ホンダ系のトップカスタマーとしてWTCR世界ツーリングカー・カップに参戦するミュニッヒ・モータースポーツが、2019年シーズンに向けドライバーラインアップを発表。エステバン・グエリエリを継続起用するほか、新たにアルゼンチン出身のネストール・ジロラミが加入するとアナウンスし、“アルゼンチン・スクワッド”としてホンダ・シビック・タイプR TCRを送り込む。
WTCC世界ツーリングカー選手権で3連覇を達成したホセ-マリア・ロペスを筆頭に、数多くのスタードライバーを輩出しているツーリングカー大国のアルゼンチン。同国出身のグエリエリは、2016年の地元ラウンドで世界戦にデビューした。
その鮮烈な走りが認められカンポス・レーシングのレギュラーシートを獲得すると、2017年のシーズン後半にテスト中のクラッシュから離脱を余儀なくされたティアゴ・モンテイロに代わってホンダのファクトリーチームに加入した。
その流れを汲み、WTCRへと変貌を遂げたシリーズでもホンダとの関係を維持したグエリエリは、TCR規定シビックRでニュルブルクリンク、マカオというカレンダーを象徴する難コースで勝利をマーク。コンスタントに表彰台に絡む安定した走りで、ドライバーズランキング3位に食い込んだ。
「2019年も引き続きホンダレーシング・ファミリーの一員として、ALL-INKL.COMミュニッヒ・モータースポーツで戦えることを光栄に思うよ」と意気込みを語った34歳のグエリエリ。
「昨年はニュルやマカオのようなハイライトもあり、個人的には素晴らしいシーズンになった。そこへ”Bebu(ジロラミの愛称)”が加わるなんて最高の報せだ。僕たちは長年の親友であり、競争相手でもあった。彼は非常に速さがあるだけでなくチームプレーヤーでもある。これは選手権を戦う上でとても重要な資質になると思う」
そのグエリエリを追ってミュニッヒ加入を決め、アルゼンチン・スクワッドの一員として走ることとなった29歳のジロラミは、2016年にホンダ・シビックWTCCで世界戦にデビュー。その後はボルボのファクトリーチームであるポールスターで活躍を演じたが、2018年は母国アルゼンチンの人気シリーズ、スーパーTC2000に復帰していた。
2014年、2015年シーズンに母国でともにタイトルを獲得したプジョースポール・アルゼンティーナでプジョー407をドライブしたが、チームは2018年をもってファクトリー活動を終了。時を同じくしてジロラミも世界戦復帰への道筋を探るべく、鈴鹿サーキットで行われたWTCR日本ラウンドのパドックにも姿を見せていた。
「チャンピオンシップに勝てる能力を持つホンダ・シビック・タイプRに乗れることはもちろん、僕を信頼してくれたALL-INKL.COMミュニッヒ・モータースポーツに深く感謝しているし、こうしてホンダレーシング・ファミリーに迎えられたことを誇りに思うよ」と、喜びを語ったジロラミ。
「僕は昨年、鈴鹿のレースウイークエンドをチームとともに過ごし、彼らの仕事ぶりを目の当たりにした。そのシステマティックな環境や働きぶりを見て、選手権を勝ち獲ることができる組織だと一目で理解した」
「チームメイトがエステバンであることにもワクワクしている。僕たちは世界戦だけでなくSTC2000でもタイトル争いを繰り広げ、お互いを知り尽くした間柄だ。ベストを尽くすつもりだし、テストを始める日が待ちきれないよ」
この発表により、ミュニッヒ・モータースポーツはWTCRのホンダ系チームとして最初の体制発表を行ったチームとなり、新たに追加された「各マニュファクチャラーの参戦上限は4台」という規約により、残るホンダ・シビック・タイプR TCRの枠は2台に。
昨季までミュニッヒに所属したヤン・エルラシェールとティモ・シャイダーはそれぞれ2019年は別プログラムで戦うことをアナウンスしており、エルラシェールはLynk&Coシアン・レーシングに移籍。シャイダーはミュニッヒに残留も、WolrdRX世界ラリークロス選手権にフルコミットすることを決めている。
そして昨季、ホンダ系チームとしてWTCRを戦ったブーツェン・ジニヨン・レーシングはシリーズを離脱することが確定的となっており、代替チーム体制がどうなるかは未定となっているものの、グリッドに並ぶ4台のうち1台は、怪我からの快気なったモンテイロがステアリングを握ることも発表されている。