元トロロッソ・ホンダのF1ドライバーであるブレンドン・ハートレーは、2018年のモナコGPの時点で、レッドブルが彼を放出するという動きがあったことを明らかにした。
2017年のアメリカGPよりトロロッソのドライバーとなったハートレー。この年のトロロッソではカルロス・サインツJr.が貸し出される形でシーズン中にルノーへ移籍し、またダニール・クビアトが契約を終えることなくチームを放出されたため、空いたシートに彼が抜擢された。
ハートレーは2018年もトロロッソのドライバーとしてF1に参戦したが、序盤の数戦ではチームメイトのピエール・ガスリーよりパフォーマンス面で劣っており、結果が出ないことからレッドブルは懸念を抱くようになった。
『The Players Tribune』というウェブサイト上でF1日記の最後の章を書いたハートレーは、そのなかで自身のフラストレーションをさらけ出した。彼はモナコGPの週末、自身の将来に関する憶測がモナコGPの前から飛び交っていたと記した。
「よく覚えているのは、(モナコGPの)レースウィークが始まる前の水曜日にメディアの人たちと会うためにパドックを歩いていると、そこで僕の将来について多くの質問を受けたことだ」
「僕は豊富なレース経験を持ってここにいるのに、キャリアの終わりについて質問された。その日最悪だったことは、そのなかの噂に一部真実が含まれていると分かったことだ」
「数戦後には、一部の人々は僕に対してチームにいて欲しくないと思っているようだった。正直に言うと、そのことは少しショックだった」
「僕は2度WEC世界耐久選手権でタイトルを獲得し、ル・マン24時間レースでも優勝している。そうした豊富な経験を持ってF1に参戦し、最初の3戦のうち2度の予選ではチームメイトに勝っていた。でも、そんなに早い時期に僕を交代させるという話が出ているというのは、信じがたいことだった」
「その夜歩いて自宅に帰る時に、モンテカルロのコースのウォールを眺めていた。もし今週末にへまをしてこのウォールに接触したら、僕のF1キャリアは数日のうちに終わるかもしれないことが分かっていた。すべてのフリー走行セッションが僕にとって重要であることを認識していた」
■パフォーマンスは改善も、チーム離脱は最終戦を待たずに決定
残念ながらモナコでのハートレーのパフォーマンスは彼への評価を改善することはなく、ポイント圏外で走行中にクラッシュしてリタイヤすることになった。一方のガスリーは7位に入賞し、トロロッソ・ホンダにポイントを持ち帰った。
ハートレーはモナコGP以降も改善を続けたものの、常にシート喪失の危機を抱え、絶え間なくそのことを気にしていなければならなかった。
公平に見れば、彼は不運なメカニカルトラブルに数回見舞われている。鳥に当たって1周目でリタイヤ、エンジンペナルティ、サスペンションのトラブル、それに常に公になるわけではない他のトラブルもあった。
しかしながらシーズン後半には改善も見られ、ハートレーには2019年のシートを維持することができるかもしれないという希望がよみがえった。だが、彼の運命はアブダビでのシーズン最終戦が開催される前に決定されていたようだ。
「(レースが終わって)1時間後、僕はミーティングに呼ばれた。その数分後には、僕はもうF1ドライバーではなくなった」
「F1を懐かしく思うよ。そうじゃないと言ったら嘘になる」
「F1のドアは閉ざされたわけではない。それにF1で1年の経験を積んだことは、次にどのようなチャンスが来ようとも、僕がより準備を整え強くなって挑めるということだ」