TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムに参加している勝田貴元が、1月24~27日に行われたWRC世界ラリー選手権第1戦モンテカルロに出場し、総合13位、RC2クラス6位で完走を果たした。
ラリー競技の最高峰WRCに参戦する若手ドライバーを育成するTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラム。勝田は2015年のスタートから同プログラムに加わって、スキルを磨いており、2018年2月のラリー・スウェーデンではWRC2クラス優勝を手にしている。
2019年は本格的にWRCへのステップアップを図るべく、2019年シーズンの12戦にトミ・マキネン・レーシングのフォード・フィエスタR5で出場するほか、フィンランド国内選手権にはトヨタ・ヤリスWRCで参戦する計画だ。
そんな勝田にとって今季初戦となったラリー・モンテカルロは、基本的にはターマック(舗装路)で争われるイベントだが、雪や路面の凍結などコンディション変化も大きく、シリーズ屈指の難易度を誇る。
コンディションの予測にはドライバーの経験値も大きく影響するため、今回がモンテカルロ初出場の勝田はWRC2へのエントリーは行わない形で参戦した。
大会が行われたフランス・ギャップ近郊は週末をとおして天候に恵まれたものの、厳しい寒さ。路面はドライコンディションだったが、雪や凍結路面が残る箇所もあり、難しい状況となった。
この難しいコンディションにはアンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)や、エルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)といった最上位クラスを戦うドライバーたちも苦戦。クラッシュから戦線離脱を余儀なくされた。
そんななか、勝田は最新の路面状況を伝えるセーフティクルーの助けも借りて、2016年以来にコンビを組んだコドライバーのダニエル・バリットとともにペースノートを作成。途中で2度スピンする場面があったほかは大きなアクシデントなく完走し総合13位、R5車両を使うRC2クラスでは6位を獲得する力走をみせた。
「ラリー・モンテカルロは以前観客として観戦したことがありましたが、選手としての出場は初めてだったのでとても難しく感じました」と勝田。
「しかし、最後まで走り切り多くのことを学ぶことができました。今回はそれが自分にとってのテーマでしたので、満足しています」
「このラリーでは自信と、良いフィーリングと、経験を得ることを目標に置き、速さについてはあまり気にしていませんでした。そして、今回きちんと目標を達成できたので、次回はもっと楽に走れるのではないかと期待しています」
「豊富な経験を活かして私を支えてくれたダニエル(バリット)、(セーフティクルーの)ヤルッコ(ミエッティネン)、ミッコ(マルックラ)に心から感謝します」
「土曜日には非常に滑りやすい路面で2回スピンしてしまいましたが、低速だったので特に問題ありませんでした。タイヤ選択もこのラリーでは難しい要素のひとつで、正解を得るのは簡単ではありませんが、幸運にも良いアドバイスを受けてどんどんフィーリングが良くなっていきました」
難易度の高いラリー・モンテカルロを初出場で完走した勝田を、プログラムを監修するTOYOTA GAZOO Racing WRTチーム代表、トミ・マキネンも「大きな問題なくこのような難しいイベントを走り終えたことは、彼の自信と経験値を高めたはず」と評価する。
「タカモトが成し遂げたように、すべてのステージを走り切ると、本当に多くを学ぶことができるんだ」
「次戦のラリー・スウェーデンはタカモトにとってよりなじみのあるイベントだが、今週末の経験が、スウェーデンでもきっと役にたつと思う」
2019年の活動を本格化させた勝田が次に挑む戦いは、2月14~17日に開催されるWRC第2戦スウェーデン。北欧のスウェーデンを舞台に争われるイベントはシリーズ唯一のフルスノーイベントながら、WRCのなかでも3本の指に入る高速イベントだ。勝田は2018年に続くクラス2連覇を目指して参戦することになる。