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DEAN FUJIOKAが語る、3年間の歩みと変化「自分の音楽の未来を作っていきたい」

2019年01月30日 12:01  リアルサウンド

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 国際派俳優として活動する一方で、ミュージシャンとしてもクオリティの高い楽曲をリリースしてきたDEAN FUJIOKA。彼が、活動拠点を東京に移して2016年末にリリースした「History Maker」(TVアニメ『ユーリ!!! on ICE』OPテーマ)以降の楽曲群に新曲を加えた2ndアルバム『History In The Making』を完成させた。この作品では「History Maker」以降の楽曲をすべて制作順に収録し、彼が過ごしたアーティストとしての約3年間と、その中で手にした進化や成長を、魅力的な形で作品に閉じ込めている。その収録曲やこれまでの変化について、DEAN FUJIOKAに聞いた。(杉山仁)


(関連:DEAN FUJIOKAが語る、『モンテ・クリスト伯』主題歌への想い「絶望や答えのない問いを描いた」


■「5年後、10年後に聴いても説得力のあるもの」


ーー今回の最新アルバム『History In The Making』では、DEANさんが「History Maker」以降リリースしてきた楽曲が、そのリリース順に並んでいますね。


DEAN FUJIOKA(以下、DEAN):はい(笑)。まさに作った順に並んでいます。そうすることで、たとえるなら日記をシェアするような感覚で、リスナーのみなさんに自分がこの3年間でどんな音楽的な変遷をたどってきたか、どんな変化を経験したかということを伝えられると思ったんです。ある意味ドキュメンタリー作品のような形式を、アルバムに反映させていったという形です。


ーー後半にまとめられている新曲もすべて制作順に並んでいるということですか? そうすると、曲順自体がこの約3年間のDEANさんのヒストリーになっているんですね。


DEAN:そうですね。前作の1stアルバム『Cycle』以降に自分が失敗したこと、学んだことも含めて変化していったこと、新しいアプローチを取り入れたことなどが、この順番で聴いてもらうことで、一番はっきりと伝わるんじゃないかと思いました。そうすれば制作における技術的な変化も、聴いてくれた人に伝わるんじゃないかな、と。その上で、もともと「History Maker」という曲を制作したところから今回のアルバムがはじまっているので、それも含めたダブルミーニング、トリプルミーニングになる『History In The Making』というタイトルにしました。


ーー今回は収録曲を順に追っていくことで、DEANさんの3年間の歩みについてのお話を聞けると嬉しく思っています。その出発点となった2016年末の「History Maker」は、オーケストラを取り入れた曲でありながら、楽曲自体が『Cycle』のときとは違ってEDMの構成になっていることも印象的でした。当時のことを改めて振り返ってもらえますか?


DEAN:最初は歌と作詞の部分でオファーをいただいて、アニメ『ユーリ!!! on ICE』の監督や、原案の方、音楽監督の方たちと話していく中で、みなさんのプロジェクトにかける思いの強さを感じました。それゆえに、自分もベストな形で貢献できればいいなと思っていました。この曲はもともと、ディズニー映画の音楽やフィギュアスケートの演目に似合うような、とても上品なオーケストラ曲だったんです。ただ、自分が歌詞で表現したかったのは、「チャレンジを続けるアスリートへの応援歌にしたい」ということで。しかも、書いていくうちに、アスリートに限らず、様々な挑戦をしている人たちを応援できるような「人間への応援歌」にしたい、と思うようになりました。そう考えたとき、この曲はもっと力強い、壮大なものにもなれるんじゃないか、と思ったんです。そこで、楽曲面でも参加させていただいて、コライト形式で制作していきました。EDM的な楽曲構成は、曲自体がそれを呼んでいるような気がしたんですよね。オーケストレーションが前に出ている曲の基盤に、力強いビートや太いベースがあったら、この曲がより魅力的に、今の時代に合うものになると思ったんです。「自分たちが時代を作って、それを未来に繋いでいくんだ」という気持ちを高めるようなものにするために、(高揚感のある)EDMのようなドロップがある構成で、コーラスもイギリスのサッカーファンの合唱を思わせるものにすれば合うのかな、と。


