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Modulo Drago CORSEがホンダNSX GT3エボをセパンに投入。「確実に進化する」と手ごたえ

2019年02月14日 11:01  AUTOSPORT web

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Modulo Drago CORSEのホンダNSX GT3エボ
2月13日から、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットでGT500クラス10台、GT300クラス3台のマシンが参加し、ミシュラン主催のスーパーGTウインターテストがスタートした。今回GT300車両は3台が参加しているが、そのうちの一台、Modulo Drago CORSEがホンダNSX GT3エボのパーツを投入した。

 2019年に向けて、ホンダはNSX GT3のエボリューションパーツを投入し、世界各国のカスタマーレーシングカーチームに向けてリリースを開始した。外観面では、フロントスプリッターやディフューザー等を採用したことでの空力改善、バランスの最適化が行われたほか、冷却効率の改善、あらにボッシュ製のABSが採用される。

 スーパーGTで初めてNSX GT3を投入した2チームのうちのひとつであるModulo Drago CORSEは、2018年中からエボパーツの投入を決定。さらに、チーム代表である道上龍が「日本が寒い時季の、限られた時間の中でテストをするよりは、セパンテストは4日間あるし、一日中走れるので、不具合やタイヤのいいところを見つけたい」とオフシーズンの貴重な走り込みの機会であるセパンテスト参加を決め、これに間に合うように発注をかけた。

 そんな準備を整えて挑んだModulo Drago CORSEだったが、税関のトラブルで車両到着が遅れ、さらに期待のエボパーツも到着が走行前日になってしまう。実はエボパーツは、IMSAウェザーテックスポーツカー選手権の開幕戦デイトナ24時間でアキュラNSX GT3に装着されたものが実質“世界初”登場。まだパーツもほとんどストックがないようで、今回Modulo Drago CORSEに納品されたものがカスタマーチームへの装着としては初めてのものになるという。

 そのためJASモータースポーツのスタッフ、さらにアジアでサポートを担当するM-TECのスタッフも協力しながら、走行前日の夜までには装着が完了。まだすべての“エボ化”が完了したわけではないが、大きなトラブルもなく13日の5時間40分の走行を終えた。

■ドライバーはリヤのダウンフォース増を実感
 走行後、道上龍、そして大津弘樹のふたりにエボパーツを装着したNSX GT3のフィーリングについて聞くと「NSX GT3はリヤがピーキーなところがありましたが、最初にコースインした印象では、リヤのダウンフォースが出ている印象ですね(道上)」、「乗りやすくなっていると思います。同じサーキットで走っていないので純粋な比較はできませんが、リヤの不安定さは減っていて、安定感が増している印象です(大津)」とふたりのコメントは共通している。

 道上が「フロントスプリッターの変更でマイルドになりすぎるかとも思いましたが、そういうところもない。そして何よりカッコいいですね(笑)」と語るように、タイヤの合わせ込み、そしてリヤのダウンフォースが増えたことにより、フロントを合わせれば戦闘力が確実に上がることを実感できたようだ。

 また、エボパーツの装着に加え、これだけの長時間走ることができるセパンテストに参加したことを、ドライバーふたりが大いに満足しているようだ。もちろん費用の面では決して安いものではないが、そのコストをかけただけの“得るもの”がある様子。

「すごく充実していますね。こんな環境で、これだけ走ることができる機会はなかなかないです」と語るのは、走行後大粒の汗をかきながらも笑顔で話した大津だ。

「一周一周、いろいろなことを試しながらやっています。本当に充実した時間を過ごせています」

 また「僕は2013年以来ひさびさのセパンですが、コースは何も変わってないですね(笑)」というのは道上。

「ただ、GT300で走るのは初めてですし、2020年はここでのレースも復活するので、先に練習ができることも大きいです。昨年できなかったことも多くできました」

「エボパーツをつけたばかりですし、トラブルだけは出さないようにしたいと思っていましたが、初日をこうして終えることができたので良かったです。あとはまだまだ合わせ込みが必要ですが、今年に向けて確実に進化するだろうな、という手ごたえを感じています」

 2019年はNSX GT3を使用するライバルチームも増え、Modulo Drago CORSEにとっても新たな戦いが要求される。今回のセパンテストは、NSX GT3を一年使ってきたチームにとっては、その自信をさらに深めるテストとなりそうだ。