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救助隊らの必死の声届かず 生活苦でホームレスになった母親、10歳息子を道連れに無理心中(コロンビア)

2019年02月13日 10:11  Techinsight Japan

Techinsight Japan

橋の上から息子と一緒に身を投げた母親(画像は『Jessy Paola Moreno Cruz 2019年2月9日付Facebook』のスクリーンショット)
経済格差が激しいといわれる南米コロンビアで、このほど経済苦に陥ったシングルマザーが息子を道連れに無理心中するという悲劇が起こった。母親を思いとどまらせようと懸命に説得を試みた緊急サービススタッフらの声は悲しくも届かず、現場では号泣する人たちの姿が見られた。『The Sun』『Mirror』などが伝えている。

コロンビア中西部トリマのイバゲ市で、母子が「La Variante(ラ・ヴァリアンテ)橋」の上から100メートル下に転落死した。

亡くなったのはジェシー・パオラ・モレノ・クルスさん(32歳)と息子のメイ・セバロス君(10歳)で、ジェシーさんはメイ君を道連れに無理心中したと見られている。地元メディアによると、シングルマザーだったジェシーさんは経済苦に陥っており、住んでいた家の家賃が払えずに家を追い出された後、ホームレス生活を強いられることになったという。債権者の執拗な取り立てで返済のプレッシャーから追い詰められたジェシーさんは、橋の縁でメイ君を腕に抱え飛び降りようとした。

駆けつけた警察官や消防士、医師や心理学者、イバゲの保健省職員らが1時間にわたりジェシーさんの説得を試みた。メイ君も橋の縁を握りながら母親に向かって「飛び降りないで」と懇願していたようだ。しかし人々の声を振り切って、ジェシーさんはメイ君を連れて橋からジャンプしてしまったのだ。その瞬間を目撃した人の中には耐えきれず号泣する者や、涙を見せる消防士らの姿もあった。ラファエル・リコ消防士は「飛び降りないでと懇願し説得に努めましたが、悲しくも我々の声が届くことは叶いませんでした」と無念さを口にした。

このニュースを知ったイバゲ市のグィレルモ・アルフォンソ・ジャラミロ(Guillermo Alfonso Jaramillo)市長は、「この母子の死は、イバゲやコロンビア全体が直面している酷い経済状況と大きく関わりがあります。コロンビアには似たような状況で、脅迫されたり強請られたり、強要されたりして苦しみ、死に至るという人は多いのです」と話している。現在、遺体捜索も含め地元警察がこの件を捜査中とのことだ。

ジェシーさんは過去に自身のFacebookで息子との幸せそうな姿や自分の写真などをよく投稿しており、昨年8月にも「気分は最高」といった言葉を記していたという。このニュースを知った人からは「もう引き返せないところまで来てしまったと思う人たちの気持ちは相当辛いものだと思う。悲しい…」「きっと子供は死にたくなかったんだろうな」「すごく悲しいけど、コロンビアではよく起こっているんだろうね」「こうなる前に周りのサポートが得られなかったのかな」「身勝手な女。子供を道連れにするぐらいなら何でも仕事して稼げばよかったじゃないか」「子供を道連れにしなければどうにもならないほどの苦しみを母親は抱えていたんだろう。我が子を好んで無理心中させる親などいない」「それでもやっぱり、罪のない子供は母親に将来を無残に奪われたわけだから、どうにかして心中せずに他の方法がなかったものかと思ってしまう」「悲しすぎる。どうか2人とも安らかに…」といった声があがっている。

画像は『Jessy Paola Moreno Cruz 2019年2月9日付Facebook』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)