エン・ジャパンは1月30日、人材不足に関する調査の結果を発表した。762社のうち89%が、人材が不足している部門があると回答。2016年の調査よりも5ポイント上昇しており、人材不足が解消するどころか深刻化していることがうかがえる。
業種別に割合を見ると、「IT・情報処理・インターネット関連」、「不動産・建設関連」、「メーカー」がいずれも91%でトップだった。企業規模で見ると、1000人以上で98%、100~299人で90%、1~49人で85%と大きな会社ほど人材不足であることがわかる。
人材不足の原因「退職による欠員」「中途採用で人員確保ができなかった」
不足している職種としては、営業職(35%)が最も多く、2番目の技術系(18%)を大幅に上回った。調査を実施したエン・ジャパンは「募集人数が多い部門のため、各社採用に苦戦している」と指摘する。
人材が不足している原因を複数回答で聞くと、トップは「退職による欠員」(57%)で、次いで「中途採用で人員確保ができなかった」(51%)だった。「既存業務の拡大」(36%)、「業績好調による業務量増加」(30%)という企業も少なくなかった。
今後、どのような対応を取るのか聞くと、「新規人材の採用」が86%で圧倒的に多かった。それ以外には、「既存の業務を効率化する」(35%)、「既存社員の教育、能力向上」(30%)と、人員を増やす以外の対策を取る企業も多い。
人材不足の現状については、次のようなコメントが寄せられた。必要な人数を集めることすら簡単にはできなくなっている様子が伺える。
「新規採用も目標人数の採用が難しくなっている。その補充を中途採用で行なっていく」(メーカー/100~299名)
「募集人数を集めることが目的になってしまい、本当に活躍してくれる人材の見極めなどまで手が回っていない」(IT・情報処理・インターネット関連/300~999名)
また人手不足で今いる社員に余裕がなくなっている企業もあるようだ。
「現状、残業や休日出勤で対応しているが、既存社員への負担が大きい。負荷増加での退職という悪循環を防ぐためには新規採用する他ない」
(流通・小売関連/100~299名)
他にも、人材不足に関する様々な悩みが寄せられた。
「高い給与を提示して採用活動をしているが、既存の社員の給料は低いままなので、ひずみが生じている。結果、人材が流出し続けている」(不動産・建設関連/50~99名)
「質の良い人材が都市部や大企業へ流れてしまい、地方の中小企業に良い人材が回ってきにくくなっていると感じる」(メーカー/100~299名)
「求職者の目線も高まっており、給与だけでなく、休みの多さや残業の少なさなどを求められる。求職者が魅力に感じるような条件提示が難しい」(サービス関連/100~299名)