2019年からDTMドイツツーリングカー選手権のサポートレースとして開催される女性ドライバーだけのフォーミュラカーレース『Wシリーズ』のトライアウトテストが行われ、最終テストに臨む28人が選出された。このなかには日本人として唯一書類選考を通過した小山美姫の名前もある。
オーストリアのメルクにあるヴァッハウリンクで3日間に渡って開催されたWシリーズのトライアウトは、元F1ドライバーのデイビッド・クルサード、アレックス・ブルツ、元インディシリーズの女性ドライバーのリン・セント・ジェームス、元F1マクラーレンのスポーツディレクターでマノーのレーシングディレクターを務めたデイブ・ライアンが選考委員を務めた。
3日間のうち、1日は日中気温が氷点下2度と厳しい寒さとなり雪も降るなか行われ、フォード・フィエスタSTとポルシェ・ケイマンSのロードカーを使用してドライブスキルチェックが行われた。
凍結した路面やアクアプレーニングのフルウエットコンディションでのドライブスキルチェックでは、「厳しいコンディション下で課題が増え、どこでグリップが効くのかなど、駆動性を即座に判断すべきドライビングが要するだけに、ドライバーのスキルとレベルがよく分かった」とブルツ。
また、セント・ジェームスは「このトライアルの3日間を振り返ると、ドライバーだけではなく、彼女たちをジャッジする我々審査官やインストラクター、このプログラムに参加したすべての者にとって容易ではなかった」とするも「レースとは結果的にはラップタイムで評価されるものだけど、このプログラムでは数多くの小さな要素を組みあわせることによって、ドライバーの才能だけではなく、潜在的な部分を見出すことができた」と高く評価している。
トライアウトではそのほか、フィットネストライアル、実際にテレビカメラが回るなかでインタビューに応じるメディアプレゼンテーションセッション、そしてチームビルディング演習という数多くの厳しいテストが行われた。
これらのテストはすべて英語で行われ、英語圏出身者以外には語学力も壁となって立ちはばかるだけに、その理解力と判断力も試されたことになる。
トライアウトを通過した28名のドライバーは3月下旬にスペインのアルメリアでタトゥースF318のフォーミュラ3マシンを駆って4日間の実車テストへ挑み、シリーズに参戦する18名と2名の補欠が選ばれる。
モータースポーツ史上初となる女性ドライバーのみのフォーミュラ選手権『Wシリーズ』は5月3~5日にホッケンハイムリンクで幕を開ける。