2019年02月11日 11:41 リアルサウンド
『バイオハザード RE:2』のゾンビはどうして怖いのだろう。もちろん初代『バイオハザード』からゾンビは怖かった。だが『バイオ4』以降シューターに近い操作感になった『バイオ』のゾンビは、どこかでかつての恐ろしさを失ってしまったように思う。
だが、今回のゾンビは文句なしに怖いのだ。『バイオ7』は1人称視点という斬新さからゾンビに恐怖が生まれていた側面が強いが、『バイオRE:2』は『4』以降お馴染みのTPSスタイルだ。それなのにどうしてここまでゾンビが怖い。
この記事では『バイオハザード RE:2』のゾンビの恐怖の理由に迫るべく、ゾンビの恐怖感を演出している3つの理由について考察する。
(参考:『バイオハザード RE:2』はいかに“恐怖を奏でた”か? サウンドチーム&プロデューサーに聞く)
何発撃てば倒せるのかわからないランダム性
ゾンビといえば“撃っても撃っても倒せない”のが、『バイオ』シリーズに限らず一般的なイメージだが、『バイオRE:2』のゾンビはそのイメージを裏切らないタフさを備えている。
過去作でもゾンビはまともに戦っていると銃弾が何発あっても足りなくなるほどタフだったのだが、今回の『バイオRE:2』では“ゾンビによって倒すのに必要な弾数が違う”という仕様があり、これがさらにゾンビが頑丈な印象を強化している。
既に本作をプレイしている方ならおわかりいただけるだろうが、今回のゾンビは倒したり部位破壊に必要なダメージ量にかなり振れ幅があるのだ。
4発も撃てば倒せるだろうと油断していたら5発撃っても倒れず、そのまま近づかれてガブリ……なんて展開になったプレイヤーも多いのではないだろうか。
残り体力がわからないというのは、存外プレイヤーを不安にさせるものだ。
こだわり抜かれた“噛みつき”の表現
ゾンビの唯一にして最恐の武器、それが噛みつきだ。
『バイオハザード』シリーズの影の主役とも言えるゾンビがもっとも輝く瞬間が噛みつきの場面なわけだが、今作の噛みつき表現はシリーズ最高峰と言っていいほどの出来栄えだ。
噛みつかれた際の手ブレ風カメラワークに、血の滴る音から歯が肉に食いこむ音まで聞こえるリアルな噛みつき音、そして噛みつかれた後に首筋に出来る赤い歯形。全てが恐怖に繋がっている。
ゾンビに個性がある
今作のゾンビの見た目は様々で、太っているゾンビもいれば痩せているゾンビもいて、男のゾンビに女のゾンビ、ハゲているゾンビからチェックシャツにジーパンというオールドスクールなオタクファッションのゾンビまで存在する。
ゾンビの外見に個性があると、プレイヤーは知らず知らずのうちにそのゾンビの風貌を覚えてしまう。そして1度スルーしたゾンビにのちのち再会した時、「あ、このゾンビはあの時の!」と驚くことになる。
ゾンビの一匹一匹に与えられた個性は、生前のバックボーンを想像させる意味でも怖く、プレイヤーに強烈な印象を植えつける。
もうゾンビを脇役とは言わせない
タイラントにリッカー、それにGとインパクトの強いモンスターの数多く登場する『バイオ』シリーズで、いつしかゾンビは単なる“雑魚敵”としてゲームの隅に追いやられていた。
だが、今回の『バイオハザード RE:2』でゾンビは、リッカーやタイラントと同等にプレイヤーに恐怖を与える存在へと再び昇華している。
「おかえりゾンビ。よくぞ、また怖くなってくれた」そう思いながら、私は今日もまたレオンとクレアの首筋に歯形を作っている。
(脳間 寺院)