頭部と頸部を保護する救命デバイスであるHANSの共同開発者でエンジニアのロバート・ハバード博士が、2月5日に75歳で死去した。
ミシガン大学で人間の頭蓋骨の物理的および力学的特性を学び、博士号を取得したハバード博士は、1970年代にゼネラルモーターズで生物医学工学を専門とし、初期の衝突テスト用ダミーを用いて衝突事故に関連する怪我の研究を行なっていた。
レース中の事故によるドライバーの死亡原因としてよく見られる、頭蓋底骨折による死亡事故を防ぐ取り組みのなかで、ハバードはIMSAドライバーのジム・ダウニングと組み、HANSデバイスの設計開発を行なった。
ダウニングは1981年に親しい友人だったパトリック・ジャックマールを、ミッド・オハイオ・スポーツカー・コースでのテスト中に事故で亡くした。この悲劇をきっかけに、ハバードとダウニングは正面衝突時に頭部が前方へ動くのを抑えるための方法を見出すために尽力することになった。
繰り返し製作された初期のHANSのプロトタイプ大きく、使用は実用的ではなかったが、肩に載せる安全装置のアクシデント下での保護力は、明らかに誰もが認めるものだった。
さらなる開発でハバードはデバイスのサイズを縮小することに成功。これによってHANSはほぼすべてのレーシングカテゴリーにおいて、ドライバーを保護するための画期的なグローバルスタンダードとなり、義務化されることになった。
「彼は自分が作り出したデバイスをとても誇りに思っていた。そのおかげで彼は、人生をとても良い形で締めくくったのだ」とダウニングはRoad & Trackに語った。
「彼はこのアイデアを見つけるまでに、考えに考え抜いた人間のひとりだ」
「頭と首がどう動くのか、どのように怪我をするのか、事故で何が起こるのかについてのニュアンスを知るバックグラウンドを持つ人間がいたことは、我々全員にとって幸運なことだった」
「彼の親友は仕事だったのだ」とダウニングは付け加えた。
「世の中の人々は今日、彼についてとても良いことを言うだろう。皆、彼に感謝しているのだ。本当に大きな感謝をね」
「彼と、彼がHANSによってレースに貢献した歴史について、多くの人々が感謝しているというのは感動的だ」