ーー確かに、あの壮大なコーラスからは、イギリスのサッカーファンのアンセムになっているような、もしくはフェスで大合唱が起こるようなUKロックを想像しました。


DEAN:そういう雰囲気が、あくなき挑戦を続けていく人たちの背中を押したい、というテーマの楽曲にピッタリだと思ったんです。とはいえ、時代のトレンドに流され過ぎてもいけないので、5年後、10年後に聴いても説得力のあるものにするためのバランスも考えていきました。


ーーアルバムでの曲名は「History Maker ~HITM Ver.~」になっていますが、これはミックスを変えているんですか?


DEAN:若干ボーカルのグルーヴを変えて、ミックスも少しだけ変えました。あまり大きな変化はないですが、手を入れたからには、もとのバージョンと同じだと誤情報になってしまうので。「~HITM Ver.~」とついているものは、すべてそういう形で少し手を加えたものですね。


ーー続く「Permanent Vacation ~HITM Ver.~」や「Unchained Melody」(ともにEP『Permanent Vacation/Unchained Melody』に収録)の頃は、DEANさんの音楽にフューチャーベースを筆頭にしたクラブミュージックの最先端の要素が加わったことが印象的でした。この頃はどんなことを考えて音楽を作っていましたか?


DEAN:「Permanent Vacation」は、映画『結婚』の主題歌として書き下ろしたので、映画の中では描かれない主人公の気持ちを曲に込めたいな、と思っていましたね。連続テレビ小説『あさが来た』(NHK総合)でご一緒させていただいた西谷真一監督とのお仕事だったこともあって、「朝が来たら、どうなるのか」というアイデアから曲を書きはじめて〈朝が来たらどこへ向かうのか/きっと俺にはわからないまま〉という歌詞が最初にできました。そこから、「その歌詞に合う音はどんなものだろう?」と考えたときに、尖ったエレクトロミュージックの要素が〈月明りの悪戯〉のようなイメージに合うと感じたんです。僕は曲を作るときは、最初に「その曲のコアとなる要素は何か」ということをはっきりさせて、「それならこのメロディで、この歌詞にしよう」と考えていくんです。その一貫性というか、密度の濃さは大切にしていますね。


ーー次の「Let it snow!」「DoReMi」「Speechless ~HITM Ver.~」(3曲ともにEP『Let it snow!』に収録)の頃には、トラップっぽいラップのフロウも取り入れるなど、音楽性がさらに広がっていった印象でした。もちろん、DEANさんの楽曲は様々な要素が組み合わさってできているものだと思いますが。


DEAN:たとえば、「DoReMi」はトラップを好きで聴いていたことがフロウに反映された部分もありつつ、同時に子供でも大人でも歌えるような、自分なりの“みんなのうた”を作りたいとも思ってできた曲ですね。ここまでの曲を振り返ってみても、1曲1曲に変化を感じます。「History Maker」は今回のアルバムに繋がるスタート地点ですし、「Permanent Vacation」は「作品で描かれていない登場人物の気持ちを描く」というアプローチを見つけた曲になりました。(テレビ朝日『サタデーステーション』『サンデーステーション』EDテーマの)「Unchained Melody」に関しては、報道を仕事にしている人たちが「世界で起きていることを伝えなければいけない」という使命を感じて、それを仕事にするまでにどんな経験があったのかをヒアリングさせてもらって、それに対する僕なりのアンサーソングを作りました。報道の渦中にいる人たちの気持ちを表現しながら、同時にバイスタンダー(同伴者)的な傍観者でもあるという視点で歌詞を書くことを学びました。そして、(日本テレビ系ドラマ『今からあなたを脅迫します』主題歌の)「Let it snow!」辺りから、今の制作スタイルに切り替わったイメージですね。最初の2~3曲で、「東京の音楽の現場はこういう感じなんだ」ということや、「こんな機材を使って、こんな風に制作を進めるんだな」ということを学ばせてもらって、初めて自分でデモ音源をDAWで完結させたのが「Let it snow!」だったんです。この曲は「Permanent Vacation」で学んだ方法を発展させて、本編では描かれない登場人物の過去を描きつつ、“雪”というモチーフをシンボルとして扱って、「雪が過去と今とを繋げる。そしてこの瞬間に過去と決別して未来に歩きだす」という雰囲気を表現しました。ドラマとのシンクロ率や、エンディングで流れたときに(各話の内容に応じて)毎回違ったものに聴こえるような、逆算の技術もここで勉強しました。


