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ヒゲダン、初の9人編成ライブで魅了 『Official髭男dism one-man tour 18/19』NHKホール公演

2019年02月02日 21:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 Official髭男dism(ヒゲダン)のホール&ライブハウスツアー『Official髭男dism one-man tour 18/19』。全国24公演を回った同ツアーは、2月2日、彼らの地元・島根県にある島根県民会館大ホール公演でファイナルを迎えた。ブラックミュージック由来のグルーヴをJ-POPに取り入れたポップセンスと圧倒的な歌唱・演奏力に注目が集まり、もとよりライブ人気の高かったヒゲダン。2017年以降、東京でいえば渋谷CLUB QUATTRO、赤坂BLITZ、中野サンプラザ……と、ワンマンライブの会場規模を着実に拡大していき、今回のツアーでは、1月24日、一つの到達点とも言えるNHKホールの舞台に立った。


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 今回のライブで特筆すべきは、バンド初となる9人編成による生演奏を披露したこと。藤原聡(Vo/Key)、小笹大輔(Gt) 楢崎誠(Ba/Sax) 松浦匡希(Dr)のメンバー4人に加え、サックス、トランペット、トロンボーン、パーカッション、キーボードがサポートとして参加。それぞれの音色の響きが感じられるホールの特性とも相まって、贅沢なサウンドを楽しむことができた。


 そういった音の厚みがもたらされた中で際立ったのが、藤原の歌声の素晴らしさ。冒頭の「ESCAPADE」からNHKホールが小さく感じられるほどの声量で、まっすぐに高音を響かせた。藤原のボーカルは“聞き惚れてしまう”という表現がしっくりくる。そして、堂々とした振る舞いにもスター然とした風格が感じられた。また、「Tell Me Baby」では、メンバー全員で揃いのステップを踏んだり、小笹&楢崎が前方のお立ち台でプレイ。「バッドフォーミー」では、楽器隊を交えたコーラスワークで聞かせるなど、楽曲ごとに様々なパフォーマンスが展開されていく。


 中盤には、ラブソングをメインに耳を傾ける時間も。スポットライトを浴びた藤原がピアノの弾き語りで披露した「115万キロのフィルム」。大切な人との歩みを人生というフィルムに残し続けようと歌う同曲に続き、二人の関係に終わりを告げる「相思相愛」、静かに次なる人生の展開へと期待を寄せる「Trailer」、“初めて”だと思いたいほどの出会いに溺れる「LADY」と続いたバラードの流れは、グルーヴィーなサウンドのムードも手伝い、とてもドラマチックに響いた。


 ライブ終盤は楢崎がベースをバリトンサックスに持ち替えて情熱的なプレイを見せた「ブラザーズ」やアニメ『火ノ丸相撲』(TOKYO MX、AbemaTVほか)オープニングテーマとしてもおなじみのアグレッシブなナンバー「FIRE GROUND」、ライブ定番曲の一つでもあるユニークな「犬かキャットかで死ぬまで喧嘩しよう!」などで畳みかけ、ラストスパートの口火を切ったのは、ヒゲダンの名を一気に全国区へと広めた月9ドラマ『コンフィデンスマンJP』主題歌「ノーダウト」。リリースから1年弱を経て、この曲が多くの人に愛される一曲になったことが伝わる盛り上がりだった。


 この日のライブはほとんどMCがなかったのだが、本編ラストの前に藤原が「新しいスタートを切れた気がします。またNHKホールで歌いたいと思いました……大晦日に!」と『NHK紅白歌合戦』への出場を意気込む場面も。そして最新EP収録、サビのシンガロングがライブに映える「Stand By You」で大団円を迎えた。


 観客の熱烈なアンコールの声に応えてメンバーがステージに再登場。今回のツアー後に予定されている『Official髭男dism one-man tour 2019』追加公演として、7月8日に初の日本武道館ライブを行うことを発表すると、悲鳴のような歓声が沸きメンバーを祝福した。「(自分が)高校生の時に(ライブで)受けた衝撃を生で再現できてうれしい」「いい音楽を隅々まで届けていきたいと思います」と藤原が告げ、彼らのライブには欠かせない「日曜日のラブレター」「異端なスター」の2曲を最後にプレイしたヒゲダン。「1日も長くこのバンドを続けてみんなの憂鬱を晴らしていきたい」という藤原の思いのとおり、素晴らしい歌声とサウンドに満たされ、清々しい気持ちで帰路につくことのできたライブだった。(久蔵千恵)


※記事初出時一部曲目に誤りがございました。訂正の上、お詫びいたします。