トヨタ・レーシング・デベロップメント(TRD)のデビッド・ウィルソン社長兼ゼネラルマネージャーは、レクサスによる2020年のDPiクラス移行はまったく可能性がないする一方、IMSAのトップカテゴリーの動向はこれまでも関心を持ってチェックし続けてきたと語った。
レクサスRC F GT3でIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップのGTデイトナ(GTD)クラスに参戦しているレクサスは、カスタマーレーシングプログラムの拡大を当面の目標に掲げており、少なくとも今後2年間はGTDクラスでの活動を継続する予定だ。
ウィルソン氏は2004年から2009年にかけて、グランダムシリーズのデイトナプロト(DP)クラスにエンジンサプライヤーとしてシリーズに参戦したレクサスが、スポーツカーレースに長期的に臨むため慎重なアプローチをとっていることを強調した。
2017年に3GTレーシングと提携し、2019年からはエイム・バッサー・サリバンとパートナーシップを結んでGTDクラスに参戦している日本のラグジュアリーブランドは、その初期の段階で5年間のコミットメントをIMSAに伝えたと理解されている。
「レクサスにとって、もっとも重要なのはモータースポーツの基盤を築くことだと思っている」とウィルソン氏。
「我々は何十年も前からこれをやってきた。日々、トラックでライバルと競いあっていたのを思い出すよ」
「(その中で)私たちはいくつかの方法で、始まりと終わりを迎えている」
「それがレースの根本でもあるプロ・アマクラスだとしても気にすることはない。なぜなら我々に重要なのは(マーケティングを通じて)収益をあげることだからだ」
「かつて(トヨタが)アメリカ国外メーカーとして初めてNASCARに参入したのもそうした理由だからだ。当時はカップシリーズに入る前に、3年間トラックシリーズに参戦した。その間に我々はシリーズを学び、同時にファンとの関係を築くことができたんだ」
「これと同じことがレクサスでもできると考えている。数年間を学びの期間とし、その後ある程度の成功を築くことが理にかなっていると私は思う」
そうしたなかで外部からは「レクサスがDPiプログラムを指導させるのでは?」という声が上がってきていたが、ウィルソン氏はこれを否定している。
「現実的にみて2020年にその可能性があるとは思えない。少なくとも、もう2年はGTDクラスに時間をかける予定だ」
■「IMSAではハイパーカー規定の参戦コストは受け入れらない」とウィルソン氏
また、ウィルソン氏は親会社のトヨタが参加するとみられる、WEC世界耐久選手権で2020年から採用される“ハイパーカー規定”と呼ばれる新規定について尋ねられると、ハイパーカーのプラットホームに掛かるコストがIMSAでは受け入れられないだろうと述べた。
IMSAは現行のDPi規定の期限が切れる2022年の新規定について、ル・マンにそのまま出場可能となるハイパーカー規定を正式には除外していない。
しかし、シリーズはマニュファクチャラーとの対話を継続し、現行規定の発展型というカタチで新規則をまとめる予定だ。
「正直に言って(ハイパーカーとDPiとでは)コストに差があるため、同じように見ることは難しい」とウィルソン氏。
「DPiはコスト面で本当に優れたスタイルだ。IMSAが作り出したこのモデルは非常に成功していると思う。彼らが数年後この規定の発展形を推進したとしても、まったく驚かないだろう」