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ジャニーズWESTこそ現代に求められるアイドルグループ? “ホメチギリ”ポイントから考える

2019年02月01日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 ジャニーズWESTが、1月30日に11枚目となるダブルAサイドシングル『ホメチギリスト/傷だらけの愛』をリリース。そして、今夜の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演し、「ホメチギリスト」を披露する。


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 毎日、満員電車に揺られて仕事に行く人、独りで残って組織を支える人……そんな社会の大きな波を前に“当たり前”と見過ごされてしまいそうな人びとの頑張りを、「ホメチギリスト」では、〈さすがさすがやで バシッと頑張った!〉〈たまには自分をホメちぎろうぜ/めちゃんこイケてるやん!〉と、全力で称賛してくれる。耳馴染みのいいサウンドと、関西弁特有のテンポの良さ。そして、ハッピ姿で歌って踊るワチャワチャ感は、ジャニーズWESTの真骨頂だ。


 いつもゴキゲンで笑顔な人のそばにいると元気が出るように、ジャニーズWESTの曲はいつだって聴く人の心を温かくほぐす力がある。それは、きっと彼ら自身が明るく楽しく毎日を過ごそうと努力しているから。誤解を恐れずに言えば、ジャニーズWESTの7人はエリートアイドルではない。センターに立つ重岡大毅を見ても、ダンスが苦手で、レッスン後も夜の公園にひとりで向かい、街灯の影を見ながら自主練習したなど、涙ぐましい努力のエピソードが満載だ。関西ジャニーズJr.として、デビューできるのかわからない不安と戦いながらの長い下積み時代。やっとの思いでこぎつけたデビュー発表時には、絆が試されるような展開もあった。7人それぞれが悔しい思いをしてきたにも関わらず、彼らはいつも笑顔を忘れず、愚直に、自分たちが今できることを全力で取り組んできたのだ。だからこそ、「ホメチギリスト」のような応援ソングが心にしみる。「笑う門には福来たる」そんな言葉を信じさせてくれるのが、ジャニーズWESTというグループだ。


 せっかくなので、「ホメチギリスト」を歌うジャニーズWEST自身も褒めちぎりたい。重岡の最大の魅力は、その天真爛漫さ。屈託のない笑顔に加えて思考回路の瞬発力があり、どんな振りにも愛嬌たっぷりに返すことができる。先日ゲスト出演した『Kis-My-Ft2のオールナイトニッポンPremium』(ニッポン放送)では、宮田俊哉が「いつも俺がムダに絡んでも、重岡だけは丁寧に返してくれるんだよ」と嬉しそうに話していたことからも、重岡の愛され力が伝わってくる。一方で、重岡自身もメンバーにしつこく絡んでいく面があり、ファンの間では「ウザ岡」との愛称が浸透しているほど。いつまでも少年らしい心を持ちながら、いざ演技となるとこちらの涙を誘う繊細な表情で魅了する。親しみやすさの中に、表現者としての才能がチラリと見えるのだ。「なんて素敵な人!」と思ったら、次の瞬間「ウザ岡が出た!」と、翻弄してくる重岡。その掘れば掘るほど湧き出てくる魅力を一度知ったら、ハマって抜け出せなくなるので要注意だ。


 そんな重岡とドラマ『宇宙を駆けるよだか』(Netflix)でW主演を務め、その高い演技力で注目を集めたのが神山智洋だ。もともとダンスが得意な神山。だが、そんな自分に甘んじることなく、演技にアクロバット、楽器、語学、さらには重機の操縦免許取得も……と、次々にスキルを磨くMr.努力家だ。マメな性格は少年時代から変わらないようで、30個近くもらったバレンタインデーのお返しに、手作りのクッキーを贈ったというエピソードも語られている。みんなから「おかん」と呼ばれるほど、細かな部分まで気を使える謙虚な性格の持ち主でありながら、ファッション、ラップでは大胆な一面も披露。ライブではレベルの高いモノマネで会場を沸かせることも。その多才さには、これからも何度でも驚かされるはずだ。


