モンスターエナジーNASCARカップは2月4日、2019年シーズンに向けた規則変更の一部を公表。レース後車検で違反が見つかった場合、今シーズンからはレースウイナーでも失格処分が下されることになった。これは60年以上に渡るカップシリーズの歴史のなかでも初めてのことだ。
これまでもレースウイナーの車両に車検で違反が見つかった場合は、罰金やチームクルーの出場停止、獲得ポイントの剥奪といった処分が与えられてきたが、優勝のステータスが剥奪されることは極めてほとんどなかった。
最後に優勝が剥奪されたのは1960年のウィルソン・スピードウェイ戦で、この際はトップチェッカーを受けた車両が規定より大きな燃料タンクを搭載していたことが原因だった。
NASCARではシリーズ終盤10戦でチャンピオンを決める独自の“プレーオフ”システムを採用している。シリーズ戦での優勝は、このプレーオフ進出をほぼ確実にするもので、参戦ドライバーにとって優勝のステータスが残ることは大きな意味を持ってきた。
しかし、2019年からはレース後車検で違反が見つかった場合は上述した処分に加え、優勝のステータスも剥奪されることになる。他カテゴリーではごく一般的なルールと言えるが、NASCARのなかでは60年以上続く歴史のなかで初めてのことだ。
この規則変更に合わせて、レース後車検の実施時期も変更される。これまではレース終了後の週半ばにノースカロライナ州コンコードのNASCAR R&Dセンターで検査が行われてきたが、2019年からは優勝車と2位のマシンがレース終了直後にサーキット内で、ランダムに選ばれた1台がR&Dセンターで検査を受ける。
優勝車と2位車両の検査はおよそ90分~2時間程度で終了するとされており、この車検を経て正式なレースウイナーがアナウンスされる。
「これまでの“文化”を変えたいと考えている」と語るのはNASCARでエクゼクティブバイスプレジデント兼チーフ・レーシング・ディベロップメントオフィサーを務めるスティーブ・オドネル。
「これまでシリーズに参戦するチームとともに(車検違反に対する)抑止力となるような規則を作ってきたが、チームが車検を受けられるタイミングなどについて、少し寛容すぎた。この流れを変えたいと思っていたんだ」
「今後、我々はトラックでチームに対し寛容さを見せることは少なくなるだろう。予選後の車検から厳しい罰則を設けるつもりだし、決勝ではさらに厳格な措置を取る」
「シリーズのファンからは(レース後の)火曜や水曜にペナルティでウイナーが変わったというニュースは知りたくないという声が届いていた。だから日曜の夜、ファンがウイナーを知った状態で家路につけるような仕組みを取り入れたんだ」