2019年02月02日 09:51 弁護士ドットコム
黄信号で急ブレーキをした車に追突してしまったーー。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
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相談者の男性によると、前の車は黄色信号の時に交差点に進入。パトカーを発見したため、交差点の途中で急停車しました。
男性も交差点に進入したのは黄色信号の時点でした。急停車するのも危険だと思い、そのまま交差点を通過しようとしたところ、追突してしまったようです。
一般的に、黄色信号で急停車した車に追突してしまった場合、過失割合はどのくらいの比率になるのでしょうか。岡田正樹弁護士に聞きました。
ーー黄色信号で進入してもいいのでしょうか
「交差点に進入する際に黄色信号であったとしても、『黄色の灯火の信号が表示された時において当該停止位置に近接しているため安全に停止することができない場合』(道路交通法施行令2条但書)であれば、進入自体は問題となりません」
ーー今回の相談者は急停車した車に追突してしまいました
「交差点内で前方車が急停車したために後続車が追突をしたとすると、前方車は危険を防止するため以外には急ブレーキをかけてはならない(道路交通法24条)ことから、追突の場合の前方車:後続車=3:7の過失割合が該当すると考えられます。
さらに、交差点内は他の車両等の通行を妨害してはいけません。速やかに走行して交差点外にでなくてはならないので、修正要素1割を加算して、前方車:後続車=4:6の過失割合もありえるのではないかと考えます。
過去には、交差点内進入後に赤信号に変わったために急停車した原告の過失を4割とした判決例もあります(大阪地裁平成6年8月24日判決)。
車間距離がもっとあいている場合であれば前方車(被追突車)の過失が大きくなる可能性もあります」
ーーパトカーなどの緊急車両を発見して交差点内で急停車した場合には、過失割合は変化するのでしょうか
「緊急車両が通行する際には、『道路の左側に寄つて一時停止しなければならない。』(道路交通法40条)ので、急停車以外の方法が選択できなかったかどうかが問題となります。
特に交差点を黄色信号で進入した場合には赤色信号に変わる前に速やかに交差点を通過しなければなりませんから、両者の義務が衝突してしまいます。
思うに、前方車は危険を防止するため以外には急ブレーキをかけてはならない(道路交通法24条)とあるのに対して、パトカーという緊急車両の発見は危険とは異なると考えます」
ーーなぜでしょうか
「前方車は、交差点内で追従してくる後続車両に対する注意義務もあるのです。そして、一時停止は急停車とは異なります。後方確認をして安全な位置で一時停止をすべきだと言えます。
したがって、危険を防止するための急ブレーキと見られないため、最初のケースと同様に考えるべきです」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
岡田 正樹(おかだ・まさき)弁護士
交通事故被害を中心に、医療訴訟等を手がけて弁護士歴37年。
条文構造、実況見分見取図の語る事実、さらに医療記録のカルテと画像分析に興味があります。事故による被害のよりよき解決を心がけています。
事務所名:むさしの森法律事務所
事務所URL:http://www.musashinomori-law.jp/index.html