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『トレース~科捜研の男~』小雪がキーパーソンに 錦戸亮が揺れ動く心情表す名シーンも誕生

2019年02月12日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 錦戸亮が主演を務める『トレース~科捜研の男~』(フジテレビ系)が、2月11日に第6話を迎えた。新章突入と銘打たれた今回の物語では、真野礼二(錦戸亮)の過去の真相が一気に究明へと向かっていく。そこでは、科捜研の科長・海塚律子(小雪)がキーパーソンとなっていた。


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 河川敷でホームレス男性・新妻大介の死体が発見される。その事件は、25年前に真野の家族が殺された「武蔵野一家殺人事件」と繋がっていたのだ。手がかりとなるのは、現場に落ちていた血液のようなものが付着した軍手。しかし、海塚の意向により、真野はホームレス男性の事件から遠ざけられていたのだ。


 海塚は、科捜研の前科長・藤田の下で武蔵野一家殺人事件の鑑定を行っていた。その頃、DNA型鑑定はまだ研究段階で普及していなかったが、藤田らは真実を未来へ繋ぐために検体を多く残そうとした。しかし、科捜研に鑑定書の控えやメモ、事件に関する全ての資料を提出する命令が出どころの分からない場所から下される。科捜研には、改ざんされた鑑定書の控えが残されたのみ。しかし、病死した藤田は捜査資料が記されたノートを妻に託していた。


 ノートは先回りした海塚の元へ。海塚から全てを聞いた真野は、なぜホームレス事件から自分を外したのか、科捜研が隠蔽に関わっていたことを当然追求する。「あなたが心配だったからよ」。明言はしないものの、海塚は何か巨大な組織が関わっていることを示唆し、真野に真実が記されたノートを開くかどうかを託す。真野が海塚を怒りにも似たような表情で見つめ、ノートに手を伸ばすかを決める数秒の間は、海塚が覚悟を持って打ち明けた思い、そして裏にうごめく圧力を全て背負い込んだ真野の揺れ動く心情が見える名シーンであった。


 補足ではあるが、原作コミックの漫画家・古賀慶がツイートしているように、原作で海塚は人の良さそうな“おじさん”。実写ドラマ化により、なぜ女性になったのかは明らかではないが、今回真野が過去に向き合う大きな手がかりを掴む上で、沢口ノンナ(新木優子)でもなく、虎丸良平(船越英一郎)でもなく、上司の立場であり温厚な海塚だったのは適任と言えるだろう。


 ノートを開いた真野は、当時姉が妊娠3カ月で殺されていたということを初めて知ることとなる。一方で、ホームレスの事件は警察庁の命令により打ち切りに。これまで度々登場してきた警視庁刑事部長の壇浩輝(千原ジュニア)が、ホームレス事件の鑑定書に記された真野の名前を見て不敵な笑い声をあげる場面も。壇は武蔵野一家殺人事件にどのように関わっているのか、真犯人が誰かという一番の謎に近づく後半戦の“トレース”は壇に間違いない。そして、沢口や虎丸が真野の異変に気づき始めているのも注目すべきポイントだ。真野のバディである沢口、犬猿の仲だが科捜研として真野に抜群の信頼を寄せる虎丸が、それぞれどのように寄り添っていくかも見ものである。
(文=渡辺彰浩)