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『3年A組』前半戦フィナーレで菅田将暉の目的が明らかに 新たな黒幕の存在も

2019年02月04日 06:11  リアルサウンド

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 殺されたはずの生徒たちが生きていることが明らかになった第4話のラスト、「すべてを打ちあけよう」と語ったまま柊(菅田将暉)はその場に倒れ込んでしまった。そして2月3日に放送された日本テレビ系列日曜ドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』第5話は、その2時間後から1時間の出来事がリアルタイムで描き出されるという画期的なスタイルで、前半戦のフィナーレとして、このドラマの核となる「なぜ柊一颯は生徒たちを人質にとって立てこもりをすることにしたのか」というひとつの答えが明らかにされた。


参考:笠松将、“悪役”ポジションで頭角を現す 『3年A組』『デイアンドナイト』で発揮する特異な存在感


 まずこれまでの筋書きをおさらいしておこう。水泳部のスター選手だった澪奈(上白石萌歌)が自殺し、その理由をめぐりながら彼女と親しい関係だった茅野(永野芽郁)、澪奈と茅野の関係に妬みを抱きフェイク動画を投稿した宇佐美(川栄李奈)。そのフェイク動画の元となる映像を撮影した里見(鈴木仁)、その映像を撮影するよう指示した甲斐(片寄涼太)へとつながり、半グレ集団“ベルムズ”へとたどり着いていった。


 その過程で柊の“犠牲”になったと思われた生徒は6名。しかしその全員が、柊の拠点である美術準備室のひとつ下の階で生きつづけており、今回のエピソードでついに彼ら6名と教室にいた23名が再会を果たすこととなる。しかしその6名は、倒れた柊に変わり、全員を“共犯”関係へと導こうとするのだ。それを可能にしたのは彼らが柊から知らされた「澪奈は自殺ではなかった」というこれまでの大前提を覆す真実。そして。クラス内で影響力を持ちうる生徒が柊の“俺の授業”で熱い言葉を浴びたことで柊の味方になることを決めたからに他ならないだろう。


 しかしながら瀬尾(望月歩)や兵頭(若林時英)のような、どこの派閥にも属しておらず、尚且つ誰にも流されないようなタイプの生徒たちを味方に取り入れるのは至難の技だ。しかも物語上のひとつの鍵となると思われた柊の“内通者”が逢沢(萩原利久)だとすんなりとわかり、また“ベルムズ”との接点を持つ諏訪(今田美桜)が知っているという重要な秘密と、これまでの流れを汲めばそれだけで1エピソード完成しそうな点をさらりとまとめ上げ、今回はいかにして“犯人”と“人質”の関係から“共犯”の関係へとシフトしていくかに重きが置かれていたわけだ。


 突入した警察のSIT部隊をガラス1枚隔てて挑発する柊の、文字通り“命がけ”の執念。そして諏訪が持っていた“ベルムズ”の「フェイク動画の顧客リスト」に書かれていた、魁皇高校の教師という新たな黒幕の存在。ある意味で生徒たちの心情の変化は「ストックホルム症候群」のようにも見える一方でよりシンプルに、高校卒業を間近に控えた大人でも子どもでもない彼らの心の揺れと呼ぶ方が正しいかもしれない。大人への信頼と、それを見て成長していく自分たちがどういう大人になるべきなのかという葛藤。いわば、まったく異なるシーンで郡司(椎名桔平)が発した「季節はめぐるんじゃない。前に向かって進んでるんだよ」という言葉は、その道筋を表しているのかもしれない。(久保田和馬)