この施設では当時、未婚のまま妊娠した女性や前科持ちなど何かしらの事情を抱えたプロテスタント信仰者の女性たちを主に受け入れており、アイリーンさんはそこで生まれた後、2歳の時に「Kirwan House orphanage(カーワンハウス孤児院)」へと移された。そして16歳の時には誰かの出生証明書を与えられ、そのまま60年間生きてきた。孤独だったというアイリーンさんは19歳の時から実の両親の行方を捜し始め、ロナルドさんという男性と結婚し1男2女をもうけた。2人の娘は健康に問題があり、アイリーンさんは自分が過去にどんな病気にかかったか、また家族の病歴を知りたいと強く思うようになった。
昨年、アイルランドのラジオ局「RTÉ Radio 1」の生放送番組『ジョー・ダフィーズ・ライブライン(Joe Duffy’s Liveline)』に出演したアイリーンさんは、身内の追跡調査を助けてほしいと依頼し、「80年も生きてきて未だに私と直接血の繋がった身内が1人も見つけられないなんて、悲しく辛い」と心情を語っていた。それがきっかけとなり、優秀な系図学者らがアイリーンさんに連絡。DNA検査などを行ってアイリーンさんの血縁者追跡に尽力した。そしてついに、アイリーンさんは実母の居場所を発見した。イギリスに住む母親は103歳で存命ということが分かり、半分血の繋がった70代の弟が2人いることも判明した。アイリーンさんは今更ながら実母と顔を合わせることで、周りの誰も不快な思いにさせたくはないと異父弟への配慮を見せながら、やはり実母が未だ存命していたことに驚きと喜びを隠せない。
画像は『Stay With Me Exhibition 2018年6月30日付Twitter「“I think I am Ireland's oldest orphan” says 80-year-old Eileen Macken.」』のスクリーンショット (TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)