トップへ

アパレル業界の課題にメス、ストライプインターナショナルが仕入高350億円削減で在庫問題解消へ

2019年02月01日 16:42  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com

(写真左)ストライプインターナショナル 石川康晴 代表取締役社長、(写真右上)アメリカンホリック、(写真右下)サマンサ モスモス
ストライプインターナショナルが、2019年度の事業計画を発表した。石川康晴代表取締役社長は、重点に置く仕入高と在庫の削減について「適正在庫と適正粗利。これは本来のアパレルのやり方で、以前はできていたこと。悪いレッテルが貼られてしまっている業界の課題に切り込み、正しいアパレルに戻していく」とし、大量生産や在庫過多、過剰な値引きと廃棄など、現代のアパレル小売が抱える問題にメスを入れていく。

 グループの業績は、2018年度の連結売上高が1,380億円の見込みで、2019年度の目標は前年比102%の1,400億円。今年度の国内SPA事業では、AIを用いたデータ分析の強化により仕入高の大幅削減を図る。昨年「アース ミュージック&エコロジー(earth music&ecology)」でAIによる在庫最適化の検証を行ったところ、値引率が大幅に改善され利益が約2倍に増加した。これにより今年度は、全ブランドでAI需要予測や発注と値引きの最適化を行い、前年の仕入高1,780億円から約2割の350億円を削減する計画。無駄な在庫を無くすことにより値引き率を5.7%抑制し、粗利率は3.7%良化する見込み。
 石川社長は「在庫が溢れ出しても値引けば商品は売れるが、バーゲンを行う1月と7月は大幅な赤字が出ていた。適正在庫まで生産数を下げて売上を減らしても、利益を上げることはできる」とし、試験的な取り組みを経て在庫問題の解消に踏み切った形だ。また、ECとリテールの在庫統合により消化率を向上。SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みの一環として廃棄率0.2%を目標とするほか、エシカル素材の開発を行っていく。 
 このほか、アース ミュージック&エコロジーや「グリーン パークス(Green Parks)」に続く新たな主力ブランドとして、2019年度中に「アメリカンホリック(AMERICAN HOLIC)」を29店舗、「サマンサ モスモス(Samansa Mos2)」を17店舗出店し、それぞれ拡大を図る。EC事業では、黒字化を達成した「メチャカリ」に広告宣伝費として3億円を投資。春と秋にテレビCMを投入することで、会員数2万人超を目指すという。
 ソフトバンクとの合弁会社で運営しているECプラットフォーム「ストライプデパートメント」は、昨年8月に小売のノウハウを持つ三越伊勢丹ホールディングス前代表取締役社長の大西洋氏を社外取締役に起用するなど事業強化を図っており、約800ブランド(2018年9月時点)から1,200ブランドまでブランド数を拡大する予定。さらに「衣食住遊」の「遊」に焦点を当て今秋には新たに音楽プラットフォームを立ち上げるなど、事業領域を広げる計画だ。
 なお、計画中だった上場については先延ばしする形になり、2020年後半を想定。石川社長は「国内のみのアパレルでは評価されないだろう。プラットフォームやサブスクリプション、東南アジア市場での実績を上げた時期に上場したいと考えている。目処はオリンピックの後」とし、グループ事業の拡大を優先する。今後、ベトナムやフィリピンなど東南アジア地域の企業のM&Aを加速させるという。

【関連記事】ストライプインターナショナル、音楽プラットフォームを今秋立ち上げ