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本山哲、GT500を“引退”。2019年はニッサン系チームエグゼクティブアドバイザーに就任

2019年02月09日 15:21  AUTOSPORT web

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2月9日、ニッサン/ニスモのモータースポーツ体制発表会に続いて行われたGT500引退セレモニーに登場した本山哲
日産自動車/ニスモは2月9日、神奈川県横浜市の日産グローバル本社ギャラリー内のホールで2019年モータースポーツ活動計画発表会を行い、このなかで2019年にスーパーGT GT500クラスに参戦するドライバーラインアップを発表したが、このなかにJGTC/スーパーGTで三度のチャンピオンを獲得した本山哲の名はなかった。体制発表後、会場の日産ホールで、本山に対するGT500引退セレモニーが行われた。ただし、レーシングドライバーとしての引退ではないとしている。

 1971年生まれの本山は、全日本F3選手権を戦った後、1996年からフォーミュラ・ニッポンとJGTC全日本GT選手権に参戦を開始。JGTCでは97年からGT500クラスに参戦し、R33スカイラインGT-Rのラストイヤーとなった2003年、JGTC最終年で、フェアレディZのデビューイヤーだった2004年にチャンピオンを獲得。連覇を果たした。

 また、R35 GT-Rのデビューイヤーで、多くのプレッシャーがかかった2008年第1戦鈴鹿では、期待に応えブノワ・トレルイエとのコンビで優勝を飾ると、その年は自身3回目となるチャンピオンを獲得。2015年にロニー・クインタレッリが4回目の王座を獲得するまでは、脇阪寿一や立川祐路と並び、歴代最多チャンピオンの記録を誇っていた。

 フォーミュラこそその活動を終えているものの、17年にはF3やスーパーフォーミュラをドライブ。また22年にもおよぶキャリアを重ねながらも、今なお一線級の速さをみせつけてきた本山。しかし2月9日、2019年のニッサン/ニスモの参戦体制が発表された瞬間、本山に2019年のGT500のレギュラーシートがないことが確定した。

 この日、日産ホールで行われた体制発表会でGT500のドライバーラインアップが紹介された後、本山に対してセレモニーが行われ、本山はひとりステージに登壇。これまでのキャリアと今の思い、そして今後について、詰めかけたニッサンファンに向けて語り始めた。

「何から話していいのか、非常に難しいのですが……」と口を開き始めた本山は、まずはニッサン/ニスモ、そしてファンへの感謝を語った。

■ドライバーとしてのサポートに感謝。「ニッサン/ニスモの結果に貢献したい」
「まずは本当に、長い間素晴らしい環境のもとで走らせてもらえたニッサン/ニスモ、そしてここや日本全国にいるファンの方々、そして僕が走ることに協力してくれるすべての人々に対して感謝申し上げます。ありがとうございました」

「ドライバーとして、まわりの方に好き勝手やわがままも言って、ドライバーのするべきことだけに専念する環境を作っていただき、好きに振る舞ってレースをさせていただいて、ニッサンに入ってからはスーパーGTだけではなく、ル・マンなどさまざまな挑戦をすることができましたし、ドライバーとして成長することができ、皆さんがバックアップしてくれたことに感謝しています」

「そして自分がドライバーになれたことは、自分の家族、両親の影響が大きい。自分で言うのもなんですが、これだけ立派なレーシングドライバーに育ててくれた両親にも感謝しきれません」

 ただ今回、GT500を下りることになった本山だが、「ドライバーとしてレースで勝つということに関して人並み以上にこだわりを持ちすぎ、それが逆にモチベーションとなってレースを続けてきた。そしてその気持ちがなくなったわけではない」と、レーシングドライバーとして引退するわけではないという。

 そして今季はニッサン/ニスモのエグゼクティブアドバイザーとして、そして後進の指導にあたりたいという。

「今年はニッサン/ニスモのGT500のエグゼクティブアドバイザーに就任させていただきました。GT500だけではなく、ニッサン/ニスモ全体のモータースポーツの内容、結果が向上するようにさまざまな部分で少しでも貢献し、ファンの方々に喜んでいただけるレースを見せられれば」

「そして日本人ドライバーで、海外に通用するような力のあるドライバーが出てきてくれると、日本のファンも盛り上がると思います。そういったところでも微力ながら応援し、発掘、サポートしていければ」

 本山の挨拶に続き、本山のこれまでのキャリアのなかで関係が深かったTEAM IMPUL星野一義監督、ニスモ柿元邦彦アンバサダー、ミハエル・クルム、松田次生、柳田真孝、星野一樹、安田裕信、千代勝正、そして田中利和監督が登壇。花束を渡し、本山への感謝を述べた。

 感謝に対し、本山は「本当に嬉しいです。長い間、いろいろなところで走らせてもらって、いろいろな人との思い出もあります。まだ実感はないんですが、純粋にレースがしたい、速く走りたい、勝ちたいという気持ちをもってきましたし、今後ももち続けて仕事をしていきたい」と締めくくった本山には、ファンから大きな拍手が送られた。