ジェンソン・バトンによると、ルイス・ハミルトンは今後も新たな目標を見つけて挑戦し続けることでF1で戦うモチベーションを維持していくと考えているが、その目標はミハエル・シューマッハーが持つ傑出したF1記録を破ることではないという。
ハミルトンは2018年シーズンに自身5度目のF1世界タイトルを手にした。今後少なくとも2年間はメルセデスとの契約が続くことを考えれば、ハミルトンがその間にシューマッハーの持つ7度の世界チャンピオンという記録に並ぶチャンスは十分にあるだろう。
2010年から2013年までマクラーレンF1でハミルトンとともに戦ったバトンは、元チームメイトが必ずしも偉大なるシューマッハーの画期的偉業を追い抜くことに狙いを定めてはおらず、むしろ今後取り組むべき新たな達成目標を探しているはずだという。
2019年にイギリスのSky F1と解説者契約を結んだバトンは「ルイスを知る僕から見れば、彼にとっての挑戦はミハエルの成果を上回ろうとすることではない」と語り、以下のように続けた。
「多くの変化が起きていて、そのために多くの新たな目標を設定できる今のF1を、彼はとても気に入っていると思う。そしてそれは、僕ら全員が好むレースの状況でもある」
「挑戦すべき目標がなくなったときが、どこか別の所に行って違うことを始めるタイミングなんだ」
「でもレギュレーションに変更が加えられ、ドライバーが常時入れ替わる今のF1では、ハミルトンもこのまま戦い続けたいだろうし、それはこのスポーツにとって素晴らしいことだ」
優勝回数という点では、ハミルトンはシューマッハーがF1で打ち立てた91勝の記録にあと18勝足りない。だがこれは現役の世界チャンピオンにしてみれば、今後2年間で大きく縮められる差と言えるだろう。
「優勝回数で彼に追い付くことは、あまり意識したことがない」とハミルトンは2018年シーズン終了時に述べている。
「僕が今後さらに多く優勝回数を重ねられるのかどうかなんて誰にも分からない。でも僕はそうできるよう、自分のすべてを出し切って戦うつもりだ。彼の91勝を例にあげれば、これはとても多い回数だ」
「先はまだ長いけれど、僕はあと数年はF1で走るつもりだから、せめて近付きたいとは思っているよ」
「自分の力をフェラーリに提供し、そこでチームとともに何かを成し遂げるという意味において、ミハエルはとてつもない天才だったと思う。僕はこれからもずっと彼のファンでい続けるだろう」