■「コアになる部分は大切にしつつ、別の解釈で曲にしたい」


ーーそして次に制作したのが「Echo」と「Hope」(ともにシングル『Echo』に収録)だと思いますが、シングルのリード曲「Echo」(フジテレビ系ドラマ『モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-』主題歌)はウェーブを取り入れながらもDEANさんの最大のヒット曲になったと思いますし、「音楽的に冒険すること」と「ポップミュージックとしての間口の広さ」とが、理想的に同居した楽曲のように感じていました。


DEAN:ああ……! ありがとうございます。まだまだ「そうなっていきたい」という感じではありますけど、自分としては「そうなったらいいな」と思って作っていました。この曲は自分が想像していた音のレシピーー。「ドラムはトラップっぽくて、ベースは(ブリアルのような)オリジナルのダブステップの雰囲気で、上モノはグライムっぽい」というものが、ウェーブの要素に結びついた曲ですね。ただ、やっぱり「そのままウェーブを作ろう」という風にはならなかったんです。ピアノで切なく引きつけてからウェーブの要素を取り入れることで、復讐の悪魔として蘇ってくる主人公の雰囲気を表現したいと思っていました。


ーーこの頃になると、東京での音楽仲間の広がりも感じていたんじゃないでしょうか?


DEAN:たとえば「Echo」だと、「Let it snow!」でも一緒に楽曲を制作してくれたMitsu.Jさんの曲を高みまで持っていってくれる力に安心感を覚えていたので、自分としても思いっきり振り切ることができた部分があったと思います。他にも、東京を拠点にして活動をしていく中で様々な人との出会いがありましたし、技術的なものも、感性的なものも、学べることが沢山あって。「次の曲ではこんなことにトライしてみよう」とか、「前回はこうしたから、今回は逆にこうしてみよう」とか、「ここが足りていなかったからこうしてみよう」とか、色んな気づきを感じながら楽曲を制作していました。


ーーそしてこれ以降は、今回のアルバム用の新曲が並んでいますね。この新曲群に関しては、アルバムに向けて、制作前に考えていた方向性などはあったのでしょうか?


DEAN:新しい曲を作っていく時点で、それまで曲を作る中で「次はこんなことをしてみたい」というアイデアが色々と出てきていたので、その流れに身を任せていくような感覚だったと思います。たとえば9曲目の「Sakura」なら、古き良き桜ソングとはまた違うアプローチの“ネオ桜ソング”があってもいいんじゃないかな、というアイデアで作りはじめました。


ーーなるほど、“ネオ桜ソング”ですか!


DEAN:卒業シーズンに、学生服を着た男女がみんなで歌う桜ソングとはちょっと違うものがあってもいいんじゃないかな、という提案です。ただ、曲調は違っても“未来に向かって旅立っていくポジティブなイメージ”や“青春の輝きや甘酸っぱさ”は普遍的なものだと思うので、そのコアになる部分は大切にしつつ、それを別の解釈で曲にしたいと思いました。


ーー途中、コーラスだけをバックにDEANさんの歌声が乗る瞬間もありますが、これは桜ソングらしい合唱をイメージしたものですか?


