2018/2019年WEC世界耐久選手権“スーパーシーズン”に参戦しているSMPレーシングは2月7日、元トロロッソ・ホンダF1のブレンドン・ハートレーを第6戦セブリング1000マイル、第7戦スパ・フランコルシャン6時間で起用すると発表した。
ロシア初のLMP1チームであるSMPレーシングは、2018年から翌2019年にまたがるロングシーズンからシリーズ最高峰クラスへの参戦を開始。11号車と17号車という2台のBRエンジニアリングBR1・AERを投じTOYOTA GAZOO Racingやレベリオン・レーシングなどのLMP1チームと総合優勝を争っている。
そんなSMPレーシングの11号車BR1には、元F1王者で2018年にはスーパーGT500クラスチャンピオンを獲得したジェンソン・バトンがミカエル・アレシン、元F1ドライバーのビタリー・ペトロフとともに登録され、この3名で第5戦上海ではチーム最高位タイとなる総合3位表彰台を獲得した。
しかし、スーパーシーズンも残り3戦となった2018年末、チームはバトンがスーパーGTを優先するためにWECの2戦、具体的にはセブリングとスパを欠場すると発表。2019年1月28日に発表されたセブリング1000マイルのエントリーリストでも11号車BR1の第3ドライバー欄はTBAとなっていた。
その空きシートを埋めることとになったのが、2017年から2018年にかけてトロロッソ・ホンダからF1に参戦したハートレーだ。
トロロッソ加入以前はポルシェのLMP1ドライバーを務めていたハートレーは2014年からポルシェのワークスカーをドライブし、翌2015年にシリーズチャンピオンを獲得。2017年にはル・マン24時間で総合優勝を飾り、2度目の戴冠も果たしている。
そして、この年の後半からF1に参戦したニュージランド人は2018年シーズンを含め通算25戦を戦うも、2019年のF1レギュラーシートを確保するには至らず。今月になってフェラーリF1のシミュレータードライバーとなることがアナウンスされていた。
WECスーパーシーズン終盤戦でバトンを欠くSMPレーシングは、そんなハートレーに代役の白羽の矢を立てた。2年ぶりのWEC復帰を果たすハートレーは3月14~16日にアメリカ、セブリングで行われる第6戦と、5月2~4日に開催される第7戦スパ6時間でペトロフ、アレシンと11号車BR1をシェアする予定だ。
■ビタリー・ペトロフ「ハートレーの加入でマシン開発が前進する」
「セブリングとスパというふたつのWECシリーズ戦にSMPレーシングから参加できることになり、とてもうれしく思っているんだ」と語ったハートレー。
「チームは素晴らしいドライバーラインアップをはじめ、戦いに必要なすべてのツールが揃っている。表彰台を獲得できるチャンスは大きいと思うよ」
「今回の代役参戦は僕がWECに復帰することを意味している。知った顔がたくさんいるパドックに戻るのが本当に楽しみなんだ」
また、ハートレーを迎える側のアレシンは「僕たちは彼を歓迎するよ。ハートレーの加入はチームにとって素晴らしい結果をもたらすと思う」とコメント。
さらに、ペトロフも「この発表はSMPレーシング全体にとって素晴らしいニュースだ」と語っている。
「ブレンドン(・ハートレー)はポルシェワークスの下でWECやル・マンで多くの経験と勝利を得ている。そんな彼が加わることでBR1の開発において興味深いアイデアを共有できると考えているんだ。最後になるけどブレンドン、SMPレーシングにようこそ!」
SMPレーシングを含め4クラス全35台が出場予定のWEC次戦、第6戦セブリング1000マイルは、3月14~16日にアメリカ・フロリダ州のセブリング・インターナショナル・レースウェイで開催される。なお、同レースはIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ第2戦セブリング12時間との併催レースイベントとなっている。