2019年01月31日 10:31 弁護士ドットコム
「今まで彼のお店にたくさん通い、ほしいものもプレゼントしてきました。でも、彼にほかに付き合っている女の子がいると知り、腹立たしいです」ーー。ホストをしている「彼氏」のために尽くしてきたという女性から、弁護士ドットコムに悲痛な相談が寄せられました。
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自分は「彼女」になったと信じて、店に通ってお金を使っただけでなく、ホストのために家賃や携帯代、車の税金なども支払っていたという相談者。さらに「親が病気だと言われてお金を渡したこともあります」といいます。しかし、彼にはほかに交際している女性がいただけではなく、「親が病気」というのも嘘だったことが分かったそうです。
「彼のことが本当に好きだったので尽くしてきましたが、今はもう恨みしかありません」と相談者はやりきれない思いを吐露しています。
「自分から出したお金は諦めますが、親が病気だと嘘をついてお金を払わせたことは詐欺にならないのでしょうか」と相談者。どう考えられるのか、古川穣史弁護士に聞きました。
ーー「親が病気」だと嘘をつき、交際相手にお金を支払わせた場合は詐欺にあたるのでしょうか
「親が病気であると欺き、真実を知っていればお金を渡すことがなかったといえるような場合には刑法上の詐欺罪に該当することもあり得ます。
また、民事上も詐欺になるものと思います」
ーー相談者が支払ったお金を返してもらうことは可能なのでしょうか
「お金については返還を求めることが可能です。渡してしまったお金については贈与をしたという形になると思いますが、それが詐欺であれば贈与を取り消すことができます。
また、『病気になった親のための治療費だから』と言ってお金を渡したというような内容であれば、錯誤があったとして贈与を無効にすることもできると思います。
ただ、こういった場合には、(1)親が病気だと言ったこと(2)親が病気であることを理由としてお金を渡したこと(3)実際には親が病気ではないこと、などを立証する必要があります。しかし、それらを証明するのはなかなか難しいでしょう」
ーーこのようなトラブルを防ぎ、泣き寝入りをしないためにできることはありますか
「お金を渡す際の経緯についてはメールやLINEなどで履歴を残し、お金についても振込するなどして記録に残すことです。また、親の連絡先を確認しておくことも必要です。
訴訟をするにあたっては相手の連絡先を知っておく必要もありますから、源氏名ではなく、相手の免許証などで本名と住所などを確認させてもらうとよいでしょう。
また、まとまった金額を渡した場合は、贈与ではなく、貸し付けとして借用書を作成しておくことも有効だと思います」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
古川 穣史(ふるかわ・じょうじ)弁護士
夜11時に電話で相談してきた依頼者を助けるために歌舞伎町に赴いて以来、ぼったくりの案件を数多く手掛ける。東京都を中心にDV、ストーカーや刑事事件の被害者側などの案件を積極的に行う。会計事務所の法律顧問として一般民事事件、企業法務なども扱っている。
事務所名:八木良和法律事務所