DEAN:そうです。制服を着た学生の方たちがみんなで歌っていて、そこにリードシンガーも加わって体育館で歌っているようなイメージですね(笑)。


ーー一方、次の「Legacy」は音数がとても少ない曲になっています。


DEAN:「Echo」を作ったときに、あまりに絶望を感じさせる曲だったので、それとは対照的な「Hope」を作ってカップリングにしましたが、そのとき「クリスチャンソングを作ったら面白いだろうな」というアイデアも浮かんだんです。でも、「Hope」は結果的にもっと一般的な希望についての歌になったので、そのときのアイデアを「Legacy」で形にしました。日本にはクリスチャンソング的なものってなかなかないと思いますが、海外には沢山ありますよね。それに何より、これまで自分で作った曲にはそういうタイプのものがなかったので、それを形にしようと思ったんです。


ーーDEANさんがまだ形にしていなかった新しいテーマに挑戦した曲なんですね。次の「Accidental Poet」も、デジタルな加工がほどこされたクワイアという意味で、DEANさんが新しいアイデアに挑戦した楽曲だと思いました。Francis And The Lightsの作品や、Bon Iverの『22, A Million』などに通じる雰囲気を感じます。


DEAN:そういう音楽を聴いてきた影響が出た曲だと思うんですけど、実はもともとは、完成版のようなクワイア風の曲にしようとは思っていませんでした。最初はビートもあって、和音もついていたんですけど、どうしてもある一線を越えられていないような気がしていたんです。それで、どんどん音を少なくしていったら……「音を全部抜いて、自分の声だけにすればよかったんだ」と気づいた感じです(笑)。この曲は初めて、ボーカルテイクがほぼ一発録りでした。この曲だけジャカルタで(前作『Cycle』にもかかわった)DJ Sumoと一緒に録ったんですけど、「とりあえず録ってみよう!」とデモの録音をはじめて、その場で「こんな感じにしよう」と言いながらボーカルを録音していって。どんな風に歌うかを詰めずに録音するのは初めての経験でしたけど、その粗いクオリティの声の方がオートチューンがパキッと効いて、まるで壊れそうな、“傷があるから美しい”という雰囲気の曲になりました。そんなアクシデントで生まれた詩だから、「Accidental Poet」というタイトルにしたんです。


ーー声だけで曲を構成するというのは、なかなか勇気のいることだと思います。


DEAN:「本当にこれでいいのか?」とも考えましたし、逆に「何度も録りなおして綺麗にしすぎると、この曲の魅力がなくなってしまうんじゃないか?」ということも考えました。そのいいバランスを見つけるのがすごく難しかったです。アレンジの段階でも可能性は感じていましたけど、最後に東京でミックスしてもらって、曲の魅力をさらに引き出してもらいました。


ーーそして12曲目の「Fukushima」は、mabanuaさんが参加している曲で、DEANさんの故郷がテーマになっていますね。


DEAN:そうですね。もっと言うと、自分なりの“童謡”のようなものを作りたいと思っていました。「赤とんぼ」のような曲の系譜にある、新しいもの……。つまり、“ネオ童謡”ですね(笑)。そういう曲を作りたいと思って。それでmabaちゃん(mabanua)に、「一緒にやってくれませんか?」とお願いをして、最終的にシンプルな楽曲になりました。タイトルを「Fukushima」にしたのは、自分の生まれが福島だということもありますし、もうひとつは、アルファベットで「Fukushima」と表記したときに、そこについて回るネガティブなイメージがあると思うんです。自分が子供の頃は、福島のことを知っている人はすごく少なかったのに、今世界で「Fukushima」と聞くと、色んな人がネガティブな意味でその言葉を知っていて。だからこそ、その故郷の情景を音で表現して、世界から見た「Fukushima」という文字に、自分なりの新しい意味を加えたいと思いました。世界の人にとっては情報が「0か100か」になってしまっていて、ネガティブな「100」の方だけが知られていて。だとするなら、その土地を愛して暮らす人々がいたり、そこに望郷の思いを感じる僕のような人間がいたりすることを伝えたい、と思ったんです。これまでの積もる思いがあって、その故郷や、日本も含めた祖国というものへの自分なりの思いがあってーー。これは、これからもずっと持ち続ける気持ちで、今後も継続してやっていくことのひとつなんだと思っています。


■「一緒にヒストリーを作っていけたら嬉しい」


ーードラマ『僕の初恋をキミに捧ぐ』(テレビ朝日系)の主題歌になっている13曲目の「Maybe Tomorrow」はどうですか?


