神を持っている。彼はひどく過小評価されているがスピードがあり、強い決意を秘めていて、いつもスタッフを刺激してくれる存在だ。彼らはそれぞれが非常に強いドライバーであると同時に、互いを完璧に補完し合えるコンビだと思う」
アビテブールは、ルノーがコンストラクターズ選手権で獲得してきたポイントの推移が、チームの進歩の度合いを示していると語っている。実際に2016年に8ポイントを獲得して9位だったルノーは、2017年に57ポイントで6位、そして2018年には122ポイントで4位にまで順位を上げている。
「2018年のコンストラクターズ選手権で我々が示せた進歩は、全体として見ればサクセスストーリーと言えるものだ」とアビテブール。
「さらに先へと進歩していくには、これまでよりもう少し時間がかかると言って差し支えないだろう。それはもう非常にはっきりしている。我々はその状況をきちんと見極められる程度には、謙虚でかつプロフェッショナルな集団だ。だが、我々の狙いが的外れでないことが、多少なりとも立証されることも重要だと思っている」
122ポイントで4位だったチームがトップ3に挑むには、さらに大きな躍進が求められる。2018年シーズンはメルセデスが655ポイント、フェラーリは571ポイント、レッドブルは419ポイントをそれぞれ獲得している。
アビテブールは2019年シーズンのルノーについて「我々の目標は、今持っている強力かつ調子の整った勢いを持続させることだ。何位を目指す、何ポイントを獲得するということではない。現在の良好な軌道がそのまま延びていくことを望んでいる」と説明した。