2月8日、2019年のNTTインディカー・シリーズ最終戦が開催されるラグナセカでインディカーテストが開催され、年間エントリーをしている11チーム23台が揃った。
ラグナセカをアメリカンオープンホイールの最高峰が走るのは、2004年のチャンプカー以来。ただ、この日は昼から雨の予報がなされており、AJフォイトの2台は現地入りしスタンバイしたものの、このテストをスキップしてテストデイを1日温存した。
雨で走行時間が少なくなることを予想して、テストは30分繰り上げて朝8時から始まる。
レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨は1月のセブリングテストに参加しており、2019年になってからは2度目のテストだが、ラグナセカの走行は2010年にロータスのプロモーションで走行して以来。「コースもう忘れちゃった(笑)」と本人が言うくらいだ。
セッション開始早々に琢磨もコースイン。気温が低くさらに路面に砂が出やすいラグナセカのコースは、グリップが悪くペースがあまり上がらない。初めてインディカーで走ることもあるが、それを差し引いても苦戦している様子だった。
その証拠にチームメイトのグラハム・レイホールもタイムが縮まらず、チーム自体がベースとなるイニシャルのセッティングが的外れだった様子だ。
「今年から新しいエンジニアも入ってきて、今回のテストもエンジニアが頻繁にインフォメーションを交換してくれていたんですけどね。まずはテストの走行時間が早く気温も上がらなかったし、砂も出ていて路面状況が最悪だった」
「ブレーキングも難しかったし、ちょっとラインを外しただけですぐにグリップしなくなった。まだ車を評価出来るくらいの状況までいけませんでしたね。とは言っても他のチームは、もっと良いタイムを出しているのだから、今回はチームが苦戦していたと思います」と琢磨は状況を語った。実際にコースオフするマシンも多く、赤旗になる時間も多かった。
■名物コーナー・コークスクリュー攻略を楽しむ琢磨
ラグナセカと言えば、名物コーナーのコークスクリューだ。山の頂点から駆け下りるようなこのコーナーを、初めてインディカーで走る琢磨はどう感じたのだろうか?
「何度かブレーキングからラインを外してしまってザナルディみたいになりました(笑)(96年CARTのレース。ファイナルラップでアレックス・ザナルディがブライアン・ハータのインに飛び込んでオーバオテイクした有名なシーン)」
「坂を登り切る前からブレーキングが始まっているんですけど、そこからターンインするところが下が見えない。だからコーナーに入ってから『えっ、ここだった?』ってなることもありました(笑)」
「なるべく一本の直線になるようなイメージで走りたいんだけど、縁石を跨ぎすぎると遅くなっちゃうし、エイペックスからちょっと外側を走る感じでいくと速く抜けれそう。最初はちょっと手こずりましたね」と言いながら難攻不落のコーナーを攻略する楽しみを味わっていた様子だ。
午前のセッションは12時30分で終わったが、ちょうどその頃から雨が落ち始めコースは完全なウエット状態に。天候の回復も見込めなかったことからは、セッションは途中でキャンセルとなり終了した。
琢磨は4時間半のセッションで3セットのタイヤを使い46周、1分12秒318をマークして16番手に。チームメイトのグラハムは1分12秒650で19番手。
トップタイムはカーリンのマックス・チルトンで1分11秒287。2番手にはルーキーで日本でも馴染み深いフェリックス・ローゼンクビストが1分11秒329をマークした。
ペンスキー勢も最速のシモン・パジェノーが9番手と苦戦。F1から転向したマーカス・エリクソンは1分12秒422で17番手だった。
インディカーは来週サーキット・オブ・ジ・アメリカで二日間の合同テストを行う予定。ほぼ全車が初テストとなり、今季を占う上で重要なテストとなりそうだ。