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『トクサツガガガ』小芝風花が“ガチ”の特撮オタクを好演! 必死ながらも空回りする姿が愛らしい

2019年02月01日 07:11  リアルサウンド

リアルサウンド

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 NHKで現在放送中のドラマ10『トクサツガガガ』で、特撮ドラマ好きの主人公・仲村叶を演じている女優・小芝風花。2012年にドラマ『息もできない夏』(フジテレビ系)でデビュー以来、ドラマ・映画・舞台でキャリアを重ね、本作では連続ドラマ初主演を果たした。自身で「昭和顔と言われるんです」と語っているように、時代劇での“和”な佇まいが小芝の魅力の一つだが、本作では、隠れ特撮オタクとして日々生活していくなかの葛藤をコミカルに演じ、確かな演技力を見せつけているーー。


【写真】仲村叶(小芝風花)の特撮オタクっぷり


 小芝演じる叶は、商社に務めるOL。会社では爽やかな笑顔で、同僚たちとも上手くやっている器用な部分を持ち合わせている女の子で、好意を寄せてくれると思われる男性社員までいる。しかし、その実は子どものころに出会った特撮ヒーローに憧れる“ガチ”の特撮オタクだ。


 特撮に対する“熱い思い”がありつつも、幼少期から母親に「女らしさ」を求められてきたため、自身の趣味は誰にも知られてはいけないと思い込んでいる。とは言いつつも、心や体に染みついた“特撮好き”は、ことあるごとに顔をのぞかせ、そのたびにあたふたするさまが、この作品のコミカルな要素を担う。小芝の演技は、作品にポップさを出すために非常に重要になってくる。


 そんななか、以前、筆者が行ったインタビュー(テレビドガッチ:https://dogatch.jp/news/nhk/59294/detail/)で小芝自身は監督からのアドバイスもあり「笑いを狙いにいくのではなく、叶が一生懸命やっているにもかかわらず、それが裏目になってしまうところを笑ってもらえたら」と役へのアプローチ方法を明かしていた。その言葉通り、必死になればなるほど、空回りしてしまう叶の姿は、何ともいえなく愛らしくかつコミカルだ。


 現在第2話まで放送が終了しているが、SNS上でも小芝の演技に対する賞賛コメントが寄せられている。なかでも「わざとらしくない一生懸命な感じがリアルでいい」というニュアンスのコメントが多い。この“一生懸命さ”というのが、小芝の持つ大きな特性の一つだろう。


 ご存知の方も多いと思うが、小芝は小学校中学年からフィギュアスケートをはじめ、週6で練習に打ち込むなど競技選手として活動し、目標をしっかり立ててストイックに取り組んでいた。『イオン×オスカープロモーション ガールズオーディション2011』でグランプリを獲得し、芸能界入りしてからも「フィギュアスケートのときと同じく、目標を立てて、それをクリアするために一生懸命頑張るようにしています」とインタビュー(テレビドガッチ:https://dogatch.jp/news/nhk/54485/detail/)では語っていた。


 さらに目標を立てるだけではなく、クリアできたかどうかにも向き合い、達成できなかったときは「なぜできなかったか」を考えるという。出演した作品も完パケをもらい、しっかり見返して、反省点は徹底的に向き合い、次に活かせるように取り組むことを心がけているというのだ。こうした小芝の持つ“一生懸命さ”が、叶という女の子の特性とマッチしているからこそ、違和感なく、そしてわざとらしくなく、演じることができているのだろう。


 また、本人は“結果的に笑ってもらえれば”と、本作では、能動的にコミカルな演技を生み出すことは意識していないと話していたが、小芝のコメディエンヌとしての素質は高い。2017年に放送された『マッサージ探偵ジョー』(テレビ東京系)では、初のコメディ挑戦ながら、自らを「ワトソン」と名乗るツインテールの新人マッサージ師・阿久里葉子(アグリ)を好演。小澤征悦、和田正人ら、くせ者俳優の自由演技(!?)に瞬時に対応しながら、物語をハイテンションでグイグイ引っ張り、強い存在感を示していた。


 自身が立てた目標の一つに、連続ドラマでの主演があったという小芝。一つ目標が叶ったことに喜びを見せていたが、同時に「寝ようとすると作品のことを考えてしまい、寝不足の日々だった」とプレッシャーも感じていたようだ。しかし、そんな小芝の不安はどこ吹く風、劇中で小芝演じる叶は、とにかく愛らしく魅力的で、作品自体の評判も非常に良い。


 清潔感のある明るさにプラスし、コミカルな演技も愛らしくこなす。さらに『そろばん侍 風の市兵衛』(NHK)などの時代劇で見せる凛とした佇まいなど、若くしてさまざまな役柄に寄り添える確かな演技力は、今後の飛躍を大いに感じさせる。


 近年、連続テレビ小説でヒロインの周囲で印象的な演技を見せた若手女優が、数年後、主役に抜擢されることが多い。小芝も、2016年放送の『あさが来た』で、波瑠演じる主人公・あさの長女・千代を演じたが、仕事に忙しく強い女性であるあさに反発する多感な少女を見事に演じ、高い評価を受けた。


 『あさが来た』でも小芝は、ヒロインの最終オーディションに残っていたとのこと。現在、第101作目となる2019年後期『スカーレット』まで、朝ドラヒロインは発表されているが、近い将来、小芝が朝ドラのヒロインを務める日が来るのではないかと思えるほど、活躍が目覚ましい若手女優の一人だ。


(磯部正和)