美容整形というと若い女性がするイメージがある。しかし50代前後の男性でもちょっとした手術をする人が相当数いるという。
十仁美容整形(東京都中央区)の鳴海栄治院長は、「男性で当院にいらっしゃる方は50代が中心。頬やまぶたのたるみを気にされる方が多いです」と話す。
「手術に対しては、女性よりも男性の方が怖がりで慎重」
1月15日、タレントの宮根誠司さん(55)が「ミヤネ屋」(日本テレビ)で「プチ整形しました」と告白した。医師から加齢でまぶたが垂れ下がってきていると言われたため、まぶたを縫う手術をしたのだという。宮根さんの左目は、パッチリした、幅の広い二重まぶたになっていた。
中高年の男性が整形することが珍しかったのか、ネットで大きな話題となった。しかし毎年、手術件数の1割近くを男性の患者が占めるという。
「男性が来院するきっかけとしては、おでこのシワが多いです。年齢とともにまぶたが下がってくると、目を見開くために眉を釣り上げるため、おでこにシワができてしまうんですよ。このシワを取るために、元々の原因であるまぶたのたるみを手術する人もいます。ごく普通の会社員の方が多いです」(鳴海院長)
目が開きにくくなってしまう眼瞼下垂は、およそ1時間半から2時間の施術で治療することができる。個人差もあるが、1か月もすれば腫れが引くという。切らない眼瞼下垂の費用は25万円だ。
自ら進んで来院する人以外にも、パートナーの付き添いで来院して興味を持ったり、パートナーから勧められて手術に踏み切ったりする男性もいるという。しかし手術を決意するまでには、時間の掛かる人も少なくない。
「手術に対しては、女性よりも男性の方が怖がりで慎重です。鼻の形がいびつで悩んでいた80代の男性は、手術を決断するのに10年以上かかりましたね。10年間、年に1度以上のペースで来院し、繰り返し相談をしていました。初めは耳の骨を使う方法を提案しましたが、抵抗があるということで、小鼻の骨を使う方法を提案。それでもまだ恐怖心が拭えなかったため、また別の方法を提案し、ご説明しました」(鳴海院長)
手術の内容としては、シワ取りや眼瞼下垂が多いが、一重を二重にする人も多い。「一重だと目つきが悪いと思われたり、睨んでいると誤解されたりする」からだ。
韓国では、日本よりも整形が一般的だ。エラや頬骨を削ったり、歯茎の骨を切って歯並びを変えるなど骨格から変えてしまうことが珍しくない。こうした大掛かりな手術をする人は日本では少ないという。
顔の一部を手術しても周囲には気づかれないことも
また、顔の特定の箇所に強いこだわりを持つのも男性の特徴だ。
「アゴやエラなど顔の特定の部位にこだわりを持つ方もいらっしゃるので、ご本人の希望をじっくり確認するようにしています。私も美容外科になりたての頃、『男性の鼻はこだわりが強く大変』と言われたことがあるくらいです。顔の一部を手術しても、周囲には気づかれないことも少なくありません。本人がコンプレックスを解消して、今よりも前向きになれることが大切です」
小さなシミをレーザーで治療するだけなら、1回当たり5000円。大きなシミでも2万円だ。
「男性にはもっと気軽に来院してもらいたいです。毎朝、自分の老けた顔を見ているとモチベーションも下がりかねません。シミ一つ取るだけで印象が変わります。人生も明るく前向きに変わりますよ」(鳴海院長)