DEAN:この曲は主題歌のお話をいただいたときに、原作を知らなかったので読ませていただいて。そのとき、20歳まで生きられるかわからない心臓病を持っている男の子とそれを支える女の子の物語に「力強いな」と感じました。哀しい悲劇になるかもしれないテーマなのに、この作品ではその2人の姿をすごく軽快に描写していて。それで、ホーンも取り入れたスウィングの要素を加えることで、心臓が元気に跳ねている様子を表現しようと思いました。そうやって“生きる意志”を伝えられる土台を作って、そのうえで「これは夢なのか、現実の未来なのか、もしくは死んでしまった後の世界なのかわからないような天国感を作りたい」と思ったんです。主人公は死んでしまったのか生き延びたのかはわからないけれど、とにかくハッピーエンドを感じさせるような、ユーフォリックな曲にしたいと思って。子供たちの声が入っているのも未来を感じさせると思ったからで、同時にそれは自分たちの過去なのかもしれないし、もしかしたら天国の天使たちなのかもしれません。そんな風に、色んな解釈ができる余白を作りたいと思いました。メロディや歌詞は「優しく、痛い(切ない)」という雰囲気にしました。


ーーそして最後の「History In The Making」は、アルバムをまとめるタイトル曲ですね。


DEAN:この曲は、来年行なうアジアツアーに向けて、自分でテーマソングを作ろうと思って作った曲ですね。それでアルバムと同じタイトルがいいと思ったし、starRoさんとご一緒して、中国語の歌詞でみんなで一緒に歌えるアンセムにしました。〈Put your hands up〉という歌詞も、聴いてくれる人たちのことを意識したものです。あと、この曲は歌詞に『三国志』の曹植の『七歩の詩』の要素を入れたかったんですよ。現代風に意訳すると「七歩歩くうちに、自分を感動させるリリックをスピットできたら、殺し合いはしない」という意味になるあの部分には、アートの力が詰まっていると思うし、そのエピソードがずっと、僕の心に残っていて。


ーーなるほど、これはアートの力についての曲でもあるんですね。


DEAN:それに、「History In The Making」という曲で「みんなで一緒にこの時代を未来に繋げていこう」という感じでアルバムを締められたら、それは「History Maker」からはじまるアルバムにとっても、すごくいいなぁと思ったんです。


ーー今回のアルバムにまとめられたこの約3年間は、改めて、DEANさんにとってどんな期間になったと思いますか?


DEAN:東京にいる時間が増えて、それが生活の大部分を占めるようになってーー。もちろん、引き続き飛行機で色々な国を行ったり来たりしていましたけど、音楽制作だけではなくて、ほかの仕事も私生活も、東京がひとつのハブになって。その中で、音楽についても、色んなことを学んだと思います。前作の『Cycle』を作ったときは締切もなく、長い時間をかけて自分の表現のカラーチャートを作っていくような感覚でした。でも今回はほぼ全曲で締切があって、そういう意味ではむしろ真逆の作品になって。でも、そこで経験した技術的なことも、音楽ビジネスのことも含めて、色んな気づきがありました。だからこそ、これからどんな風に音楽とかかわっていけるかということが、楽しみになった期間だったと思っています。


ーーDEANさんの音楽のリスナーの輪も、どんどん広がっていますよね。


DEAN:そうなってくれたら嬉しいです。ライブに来てくれた人たちと自分が作った曲たちを一緒に歌ったり、踊ったり、分かち合ったりするときの熱量は、次に自分が何をやっていくかにも影響を与えるので。だからこそ曲を作っているときも、ヘッドフォンやイヤフォンで確認をしながらも、この曲を(ライブ会場で)体で感じたときにどんな感情が浮かんでくるか、どんな気持ちがこみ上げてくるかということを、ずっと考えているんです。だから、僕自身これからのツアーが楽しみですし、一緒にヒストリーを作っていけたら嬉しいです。そこでもらった反応にも刺激を受けながら、自分の音楽の未来を作っていきたいと思っています。


(取材・文=杉山仁)
※記事初出時、一部内容に誤りがございました。訂正の上、お詫びいたします。