 セレブ生まれの中間淳太は、美しい外見に加えて、博識で、品があって……と、エリートアイドルにふさわしいスペックの持ち主。だが、運動オンチという弱点を、むしろ“おいしい”と言わんばかりにアピールしてくるところが愛らしい。個性の強いメンバーの中で、常識人のポジションを守りつつ、「年が明けて、最初に会った人は福沢諭吉」など、求められるセレブキャラはしっかりと果たす。金持ち自慢をしているにも関わらず、嫌味がないどころか、むしろ健気に見えるから不思議だ。また、ときどき「オランウータンの交尾は3時間」と懇切丁寧に解説してみせるなど、メンバーの期待に応えた結果、せっかくのインテリキャラが、ちょっぴり違った方向に突き抜けてしまうところも、中間らしくて微笑ましい。


 そして、動物&子ども好きで愛情深い桐山照史は、メンバーの自由奔放なトークをまとめる頼れる存在。ラジオ『bayじゃないか』(bayfm)では、リスナーからの子育ての相談に説得力のある見事な回答を示したことも。まっすぐで正義感も強く、仲間を守ろうとするガキ大将な雰囲気は、まるで歌のうまいリアルジャイアンなのだが、メンバーや先輩ジャニーズからイジられる隙も持ち合わせているのがニクイところ。以前、『ミュージックステーション』で共演した嵐の二宮和也からも、ジャニーズWESTの着ていたド派手な衣装で盛り上がっていたところ「いや、お前なんでそんなブスなの?」と愛あるイジりをされ、「俺もなんか“顔は関係ねーわ”ってタメ口でツッコんだもん」と、大笑いしながら報告。器の広さは、ジャニーズWESTの大黒柱とも言える。


 また、嵐といえば、小瀧望は大野智と「のんちゃん」「おーちゃん」と呼び合い、藤井流星は相葉雅紀の公認“舎弟”として、プライベートでも仲がいい。小瀧も藤井も一見するとシュッとしたクールな高身長イケメンなのだが、小瀧は憧れの人に対して正面からぶつかっていく人懐っこさがあり、藤井はしりとりのスタートを、多くの人が「しりとりの“り”」とするところを、「“しりとりはじめ”の“め”!」というなど独特な天然さでギャップ萌えを呼ぶ。そんなふたりを、大野も相葉も可愛がらずにはいられないようだ。今夜の『ミュージックステーション』にも嵐が登場するため、どんなやりとりが繰り広げられるのか注目したい。


 そして、生放送といえば、目が離せないのが濱田崇裕。以前も、音楽番組のライブ中に盛り上がりすぎて高くジャンプした結果、サングラスを落とし、さらに重岡に踏まれて柄が取れてしまうハプニングを引き起こした。そのサングラスを「取れた~!」と歌の合間にタイミングよく見せるアドリブで、面白おかしくパフォーマンスしていたことを思い出す。ふだんから誰よりも腰が低く、人知れずアクロバットの技を磨き続ける濱田。その身体能力に負けず劣らず、笑いの反射神経もいい。グループとしてもオチを任されることが少なくないが、今やウケてもスベっても面白くなってしまう無敵のムードメーカーだ。生放送ならではの今夜のライブで、またもやミラクルを起こしてくれるのではないか、と期待を膨らませてしまう。


 まだまだ褒めて、褒めて、褒めちぎりたいところだが、今回はひとまずこのへんで。ラストにジャニーズWESTというグループの褒めポイントを。それは、小さな努力を重ねる大切さを忘れず、小さな幸せを当たり前と見逃さないところだ。悲しいことは笑い飛ばし、嬉しいことは何倍にもふくらませて周囲に発信していく力。彼らこそ、何かと消耗しやすい現代に求められているアイドルグループなのかもしれない。(文=佐藤結衣)


※濱田崇裕の「濱」は「まゆはま」が正式表記。