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『家売るオンナの逆襲』大石静が脚本に潜ませた恋愛要素 北川景子と松田翔太の“共通点”を探る

2019年02月13日 06:01  リアルサウンド

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 高校2年の6月、マンチッチこと三軒家万智(北川景子)は忽然と姿を消した。彼女はホームレスになっていたのだ。公園で震えている三軒家に、「何か欲しいものある?」と三瓶良雄(松田翔太)が尋ねると、彼女は「帰る家」と答えたのだとか。そのことがきっかけで、三瓶は名前も変えて不動産屋になろうとした。


参考:「メンブレ」新入社員・鍵村が嫌いになれない! 『家売るオンナの逆襲』草川拓弥、“我が道”を進む


 『家売るオンナの逆襲』(日本テレビ系)の新キャラクター・留守堂謙治(松田翔太)と言えば、ミステリアスな雰囲気に包まれながら、優しい言葉で人々に好感を抱かせる姿が印象的である。これまでには足立(千葉雄大)や白洲(イモトアヤコ)も、留守堂という人物に魅了されてきた。しかし、小学生時代の彼は、“ドジスケ”というあだ名を付けられ、容姿も現在とは大きく違っていた。本名は三瓶良雄。小学生の頃、三軒家に人工呼吸をして助けられたときの思い出を今でもしっかりと覚えており、彼女に対して関心を抱くきっかけとなった。


 さて、そんな留守堂は、言うまでもなく新シリーズの鍵を握る人物だが、三軒家と留守堂とでは、対照的なところがある。三軒家は家を売るときには、ハキハキとした口調で物件を提案し、動き方もやけに機敏。一方、留守堂はそっと顧客に寄り添うような語り口、振る舞い方で信頼を勝ち取るという手法を取る。どちらも、“顧客が本当に望むこと”を叶えようとする点では似ているところはあるものの、アプローチの仕方には違いがあるとも言える。


 とはいえ、三軒家と留守堂には共通しているところもある。2人はどちらも、大人になってからは様々な点で大きく変わってしまったのだ。三軒家は小学生のころは、面白いことを言って、クラスのみんなを笑わせるような存在であった。今では滅多に笑顔を浮かべることもなく、ムードメーカー的存在とはほど遠い。一方、留守堂は小学生の頃はいじめられっ子であったわけだが、前述の通り名前も変えて、さらには容姿も変え、すっかり別の人間として人生を歩んできた。


 昔と今とでは全く違う人間である2人。そして、一人はもう一人を憧れの人物として追い続けてきた。本作の脚本を務めた大石静は、言わずと知れたラブストーリーの名手であり、やはり随所で恋愛要素が散りばめられている感がある。留守堂は三軒家にありのままの言葉を伝える。


「あの時と同じ気持ちで、僕は今もあなたを愛しています」


 もちろん、すでに三軒家には屋代(仲村トオル)というパートナーがいるわけであり、昔とは違い「帰る家」だってある。だから、2人の恋仲は考えにくいものの、三軒家に「負けた」の一言を言わしめたように、留守堂が何かにつけて三軒家の前に立ちはだかってくる展開は気になるところである。(文=國重駿平)