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おしゃべり「生保レディ」が客の秘密を暴露 プライバシー侵害では?

2019年01月31日 10:31  弁護士ドットコム

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「保険募集人には守秘義務はないのでしょうか 」。東北地方の50代女性から、こんな疑問が弁護士ドットコムニュースのLINE@に寄せられました。


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女性は日頃お世話になっている生命保険の外交員(保険募集人)に、家族のことを話していました。障害がある子どもがいることは、近所の人に伝えていませんでしたが、「保険の契約で申告漏れがあると適応されない」と思い、障害者年金の金額なども伝えたそうです。



外交員のことを信頼していた女性でしたが、なんと、外交員が近所で女性が話した「子どもの就職先」や障害のある子どもがいることを言いふらしていることが分かりました。



その結果、近所の人に「お金いっぱいあるんでしょ」と嫌味を言われたり、よそよそしくされたりしたそうです。



こうした行為は、守秘義務違反やプライバシー違反にならないのでしょうか。櫻町直樹弁護士に聞きました。



●守秘義務は規定されていない

「外交員という言葉が一般的ですが、ここでは法律上の文言である保険募集人という言葉を使って説明します。



生命保険募集人については、保険業法に規定があり、生命保険契約の締結の代理や媒介を行う人のことを言います(2条19項)。



そこで、保険業法において生命保険募集人に守秘義務が課せられているかをみると、守秘義務を規定した条文はありません」



●プライバシー侵害にあたるか

では、秘密を漏らしても問題ないのでしょうか。



「だから問題ないというわけではありません。生命保険募集人が顧客についての情報を第三者に公開した場合には、私生活をみだりに公開されない権利または法律上保護される利益の侵害、すなわち、『プライバシー侵害』にあたるかどうかが問題になります。



この要件は、三島由紀夫の小説『宴のあと』が、モデルとなった人物のプライバシーを侵害するかどうかが争われた事件の判決(東京地裁・昭和39年9月28日)で示されています。



公開された内容が、



(1)私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのある事柄であること、
(2)一般人の感覚を基準として公開されることによって心理的な負担、不安を覚えるであろうと認められる事柄であること、
(3)一般の人々に未だ知られていない事柄であること、



という要件を満たし、公開された人が実際に不快に感じたり、不安を抱いた場合には、プライバシー侵害にあたります。公開した者は損害賠償責任を負うことになります」



●今回のケースは?

今回のケースはどうでしょうか。



「生命保険募集人が、ある顧客について、近所の人にも伝えていなかった『障害のある子どもがいること』を言いふらしたという行為は、先ほど述べた(1)から(3)の要件を満たすものとして、プライバシー侵害にあたる可能性があると思います」



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(弁護士ドットコムニュース)




【取材協力弁護士】
櫻町 直樹(さくらまち・なおき)弁護士
石川県金沢市出身。企業法務から一般民事事件まで幅広い分野・領域の事件を手がける。力を入れている分野は、ネット上の紛争解決(誹謗中傷、プライバシーを侵害する記事の削除、投稿者の特定)。
事務所名:パロス法律事務所
事務所URL:http://www.pharos-law.com/