ルノーF1はパリ郊外ビリー・シャティヨンにあるパワーユニットの研究開発施設で、早ければ2月上旬に最新鋭のエンジンテストベンチの運用を開始する。2018年は信頼性の問題に悩まされたルノーだが、このテストベンチによって実走中のトラブル発生をかなり防げるはずだと期待している。
ルノーはすでに車体開発の拠点であるイギリス・エンストンのファクトリーに、数十億円単位の設備投資を行ってきた。それが一段落した2019年は、ビリー・シャティヨンに新たに3889平方mの研究棟を建設した。
この施設の目玉となるのが、現時点で望みうる最高レベルのテストベンチである。これまでサーキットで実走テストを行うまで予想できなかったトラブルを、このベンチなら検出できるという。
ここ数年のテストベンチのトレンドは、トランスミッションや足回りなど、できるだけ完成車に近いパーツを組み込むことだ。メルセデスやフェラーリはすでにこの種のベンチを、数年前から運用しているといわれる。
ルノーの新ベンチは自然吸気、ターボエンジンから電気モーターまで、あらゆる種類のパワートレインをテストできる。広々としたスペースは、フォーミュラEの実車をそのまま設置することも可能だ。
テスト部門の責任者ローラン・ド・バイユールは「サーキットでの実走環境にかなり近づけたシミュレーションができる」と、胸を張る。
「これまで実際に(パワーユニットを)車体に搭載して、コースで走らせなければ出ていなかった問題を、事前に検出することができるようになるはずだ」
「開幕前のバルセロナテストは、2月の第3週から始まる。しかし我々はそれに先立つ数週間前から、予想されるトラブルを確認し、対策を立てられる。これは今後、実に大きなアドバンテージになるだろう」
「事前にトラブルの芽を摘んでおけば、実際のテストでは存分に距離を稼ぐことができる。実走テストの機会が厳しく制限されている今のF1で飛躍を目指すための、欠くことのできない武器と言えるね」